電気いらずで24時間ポカポカ。豆炭コタツをご存じですか?
電気代が高くなりましたね。冬の寒さが厳しい信州にあるわが家では、かれこれ20年超、「豆炭(まめたん)コタツ」を使っています。電気代が高騰する中、思い切って昔ながらの豆炭コタツにチャレンジしてみませんか?豆炭コタツって何?
しかし、使い方によっては24時間いつでもポカポカで、電気コタツの比ではない強力な暖かさを、比較的安価なランニングコストで実現できます。今回は、豆炭コタツの良さ、具体的な使い方をお話しします。
コタツの中で豆炭を燃焼させるから、とにかく暖かい
豆炭は、「まめたん」と読みます。その名の通り、石炭や木炭などを混ぜて四角い豆のような形に固めた燃料です。豆炭コタツの外見は普通のコタツですが、コタツの中には普通よりも少し大きめの熱源部分が付いています。ここに「燃焼器」と呼ばれる金属の箱が入っていて、燃焼器の中に豆炭が最大で9つ入るようになっています。
火を起こした豆炭を燃焼器に入れると、1つの豆炭が約24時間、ゆっくりと時間をかけて燃えていきます。豆炭が燃焼する熱でコタツを暖めるのが、豆炭コタツの仕組みです。
豆炭コタツのいいところは、電気コタツとは桁違いの暖かさ。しかも使い方によっては24時間ずっとポカポカ。朝起きて、あるいは寒い屋外から帰ってきて、コタツに足を入れた瞬間からとっても暖かいのです。
朝晩で豆炭を半分ずつ入れ替えると、手間が省けて24時間暖かい
バーベキューで使う炭と似て、豆炭も着火が少し大変です。一度火がつけば、あとは放っておいても、炭と同じようにチラチラと時間をかけて燃えていき、最後には灰になります。しかし豆炭コタツを使うたびに火を起こしていたら、とても面倒です。そこで、わが家では朝晩の2回、つまり12時間おきに豆炭を半分ずつ入れ替えて使っています。灰になった豆炭を、朝は5つ、夜は4つ捨てて、代わりに新しい豆炭を入れます。この時、わざわざ新しい豆炭に火をつけなくても、燃焼器に残したすでに燃えている豆炭から火が移って自然に着火します。こうすると着火の手間は最初の一回だけ。その後は、24時間いつでも暖かいコタツをキープできるのです。
電気コタツは、人がいない間に電気が入っているのはもったいない気がしますが、豆炭コタツは電気を使いません。コタツが一日中暖かいことで、床や天板にも熱が伝わり、豆炭コタツのある部屋はそれだけでもほんのりと暖かく感じます。
わが家の居間は、豆炭コタツ1台と、昔ながらのヤカンが載るタイプの灯油ストーブ1台。暖房に電気は一切使っていません。寒さの厳しい土地ですが十分に暖かく、自然と家族が居間に集まってきます。災害時や停電時の暖房にも困りませんし、ひと手間かけて家族と環境にやさしいことをしている満足感もあります。
豆炭コタツ一式で3万円強と高額。でも一生モノです
ただ、物価高の中、豆炭コタツ本体も豆炭も値上がりしています。ネットで検索すると「やぐら(こたつ台)」と「燃焼器」で、3万円前後が現在の相場のようです。この他に「火起こし器」と「トング」、そして燃料の「豆炭」が必要になります。このように初期投資は高額になりますが、電気を使わないシンプルな構造の豆炭コタツは、めったなことでは壊れません。わが家の豆炭コタツは23年モノ。一度買ったら、ずっと大切に使えます。
豆炭はひと袋12kg、約2000円でホームセンターに売っています。こちらも数年前に比べて倍近くに値上がりしています。冬の寒い時期は、1カ月に1袋のペースで消費しますが、晩秋や春先の寒さが厳しくない時期には、燃焼器に入れる豆炭の数を減らして消費ペースを調整できます。
豆炭価格の高騰、保管場所、灰の処理(多くの自治体では可燃ゴミとして処理)、1日2度の交換の手間など、特に都会暮らしではなかなか難しい豆炭コタツですが、その暖かさを一度知ってしまうともう離れられません。在宅時間の長い方、寒がりの方、そして家族団欒を大切にする方にはぜひ、豆炭コタツを試していただきたいと思います。
文/長島 美樹