子どものころから、親にも先生にも「かわいげがない」と言われてきた
小さいころからかわいくないと言われて育った
「私は子どものころから、何かあると『どうして?』『なんで?』と、やたらと言う子だったらしいんです。自分が納得できないと何も認めない、受け入れない。いわゆる強情な子だったみたい。小学校に入ったばかりのとき、同級生が遅れて学校に来たんです。何か事情があったらしいんですが、子どもにはわからない。『遅刻したらいけないんだよ』と大声で彼女を責めた記憶があります。そうしたら先生が『今日はいいの』と言ったから、いつも遅刻はいけないって言っているのに不公平だと大騒ぎしました」照れたようにキヨコさん(40歳)は言う。子どもならではの疑問を口にしただけだろうし、遅刻の件も正義感からだったのだろう。だがそのとき、教師が一言「あなたは本当にかわいくない」と洩らしたこともよく覚えているそうだ。
親や祖母にも「かわいげがない」と言われた
「私、家でも祖母や母によく言われていたんです。『あんたはかわいくない、かわいげがない』って。でもそれは私が、祖母や母に異論を唱えたときに返ってくる言葉だと気づいてた。人は反論されると、女の子には『かわいくない』と言うんだなと思っていました」かわいくない女の子は好かれない、愛されない。そういう刷り込みをされたのだとキヨコさんは言う。
「もともと誰かに頼るタイプではなかったんでしょうね。私には3歳違いの妹がいるんですが、彼女はとにかく人に甘えて頼って、するすると生きていくタイプ。ああいう生き方もあるんだなと思っています」
キヨコさんが結婚したのは35歳のとき。ひとりで生きていくつもりだったが、いつの間にか寄り添ってくれる人がいて、つきあって5年、彼から無言の圧を感じ、ようやく婚姻届を書いた。
「それまでも恋愛はしていたけど、だいたい相手が私に愛想を尽かして去っていくというパターンだったんです。なんせかわいげがないので(笑)。自分が会いたいときはストレートに会いたいと言いますが、たとえ断られても平気なんです。忙しいから来週ねと言われればわかったと言っちゃう。でも相手は『会いたい』とうじうじする女性が好きなこともあるんですよね。人生、仕事だの趣味だのといろいろ忙しいじゃないですか。その人がいなければ生きていけないわけでもないし」
そんなドライで超現実的なところが、大恋愛を生まない要因だったと彼女は笑った。
>義母からも同じような言葉を投げかけられる