実際に東京消防局が2016年に行った「火災の危険が高いと思うもの」について調査したアンケートによると、『石油ストーブ』と答えた人が80.1%であるのに対し、『電気ストーブ』と答えた人はわずか4.2%でした(※1)。やはり電気ストーブは火が出ていないので安全なイメージがあるのでしょう。
しかし実態は、『電気ストーブ』による火災が76%であるのに対し、『石油ストーブ』は11%と、大半が電気ストーブによるものなのです(※1)。さらに製品評価技術基盤機構(NITE)に通知された製品事故情報では、2017年度から2021年度の5年間に『こたつ』と『電気ストーブ』の事故は347件発生しており、そのうち26件は死亡事故となっています(※2)。
ヒーターに布が接触して発火する
火災を起こしにくいと思われがちな電気こたつや電気ストーブは、就寝中に使用されたり、周囲に燃えやすいものがあっても油断されたりする傾向にあります。しかし実際には、衣服や布団がヒーターに接触することによって着火し、重大な火災を引き起こしているのです。電気こたつの中に、こたつ布団や洗濯物を入れたことで火災になった例もあります。さらに注意したいのが、延長コードや電源コードの劣化や破損です。2023年1月に神戸の集合住宅で発生した死傷火災を機に、改めて注意喚起されています。長年使い続けていたり、踏みつけたりして破損したコードは、ショートや過熱、トラッキング現象を起こし、出火する原因になるのです。これは暖房家電に限った話ではありません。
ここからは、暖房家電で火災を起こさないために注意すべきポイントを紹介します。
暖房家電を使う際に守るべき4つのポイント
1. 燃えやすいものの近くで使わない
ストーブ(電気ストーブ含む)の近くに燃えやすいものがないか、確認しましょう。上に干した洗濯物が落ちたり、近くのカーテンがストーブにかかったことで発火した例もありますので、そのときに触れていなくても注意が必要です。また、こたつの中に、こたつ布団や洗濯物などを入れないようにしましょう。2. 外出時・就寝時は電源を消し、プラグを抜く 電気ストーブをつけたまま就寝し、布団などがヒーターにかかって発火した例が報告されています。就寝中で発火に気がつかないうちに燃え広がっている場合も。また外出中、ペットが布を運んだり、コードをかじったりして火災になった例も報告されています。
3. 電源コードを点検する 電源コードに破損や異状がないか、使用前に確認しましょう。使用中に異常に熱くなっている場合も要注意です。電源プラグにホコリが溜まっていると、トラッキング現象を起こして発火する場合もありますので、定期的にお手入れを行いましょう。
4. リコール対象製品でないか確認する
近年は、中古家電による発火事故も多く発生しています。特に暖房家電はリコール対象製品でないか、経年劣化していないか、改めて安全性を確認しましょう。
安全性の高い暖房器具を使おう
暖房器具の中で安全性が高いのはエアコンです。 電気ストーブの使用に不安がある場合は、できるだけエアコン暖房を使用し、電気ストーブは目の届く範囲での使用に留めましょう。特にお年寄りのいるご家庭では、古い暖房家電を使っていることが多いので要注意。火災が発生したときに逃げ遅れる可能性もあるので、ご家族や身近な人が確認するといいですね。就寝中の使用には、オイルヒーター(ノンオイルヒーター含む)もおすすめ。表面が熱くなりすぎず、電気ストーブに比べると火災や火傷のリスクが少ないためです。もちろん上から布や布団がかかると過熱するおそれもあるので、使用環境には注意が必要。また、電気代が高くなる場合があるので、省エネモードが搭載されているものを選ぶと安心です。
※1:東京消防庁「電気ストーブ等の火災に注意しましょう!」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-yobouka/topics/201610/e_stove/
※2:製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.41 12月13日号 『電気暖房器具の事故』」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2022fy/vol418_221213.html