読者や視聴者から寄せられた投資や株主優待にまつわる質問に、桐谷さんが回答してくださいました。
読者や視聴者から寄せられた投資や株主優待にまつわる質問に、桐谷さんが回答してくださいました。
Q:株で“これはやっちまった”という最大の失敗はありますか?
「株で“これはやっちまった”という最大の失敗はありますか。また“これだけは絶対やらない”ことはなんですか?」(よし/41歳/埼玉県)――今回はこんな質問に、桐谷さんが答えてくださいました。
「リーマン・ショックで買い増ししてしまって……」(桐谷さん)
まず「これだけは今後、絶対やらない」ということでいうと、「借金をして株を買うこと」はやらないことにしました。信用取引で大損したので。「やっちまったな」という失敗ですが、これはリーマン・ショックですね。投資銀行のリーマン・ブラザーズが2008年の9月15日に経営破綻したんです。それをテレビのニュースで見て、これは下がるなと思ったんですよ。当時、信用取引で2700万円ぐらいの損失があったんで、これを何とかしなきゃいかんとなって。
その日は月曜日で祝日だったんですが、翌日の火曜日にある株式評論家の人がネットのコラムに「大逆転のチャンス」という見出しで、「アメリカ株が下がって日本株上がる」って書いていたんですね。
というのは当時の三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)がアメリカの潰れそうな銀行に融資して、野村証券が破綻してしまったリーマン・ブラザーズのアジアの拠点を引き取ったというので、日本株が上がると。
それを見て信用取引で大量に買ってしまったんですね。そうしたら、その直後から株がさらに下がって、大損しまして。しょうがなしに優待で生活する羽目になってしまったんです。
だから「やっちまったな」っていうのは、リーマン・ショックのときに整理すべきものをさらに買い増ししてしまったということですね。そのため、3週間後から1日2000万円ずつ、3日連続で損失を出し、さらに下げ続けたという……。これは本当に、死にそうになりましたね。
現物取引なら下がってもいいんですよ。どうってことないです。ですが、信用取引なので、値下がりすると担保不足になって、「現金を入れるか、勝手にこっちで株を売却しますよ」という連絡が来るわけです。いわゆる追証(おいしょう)といいまして、それがつらかったですね。
教えてくれたのは……桐谷広人さん
1949年広島県出身。将棋棋士・投資家。日本テレビ系バラエティ番組『月曜から夜ふかし』に出演し、現金を使わない「株主優待生活」が話題になった。現在はテレビや講演会、雑誌などで幅広く活躍。『日経マネー』(日経BPマーケティング)、『ダイヤモンドZAi(ザイ)』(ダイヤモンド社)で連載中。