離婚

夫の浮気相手に対する「慰謝料請求」は、いくらが相場?収入や職業は慰謝料に関係あるのか

夫の浮気相手に対する「慰謝料」請求は、いくらが相場なのでしょうか? 卓球元日本代表・福原愛さんのケースを例に、のべ3万5000件以上の相談にのってきた夫婦問題研究家の岡野あつこが解説します。

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド

福原愛さん「元妻からの慰謝料請求」報道

卓球元日本代表の福原愛さん(34歳)が、現在の交際相手とされる男性の元妻から1100万円の慰謝料を請求する訴訟を起こされたとの報道から一転、訴訟が取り下げられたと報じられています。
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当時の報道では、1100万円の内訳は、不貞行為に対する精神的苦痛として300万円や、離婚に対する精神的な苦痛として500万円などとのこと。訴状には、福原さんは相手が既婚者であると知りながら略奪し自宅に招いていたことなどが記され、その証拠として福原さんが送った「ラブレター」も添付されていたといわれています。

不倫騒動が明るみに出た後、福原さん夫婦もお相手の夫婦もそれぞれ離婚をし、現在福原さんとお相手の男性は3億円の新居にて2人で暮らしているのだとか。子どもの「連れ去り事件」なども報道され、トラブル続きの印象を受けます。

筆者のまわりでも「不倫をしたのだから、その分の罪をお金でつぐなうのは自業自得でしょう」「有名人だから一般人よりたくさんのお金をとられそう」「自分たちが困るのは仕方がないけれど、子どもがかわいそう」といった感想が聞こえています。
 

離婚慰謝料は誰に対して請求するもの?

慰謝料とは、精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償です。離婚の場合の慰謝料は、不貞や暴力など離婚原因である有責行為をした者に対する損害賠償請求のことをいいます。

一般的には、慰謝料はパートナーに対して請求するもの。今回のケースなら、元妻は自分の元夫に対してする、ということになります。

ところが、状況によってはパートナー以外に請求することもあるのです。たとえば、不倫や浮気といった不貞が原因で離婚にいたった場合、不貞行為をした側は「貞操保持期待権」という権利を侵害し、精神的苦痛を与えたことになります。そして、耐えがたい苦痛を味わった先方のパートナーに対して、その責任を負わなければならないとされています。

もしも、ラブレターのような決定的な不倫の証拠がある場合、慰謝料を払う流れになっても仕方がないでしょう。
 

有名人や高所得者は「たくさん支払う」必要がある?

ただ、「有名人や芸能人だから」とか「ものすごく稼いでいるから」といって、他の人たちより格段に多い慰謝料を支払わなくてはいけないかというと、そういうことでもありません。

では何を判断基準に不貞相手への慰謝料の金額は決まるのでしょうか。

それは「どれだけ長く、精神的苦痛を与えていたか」によって決まります。つまり、ダメージを与えていた時間の長さ、ということです。

たとえば、「若い頃から何十年も不倫関係を続けていて、定年退職を機に離婚することになった」というような長年にわたって苦しめられ続けていた熟年離婚の場合、相場より高額になることが多いでしょう。一方で、若い世代で不貞の証拠をおさえてからまだそれほど年月がたっていないという場合、それほど高額な慰謝料は発生しない、というのが筆者の印象です。

不倫された妻からすれば、「1100万円だって足りないくらい深く傷ついたわ!」と憤慨するかもしれませんが、筆者が見てきたなかでは不倫で1100万円を支払うことになったケースはほとんどありません。経験値に基づく相場としては、300万~500万円がいいところでしょう。
 

福原さんの今後はどうなる?

すでに解決済みの案件とはいえ、福原さんの場合、訴訟を起こした元妻はそういったことも踏まえた上で、あえて1100万円と大きく出た可能性もあります。

今回の一件に限らず、離婚カウンセラーの立場でアドバイスとしては、もしも浮気した側の女性に経済力があり、元妻から略奪した今のお相手との再婚のことまで見据えて幸せになることを願うなら、元妻には慰謝料としてそれなりのお詫びをしておくことをおすすめします。そのほうが、「本当に申し訳ないことをしましたが、せめて受け取っていただければ……」という気持ちを伝える収め方ですし、自分も含め、関わった人たちに対するうしろめたさが和らぐ唯一の方法ではないかと思うからです。
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