Q:妻が63歳からの特別支給の老齢厚生年金を受け取らなければ、このまま夫は妻が65歳になるまで加給年金はもらえますか?
「私は夫よりも7歳年下です。夫は現在、加給年金をもらっています。私は夫の扶養を外れて働いていて、20年以上厚生年金保険料をはらってます。妻である私が63歳からの特別支給の老齢厚生年金を受け取らなければ、このまま夫は私が65歳になるまで加給年金はもらえますか? 63歳からの年金より加給年金の方が金額が高いので。よろしくお願いします。夫は昭和30年生まれ、妻が昭和37年生まれです」(みんちゃんのママ)特別支給の老齢厚生年金をもらわなければ、夫の加給年金はもらえる?
A:妻の厚生年金加入期間が20年以上となり、特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生する場合は、夫は加給年金は受け取れません
加給年金とは厚生年金保険に加入し被保険者期間が20年以上ある人が、65歳に到達したとき、生計を維持しているなどの要件を満たした配偶者または子がいるときに加算される年金です。配偶者がいることによって加給年金をもらうためには、以下の要件を満たす必要があります
・配偶者が65歳未満であること
・配偶者の年収が850万円未満であること
・配偶者が被保険者期間20年以上の厚生・共済年金期間に基づく特別支給の老齢厚生年金、老齢厚生年金を受け取る権利がない、または障害厚生年金を受けていない
以前は、配偶者が、被保険者期間20年以上に基づいた老齢厚生年金を実際に受け取っていなければ、配偶者加給年金はもらえました。ところが、令和4年4月に制度の改正があり、配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金を実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合(在職老齢年金制度により支給停止となっている場合等も含む)、加給年金は支給停止されることになったのです。
制度改正はされましたが、経過措置があります。以下の(1)(2)の両方を満たすようであれば、令和4年4月以降も引き続き加給年金の支給が継続されます。
(1)令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金に加給年金が支給されている
(2)令和4年3月時点で、配偶者に厚生年金の被保険者期間が20年以上ある老齢厚生年金などの受給権があり、全額が支給停止されている
相談者「みんちゃんのママ」さんの場合、昭和37年生まれの女性で、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取るようです。上記の(1)の要件は満たしているようですが、(2)の要件は満たしていないように思われます。
厚生年金の被保険者期間が20年以上あるため、在職老齢年金制度などによって、老齢厚生年金が支給停止され特別支給の老齢厚生年金などを受け取らなくても、受給権があれば加給年金は支給停止になります。詳しくは年金事務所などに確認してみましょう。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)