Q:遺族年金を受け取るようになりました。医療費控除をやる意味はありますか?
●今回は編集部が設定した以下のケースに、専門家が回答します。「夫が亡くなり遺族年金を受け取るようになった50歳の専業主婦。今年分の医療費が多く年間100万円ほどかかったが医療費控除を確定申告する意味はあるのか?」
遺族年金をもらっている50歳の専業主婦。医療費控除を確定申告したほうがいい?
A:所得税を納付していないので、確定申告で医療費控除をする意味はありません
最初に、医療費控除について確認します。医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、本人または本人と生計を一にする配偶者や、その他の親族のために支払った医療費が、一定の金額を超えた場合に受けられる所得控除になります。支払った所得税の一部が還付(振り込まれる)される制度です。
このケースでは、専業主婦で給与収入もなく、遺族年金のみの収入で生活しているとのことなので、支払う所得税がありません。法律にもとづいて支払われる遺族年金には、所得税は課税されないからです。したがって、確定申告で、医療控除をする意味はありません。
100万円ほどの高額な医療費を支払ったとのことであれば、健康保険の高額療養費制度を利用してみましょう。
高額療養費制度とは、病院などの医療機関や、薬局の窓口で支払った額(食費や差額別途などは含みません)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担の上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。
このケースは専業主婦とのことですので、国民健康保険に加入しているかと思います。その場合、高額療養費の支給申請は、市町村の国民健康保険の窓口に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで支給が受けられます。
医療費控除制度は税金を軽減できる制度になりますが、高額療養費制度は健康保険の制度になりますので、全く違う制度になります。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)