米経済がリセッションとなった場合、一番有効な資産防衛方法は?(画像はイメージ)
Q. 米経済がリセッション(景気後退)となった場合、一番有効な資産防衛方法は?
「米国経済がリセッション(景気後退)となった場合、一番有効な資産防衛方法は何でしょうか。日本経済への影響も含めて教えてください」(57歳・会社員男性)A. リセッションの程度で防衛方法が変わります
リセッションの定義は、2四半期連続でGDP(国内総生産)がマイナス成長となることです。同じリセッションとはいっても、「大きく後退するリセッション」や、「たいして落ち込まないリセッション」あるいは、その間なども考えられます。仮に2024年の7~9月期からリセッションになる場合、4~6月期、7~9月期のいずれもが、前期比のGDPがマイナスになるということです。例えば4~6月期にマイナス4%、7~9月期にマイナス6%になれば、これは結構深刻な景気後退といえるかもしれません。
一方、4~6月期にマイナス0.3%、7~9月期にマイナス0.5%だとしたら、軽微な景気後退といえるでしょう。後者の場合、2四半期連続マイナスの定義には合致したので景気後退と呼ばれるものの、その実は踊り場に過ぎないともいえます。
株式市場ではおおまかに、前者のような場合を「ハードランディング」、後者を「ソフトランディング」と呼んでいます。
米経済がハードランディングした場合
ハードランディングでは失業率が上昇し、景気の悪化で消費が下方屈折するなど経済に大きな影響が出ることが予想されます。企業業績も落ち込み、ドルが売られる公算が大きいといえるかもしれません。景気対策として利下げが行われることで金利が低下(=債券価格の上昇)するため、債券は魅力的な投資先となりそうです。ドルから金に資金が向かうことも想定されます。景気の深刻な悪化では、景気に敏感な銅などの市況が下げ、ガソリン(原油)の使用量も減ることでしょう。米経済がソフトランディングした場合
ソフトランディングでは失業率の上昇は限定的で、消費の腰折れなども避けられる可能性が高いといえます。このケースでは企業業績があまり悪化しないので、株式市場が上昇を続けることが想定されます。金利の低下もマイルドで、ドルの値段も底堅い展開が想定されます。軽微な景気後退後の経済拡大を織り込むため、株式が魅力的な資産になると思います。経済が拡大すれば銅や原油などのコモディティ(商品)などへの需要が増加しそうですね。日本経済への影響
米国がハードランディングを迎えれば、当然ながら日本経済にも影響するでしょう。消費が鈍ればクルマなどが売れなくなり、設備投資も滞るためFA(工場自動化)や半導体関連のニーズも減少しそうです。結果、輸出も減少します。ドル安になるので、円資産の価値が相対的に上がることになるでしょう。ソフトランディングであれば、大きな影響はなく通常の経済と同じような状態が継続するでしょう。結論を申し上げれば、リセッションの程度によって有効な生産防衛手法が変わってくると思います。