夫婦関係に問題が生じたときこそが「人生の岐路」
朝子さんのように夫婦関係に問題があり、一日を始めるのにも精神的に大変な思いをしているというケースが、『グッド・ライフ』にもありました。本の3章、人生の岐路について書かれている部分です。被験者のイヴリンさん(49歳)は夫の浮気を告白されてから1年間、心に痛みを感じ、朝起きて仕事に行くにも力を振り絞らなければならなかったそうです。1年は長かったと思います。しかし、イブリンさんの場合、その後、離婚をし、再婚をしたことによって自分の人生で一番充実した時間を過ごしていると言いきっています。
人間関係(朝子さんとイブリンさんは結婚相手)が原因で、パワーダウンしたのであれば、意を決して環境を変える、対処することで復活できます。夫婦関係の危機的状況を人生の岐路と捉えて動くことも必要です。岐路にいるのに、見過ごしてあきらめてしまうとどうなるか。おそらくイヴリンさんは健康を害してしまったことでしょう。
「限られた時間を誰と過ごしたいですか?」と尋ねれば、朝子さんはまだ30代なので「昔みたいにやさしい夫に戻ってくれるなら夫です」と答えるかもしれません。ただ、夫が昔のようにやさしい夫に変わるかどうかは誰にもわかりません。ではどうするか。「人間関係にもエクササイズが必要である」と本にはあります。
まさに、それだと筆者は思います。
凝り固まった夫婦関係をときほぐせれば……
夫婦問題を見続けていると、合理的に暮らすことが正解で、夫婦もコストパフォーマンス、タイムパフォーマンスを良くして、個々を尊重しながらやっていこうね、という雰囲気のカップルを見かけるようになりました。ただ、これだと、家事分担がうまくいかないと不満が出る、一人の時間を大切にしすぎて真意が伝わりきらない、対話をせずマウントを取り合うなどの問題が出てきます。また、マンネリとか倦怠期という言葉で「こんなもんだろう」と思い込んではいけません。夫婦関係も刺激を与えたり、環境を変えてみたり、対話のアプローチを変えたり、夫婦間エクササイズを意識しないと凝り固まってしまいます。岩のごとく凝り固まった夫婦仲は、介護放棄や熟年離婚につながってしまいます。「一緒にいるのにお互い寂しい、一緒にいると家事が便利なだけ」こんなことを言う熟年夫婦のお話を幾度となく聞いています。
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