実際のところどのくらいの割合が共働き世帯なのでしょうか?
今回は、さまざまな統計から、共働き世帯の最新の“実態”を読み解いていきます。
専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移
画像のグラフは、1980年から2022年までの、専業主婦世帯と共働き世帯の数の推移を示したものです。このグラフを見ると、1980年以降、共働き世帯数はほぼ右肩上がりに増え続けている一方で、専業主婦世帯はおおよそ右肩下がりに減少していることがわかります。そしてその結果、1997年以降、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り続けており、2022年の最新の統計では、専業主婦世帯が539万世帯であるのに対し、共働き世帯が1262万世帯と専業主婦世帯の2倍以上の数になっています。
このように統計で見ても、共働き世帯はかなり一般的なものとなりつつあります。
共働き世帯の妻の働き方の変化
次のグラフは、共働き世帯において妻がフルタイム(週35時間以上就業)で働いている世帯の数と、パートタイム(週35時間未満就業)で働いている世帯の数の変化を示したものです。妻の働き方別に見ると、妻がフルタイムで働いている世帯数は、1985年以降、400~500万世帯の間を横ばいで推移しており、30年以上あまり大きな変化はないことがわかります。しかしその一方、妻がパートタイムで働いている世帯数は1985年以降、約200万世帯から約700万世帯へとここ30年で急激に増加しており、妻がフルタイムで働いている世帯数を2000年までには追い越していることがわかります。
つまり、ここ数十年の間、共働き世帯の数が上昇しつづけているのは、妻がパートタイムで働いている世帯数が急激に増加しているからといえるでしょう。
なぜ、妻がパートタイムで働く世帯が増えているのか?
では、いったいなぜ妻がパートタイムで働く世代が増えているのでしょうか。その大きな要因の1つとして、世帯平均年収が全盛期に比べ下がっていることが挙げられます。 グラフは、1世帯あたりの平均総所得金額の推移を示したものですが、全盛期の1994年に比べると、最新2015年の世帯平均年収の総額は100万円以上も減少していることがわかります。減った所得を補うために、共働き世帯が増えるのは自然な流れといえるでしょう。 しかしながら、妻がフルタイムで働く世帯数が増えない理由には、日本社会にある税制、社会保障制度、企業の配偶者手当といった制度・慣行が関係していそうです。実際に国が行った調査では、パートタイムで働く妻のうち、所得が50万~99万円の方の57.5%、所得が100万~149万円の方の54.4%が、収入を一定の金額以下に抑えるために就業時間や日数を調整する「就業調整」をしていると回答しています。つまり、諸々の事情を考慮して、「扶養の範囲内で働く」といったような選択をする妻が多くなってしまっているのが現状といえるでしょう。