Q. ひじきは体に悪いのですか? 「食べると寿命が縮む」って本当でしょうか?
ひじきは体に悪いのでしょうか? 豊富な栄養の健康効果と、無期ヒ素のリスクを、冷静に考えてみましょう
Q. 「ひじきをよく食べるのですが、ヒ素が入っていて危険だという話を聞きました。発がん性や心臓病のリスクが上がってしまうらしいのですが、本当でしょうか? 健康のために食べていたのに、寿命が縮むような危険なことをしていたのではないかと不安です」
Q. 心配無用です。健康にいいメリットの方が大きいです。
結論からお答えすると、心配無用です。もちろん量の問題ですので、「毎日どんぶり1杯のひじきを必ず食べている」ような場合は、ひじきが含む無機ヒ素の健康リスクが問題になる可能性はあります。しかし、常識的な食生活では、そのような極端な食べ方をしている人はいないでしょう。ひじきの危険性の有無については、実際に日本人が食べている量から、厚生労働省が以下のように回答しています。
平均的な日本人の食生活では、ひじきの摂取量は1日0.9g程度。常識的な食べ方において、ひじきで寿命が縮む心配はしなくて大丈夫です。厚生労働省も、「海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません」と明言しています。
- 日本人の平均的な海藻摂取量は1日あたり14.6g。そのうち、ひじきは約0.9gです。
- WHOが定めた無機ヒ素の耐用週間摂取量は15マイクログラム/kg体重/週なので、体重50kgの人の場合、1日に107マイクログラム(1週間に750マイクログラム)までは大丈夫。
- ひじきに含まれる無機ヒ素は最大22.7mg/kg(22.7マイクログラム/g)ですので、1日あたり4.7g以上を食べ続けない限り、健康に悪影響を与えることはありません。
加えて、ひじきは鉄分、カルシウム、食物繊維などを豊富に含んでいるので、健康によい食材として活用しない手はありません。
それでも無期ヒ素の影響が心配という方は、調理法に一工夫。無機ヒ素は水溶性なので、ひじきを「茹でこぼし」で調理すれば、90%程度を減らすことができます。
どんな食材にも、メリットとデメリットがあります。センセーショナルな情報に惑わされず、正しい情報を比べて、しっかりと選んでいくことが大切です。
さらに詳しく知りたい方は、「『ひじきはタバコより危険で身体に悪い』って本当?損失余命の真偽」をあわせてご覧ください。
■参考
- ひじきに含まれるヒ素(食品衛生の窓/東京都福祉保健局)
- ヒジキ中のヒ素に関するQ&A(厚生労働省)