Q:年金の手取り額をなるべく減らさない方法はある?
●今回は編集部が設定した以下のケースに専門家が回答します。「59歳・男性・会社員。65歳からもらえる年金の手取りを、なるべく減らさない方法はある?60代も会社員として働き続ける予定だが、収入が多すぎると、年金が減ってしまう?」
もらえる年金の手取り額を減らしたくない……! いい方法はある?
A:健康保険料や税金は、要件を満たした人が負担することになります。ただし税金には所得控除の制度がありますので確認してみましょう
老齢年金は、原則65歳になると受け取ることができますが、老齢年金を受け取ると、税金や社会保険料が引かれることがありますので、実際に受け取れる手取り金額が少ないと思うことがあります。老齢年金は「雑所得」として扱われ、税額が計算されます。老齢年金の雑所得は、年金収入金額から、公的年金等控除額(65歳以上は110万円)、基礎控除(48万円)、などの各種控除や社会保険料を差し引いて算出します。したがって、65歳以上の人は158万円未満の年金収入であれば、年金から所得税が引かれることにはなりません。
年金受取額が158万円以上の人は、年金支給額から源泉徴収(天引き)されます。その他に、住民税、健康保険料(75歳からは後期高齢者医療保険料)、介護保険料が引かれることになります。
住民税や健康保険料は市区町村で異なりますので、住んでいる市区町村で確認することができます。
なお、医療費控除などの控除制度を利用して確定申告を行うと、天引きされた税金が戻ってきます。医療費控除は1年間に支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる控除です。日ごろから使った医療費がいくらなのか、領収書などで確認できるようにしておくことが大事です。
また、60歳以上で厚生年金に加入し、老齢厚生年金額を受け取りながら働くと「在職老齢年金制度」により、老齢厚生年金がカットされる場合があります。
令和6年7月現在では、月収等と老齢厚生年金の月額の合計額が50万円を超えなければ支給停止になりません。ねんきん定期便やねんきんネット等で、将来受け取れる老齢厚生年金額を調べることができますので、いくらの収入であれば、老齢厚生年金を全額受給できるのか調べておきましょう。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)