亀山早苗の恋愛コラム

職場の上司を次々と…不倫でスピード出世した彼女が「女を売りにするのを封印」した意外な理由(2ページ目)

語学も堪能で仕事ができる同期の女性。次々と上司を篭絡(ろうらく)し、順調に出世街道をひた走る。女を売り物にしてと陰口をたたくものもいるが、よくよく話を聞いてみると、だらしない父親への憎悪から男性を踏み台にして復讐をしているのだという。女を下に見る男と闘ってきた彼女は、部下の女性たちからの信頼がとても篤い。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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猛スピードで出世した彼女の意外な原動力

アヤさんは20代後半でチームリーダーとなり、30代前半で課長補佐となった。

「ちょうど部長が替わってしばらくたったころで、アヤは部長と関係をもったと噂されていました。彼女が知らん顔しているから、すべてが噂の域を出ない。そんなとき、たまたまふたりで仕事をする機会があったんです」

エイコさんは婚約したばかりだった。仕事を続けるのかとアヤさんに聞かれ、「続けるけど、生活のためと割り切る」と言うと、アヤさんは「それもいいかもね」と言った。

「そのときアヤの原動力を聞かされました。アヤのお母さんは横暴な父親と義母に我慢しながら仕えたそうです。父親は浮気相手を家に連れ込むなどやりたい放題だった。そんな男たちに復讐するために自分は体力知力を鍛えて頑張ってきたんだって。『バカみたいよね』と彼女、寂しそうに笑っていました」

女性を正当に評価しない男たち

上司を踏み台にしてのし上がってきたという噂も、あながち間違いではないらしい。それでも彼女は、「男を踏み台にできるのは若いときだけ」と割り切っていたようだ。

「女性を正当に評価しない会社の上層部男性たちへの復讐もあったみたいですね。ただ、彼女は上司たちへの告発はしていない。上司とそんな関係になると、別の上層部が嫉妬から勝手に人間関係を壊していく。そんな図式もバカバカしくておもしろいと彼女は言っていました。彼女自身は会社から調査されても『私は結婚しているわけではないから、恋愛は自由ですよね』と乗り切ってきた。そもそも、恋愛感情はないから同一人物と関係を繰り返しているわけでもない。上司たちが勝手に執着しているだけ。そう聞くと、彼女のしていることはかえって爽快感があります(笑)」

彼女とじっくり話してからは、むしろファンになってしまったというエイコさん。アヤさんの話を聞けば聞くほど印象が変わっていった。

アヤさんが「女を売りにするのを封印」した理由

そしてつい最近、課長となったアヤさんは、「女を売りにするのを封印した」そうだ。「もうそんな時代でもないしね」と軽やかに言ったという。

「ただ、彼女はいわゆる“名誉男性”とは違う。女を売りにしてきたように見えるけど、実際には常に男社会と、そして女を下に見る男と闘ってきた人なんです。だから今、女性たちは彼女のもとで生き生きと働いています。営業一課は風通しがよくて、結果的に男性も働きやすくなっているように見える。これを機に会社全体が変わっていくんじゃないかと女性たちは期待しています」

組織は少しずつしか変わっていかない。だが、少しずつでも変わっていくとも言える。アヤさんに賛同する人もいれば眉をひそめる人もいるだろう。

「アヤと話していると、目的のために手段を選ばないこともある意味では必要なのかなと思うんですよ。最初は彼女も男たちへの復讐みたいな意味合いがあったのかもしれないけど、結果、社の女性たちのためになったわけですから。失敗すれば自分の立場が危うくなる恐れもあった。賛否あるとは思うけど、うちの会社にとっては悪くはなかった」

男を使ってのし上がっていく女性がいるのは、今に始まったことではない。正当に「のし上がれない」のなら、踏み台を使ってもいいではないか。それも昔とは違って、女性がまったく被害者意識などもたずにスマートに。そんな考え方をする女性がいても不思議はない。
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