食生活・栄養知識

手作り菓子で食中毒リスク?「防腐剤不使用」「無添加」には危険性も

【管理栄養士が解説】防腐剤や添加物不使用で、砂糖も通常の半分しか使用していない自家製マフィンによる、食中毒事件が起こりました。手作り菓子は健康的に思われがちですが、市販品にはないリスクもあります。注意すべきポイントを解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

お菓子で食中毒

手作りマフィンを食べたら、なんだかおなかの調子が……


東京都内のイベントで、マフィンによる食中毒事件が発生しました。問題となった製品は、防腐剤や添加物不使用で、砂糖も通常の半分しか使用されていなかったそうです。「防腐剤不使用」「無添加」「砂糖控えめ」といった言葉からは、健康的で安心な食べ物を想像されるかもしれませんが、それは誤り。問題になったマフィンは、最も危険性の高い「CLASS1」と厚生労働省に認定されました。防腐剤や添加物は、食べる人を守るために使用されているものですし、砂糖も一定量を使えば、食品を腐りにくくするなどの働きがあります。「CLASS1」に分類されているのは、毒性の高さで知られるフグや毒キノコなどですから、深刻な健康被害が起こってもおかしくなかった食中毒事件だと言えるでしょう。

「無添加で安心」な手作り菓子を作りたいとき、必ず気をつけるべきポイントを押さえましょう。
 

手作り菓子の食中毒リスクを減らすための2つのポイント

手作り菓子には、市販品には出せない温かみがありますが、食中毒のリスクを伴うことも忘れてはいけません。衛生管理が十分でなく、元の食材に菌が付着していたり、調理中に菌が混入したりすると、それらが増殖して、深刻な食中毒症状を引き起こすことがあります。

手作り菓子を安全に作る大きなポイントは、
  • しっかり加熱して菌を死滅させること
  • 完成後も菌を付着させないように、衛生管理をすること
の2点です。

お菓子の種類にもよりますが、本来、焼き菓子は食中毒リスクを低くしやすいお菓子です。180℃くらいのオーブンで20分ほど加熱すれば、ほとんどの食中毒菌は死滅します。加熱調理してすぐに食べるのであれば、通常は食中毒リスクを心配する必要はありません。

一方で、完成後にそのまま置いていたり、ラッピングするときに素手で触ったりすると、雑菌が付着してしまう可能性があります。また、まだ熱い状態で包んでしまうと、水蒸気が結露したものが付着し、雑菌を繁殖をさせてしまうリスクもあります。完成したお菓子はラッピング前にしっかりと熱を取り、食品用の使い捨てビニール手袋をつけて扱うなど、衛生管理に気を付けましょう。

防腐剤などが入っていない食品は、腐りやすいリスクもありますので、作り置きをしないことや温度に気を付けること、また、受け取った人はなるべく早めに食べることも大切です。衛生管理に気を付ければ食中毒の危険性は減らせます。安全に気を付けて、手作りのお菓子作りをぜひ楽しんでください。
 
さらに詳しく知りたい方は、「手作りチョコ、感染リスクは大丈夫?手料理・菓子の安全性と注意点」もあわせてご覧ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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