Q. 新NISAの非課税投資枠を早めに埋めようと思っていますが、余裕資金がなくなったらと心配もあります
「平均寿命はあまり意識せず、元気なうちに投資をし、使うことを考えています。新NISAでは、ストックを投資に移す形で、年間の非課税投資枠を早めに埋めるつもりです。ただ、年金受給までは夫の給与以外に個人として継続的な収入がないため、自身の余裕資金がなくなったらどうすべきかも考えています。50代は老後のための資産形成期間(後期)に該当すると思います。皆さんはどうされているのか知りたいです」(51歳/主婦/じらそるさん)【保有資産】現預金:700万円、リスク資産:3400万円
新NISAの非課税投資枠をなるべく早く埋めたいが、余裕資金がなくなったらと考えると少し心配もあるという50代女性
A. 「今後必要になるお金も加味し、リスク管理もしながら余裕を持った運用を」(深野さん)
50代は老後の資産を貯める最後の時期とよくいわれますが、実際は今の生活の収支バランスとの兼ね合いになります。ご相談者の保有資産を見ると、現預金とリスク資産の割合が2対8となっています。現在、夫の収入で余裕のある生活ができていて、さらに貯金もできているのであれば、過度に心配する必要はないかもしれません。しかし、夫の収入で生活はできているけれど、貯金には回していないというのであれば、少しリスクを取り過ぎでいるように思います。
というのも、お金が足りなくなったために、保有しているリスク資産を不意に売らないといけないという事態は避けたいからです。そのためにもある程度、現預金を厚めに持っておいた方が安心できます。
新NISAの生涯非課税投資枠(1800万円)を最短で埋めるとなると5年になります。保有しているリスク資産を取り崩し、新NISAへ移して運用するのは、あくまでもリスク資産の入れ替えになるので問題はないでしょう。しかし、必ずしも短期的に投資するのがいいかは、後になってみないとわかりません。
現行NISAは、その年中に使いきれなかった投資枠を翌年に繰り越すことができませんでしたが、新NISAでは年間の投資枠(つみたて投資枠120万円/成長投資枠240万円)を使い残しても、翌年以降に繰り越しができます。
ですので、無理して枠を埋める必要はないでしょう。10年ぐらい時間をかけて、つみたて投資枠で年間120万円ずつ投資をしていくのでもいいと思います。60歳以降の夫の収入や今後のライフイベントで必要になるお金なども考慮し、リスク管理をしながら無理のない運用を心がけてください。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など