シニア世代は、端末買い替えの必要性に迫られている
とりわけ最近では、スマートフォン決済やマイナンバーカードを使った行政サービスなど、スマートフォンを使わないとできないことが増えているのに加え、ソフトバンクは2024年、NTTドコモは2026年に3Gのサービスを終了する予定。長く携帯電話を変えていないことが多いシニア世代が、端末買い替えの必要性に迫られているのは確かです。そうした時、どの端末に買い替えさせるべきかというのは多くの人が悩むところではないかと思います。ではシニア世代に向けてどのような端末を選ぶべきか?というと大きく3つのパターンがあり、それぞれのメリットとデメリットを考慮しながら選択するのがベストといえそうです。
選択肢1. シニア向けスマートフォン
最もスタンダードな選択肢は、シニア向けに開発されたスマートフォンです。こうしたスマートフォンは片手で持ちやすいコンパクトなサイズ感であることが多く、携帯電話から買い替えても持ちやすいのに加え、視力が落ちているシニアでも見やすいよう文字やアイコンなどの表示が大きく、操作もしやすくなっています。 そうした機種の多くは紙のマニュアルが付いているので、インターネットの利用が得意でない人でも、分からないことがあった時に慣れ親しんだ紙のマニュアルで調べられることから安心感があります。そうしたスマートフォンはシニアの利用が多い携帯大手3社のメインブランドとサブブランドから提供されており、代表的なシリーズは以下の通り。買い替えの際は利用している携帯電話会社のショップに直接相談するのが安心でしょう。・NTTドコモ:「らくらくスマートフォン」「あんしんスマホ」シリーズ
・au/UQ mobile:「BASIO」シリーズ
・ソフトバンク:「シンプルスマホ」シリーズ
・ワイモバイル:「かんたんスマホ」シリーズ
ただシニア向けスマートフォンは基本的にOSがAndroidで、シニア向けに特化している分ホーム画面などのインターフェースも通常のAndroidと違う部分が多いことから、とりわけ自身がiPhoneを使っている場合は親に「操作が分からない」と聞かれても教えるのが難しいのが弱点といえます。もちろん携帯電話ショップが近くにあればいつでも使い方を教えてもらえますが、そうでない場合は困ってしまうことが多い選択肢ともいえるでしょう。
選択肢2. iPhone
子ども側の視点から安心できる選択肢は、やはりiPhoneとなるでしょう。iPhoneは日本で利用者が最も多く、子どもがiPhoneを使っているなら親から子どもに直接使い方を教えられますし、そうでなくても近所の人や友達などにiPhone利用者がいれば、使い方を教えてもらいやすいでしょう。値段は他のスマートフォンと比べ安くありませんが、iPhoneは携帯各社が販売に力を入れているので、携帯電話ショップに行けば非常に安い価格で購入できることが多いのもメリットです。とりわけ低価格モデルの「iPhone SE(第3世代)」などは、コンパクトでホームボタンがあり操作も分かりやすいことから、おすすめしやすいのではないでしょうか。 一方で、シニア向けに特化したインターフェースや機能が備わっている訳ではないことから、スマートフォンに慣れていないシニアがいきなり使い始めるにはそれなりのハードルがあるのも確か。購入するシニアの周囲に操作を教えられる人がいるかどうかが、iPhoneにするかシニア向けスマートフォンにするかの判断基準となりそうです。
選択肢3. 従来型の携帯電話(いわゆる“ガラケー”)
ここまでスマートフォンの選択肢を紹介してきましたが、シニア世代の中にはそもそもスマートフォンは必要ない、音声通話とメールだけで十分、という人も少なくないかと思います。そうした人達に無理にスマートフォンを使わせるとかえってストレスになってしまう可能性もあるので、あえて“ガラケー”などと呼ばれる従来型の折り畳み型携帯電話を選ぶという手もあります。最近ではほとんど新機種を見かけることがなくなった折り畳み型の携帯電話ですが、それでも楽天モバイルを除く3社のメインブランドでは継続的に何らかの機種を投入しており、選択肢が全くない訳ではありません。バリエーションはあまり多くありませんが、シニア世代にとって操作方法をほぼ変えることなく馴染みの機能が利用できる、安心の選択肢となることは確かです。 ただ従来型の携帯電話では、スマートフォンでしか利用できない多数のアプリやサービスは利用することができません。とりわけ今後は行政サービスなどもスマートフォンを前提としたものが増え、スマートフォンを使っていないと不便になる機会も増えてくるだけに、先々のことを考えればあえてスマートフォンに乗り換えて使い方を覚えてもらった方がよい、という考え方もあるかもしれません。