実はSIMカードは“借り物”
スマートフォンでモバイル通信を利用する上で、必須の存在でもあるSIMカード。これは携帯電話会社から契約すると渡される、契約情報などが書き込まれたICチップで、スマートフォンに挿入することで通信できるようになるものだということは、スマートフォンに詳しい人ならご存知かと思います。 ですが携帯電話会社を乗り換えたり、解約したりした場合、当然のことながら従来使っていたSIMカードは使えなくなってしまいます。そこで問題になってくるのが、解約後に手元に残ったSIMカードの扱いです。SIMカードは携帯電話会社から購入した、あるいはもらったものだからそのままゴミとして捨ててしまって問題ないのでは?と思っている人も多いかもしれません。しかしSIMカードを勝手に捨ててしまうと、後からトラブルが生じる可能性もあるのです。
SIMカードは携帯電話会社からユーザーに貸し出しているだけであることが多く、その場合SIMカードの所有権は携帯電話会社側にあります。それゆえ解約後に残ったSIMカードは、携帯電話会社に返す必要があるのです。
実際携帯電話会社の中には、SIMカードを返却しないと後から料金を請求するなど、何らかのペナルティを設けるケースがあります。特に携帯大手から回線を借りてサービスを提供している、「格安スマホ」「格安SIM」などで知られるMVNO(仮想移動体通信事業者)は、携帯電話会社から借りたSIMカードをユーザーに貸し出してサービスを提供していることから、リスク回避のためかSIMカードの返却に厳しいルールを敷くケースが時折見られます。
MVNOの1つ「トーンモバイル」のWebサイトより。トーンモバイルは解約時にSIMの返却を求めており、解約月の翌々月25日までに返却がなされなかった場合は紛失手数料を支払ってもらう場合があるとされている(赤枠部分)
SIMカード返却のルールはまちまち、事前に確認を
ただ実際のところ、SIMカードの返却に関するルールは携帯電話会社や、各社が提供するサービスによってまちまちというのが正直な所です。・携帯大手3社の場合
携帯大手3社のメインブランドのケースを確認しますと、「NTTドコモ」と「ソフトバンク」はSIMの返却が必要とされていますが、KDDIの「au」は返却の必要はなく、自身で破棄してよいとされています。
・ソフトバンク「LINEMO」の場合
また同じ会社のサービスだからといって、SIMカードの返却ルールが共通している訳ではありません。例えばソフトバンクの場合、「ソフトバンク」「ワイモバイル」は解約後にSIMカードの返却が必要とされていますが、オンライン専用の「LINEMO」は自身で破棄してよいとされています。
・MVNOの場合
MVNOの場合はさらに、契約している回線のタイプによって返却の可否が分かれる場合があるので複雑です。ビッグローブの「BIGLOBEモバイル」を例に挙げますと、KDDI回線を用いた「タイプA」のSIMカードは返却不要ですが、NTTドコモ回線を用いた「タイプD」のSIMカードは返却が必要とされています。
・楽天モバイルの場合
また楽天モバイルのように、従来は返却が必要とされていたのが、最近になって返却だけでなく、自身で破棄してもよいとルールを変更がなされるケースもあります。そうしたことから解約後のSIMカードの扱いは、解約前に契約している携帯電話会社の規約やFAQを見る、あるいは問い合わせするなどして事前に確認しておいた方がよいでしょう。
SIMカードの返却に悩みたくないのであれば、物理的なSIMカードを使用せずに通信の契約や解約が可能な「eSIM」を使う手もあります。最近はiPhoneをはじめeSIMに対応する機種が増加傾向にあるほか、携帯各社やMVNOもeSIMに対応したサービスを拡大していることから、そちらにあえて移行してみるというのも悪くないのではないでしょうか。