食生活・栄養知識

「ベーコンは生で食べると危険」って本当?加工肉は加熱なしで食べても大丈夫なのか

【管理栄養士が解説】ベーコンは豚肉を塩漬けしてくん煙した加工肉ですが、家庭での加熱は必要でしょうか? 実は日本の大手メーカーの製品はほとんどが生食でも安全に食べられる加工がされています。生で食べられるものかの見分け方、ソーセージやレトルトハンバーグ、ミートボールなどの加工肉の生食の可否について、わかりやすく解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

ベーコンとは「豚肉を塩漬けし、くん煙した加工肉」 

ベーコンは生で食べても大丈夫?加熱なしの加工肉の危険性は?

ベーコンやソーセージの加熱調理は必須? 安全に生食できる基準がわかれば、料理の幅も広がります

ベーコンやソーセージは必ず加熱して食べるものと思っていませんか? ハムと少し似ているベーコンですが、日本農林規格では、ベーコンとは

「豚のばら肉(骨付のものを含む。)を整形し、塩漬し、及びくん煙したもの」
「ミドルベーコン又はサイドベーコンのばら肉(骨付のものを含む。)を切り取り、整形したもの」

と定義されています。「ミドルベーコン」は豚の胴肉を原料とし、「サイドベーコン」は豚の半丸枝肉を原料としていますが、塩漬けとくん煙を行う工程は同じです。

この工程を見る限り、くん煙処理はされているものの肉がしっかりと加熱殺菌されているようには見受けられないため、やはり必ず加熱して食べなくてはいけないと思われるかもしれません。

しかし、実を言うと、日本国内で一般的に市販されているベーコンは、生で食べられるものも多いのです。
 

生食でも安全なベーコン・加熱しないと危険なベーコンの見分け方

では、生食できるベーコンかどうかを見分けるには、どうすればよいのでしょうか? チェックすべきなのは購入したベーコンに「加熱食肉製品」の文字があるかどうかです。

「加熱食肉製品」には、包装容器に入れた後加熱殺菌した「包装後加熱」と、加熱後に包装容器に入れた「加熱後包装」の2種類がありますが、いずれの場合も、「食品の中心部の温度を63℃で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法以外の方法による加熱殺菌を行った食肉製品をいう」と定められています。

食品の中心温度が63℃で30分間加熱処理を行えば、食肉中の食中毒の原因となる細菌やウイルスは死滅すると考えられています。

なぜ63℃なんて中途半端な温度なの?と思う人もいるかもしれません。たしかに高温で長時間加熱すれば、食中毒のリスクはさらに減り、安全性は高くなります。しかし、あまり高温にしたり、加熱時間を長くしたりすると、風味が悪くなってしまうのです。すべての食中毒菌とウイルスが、それぞれ何度で何分加熱すれば死滅するかを実験して確認し、一番しぶとく生き残った食中毒菌やウイルスが死滅する温度と時間が「63℃で30分間」だったというわけです。
 
日本国内の大手メーカーの商品はほぼすべて「加熱食肉製品」ですので、自宅で加熱調理は不要なものが多いです。一方で、メーカー品ではないお店の自家製ベーコンなどは、その店舗に確認する方が安心だと思います。
 

市販のレトルトハンバーグやミートボールに加熱は必要か?

同様に、冷蔵のレトルトハンバーグやレトルトミートボールにも、加熱食肉製品の文字がある場合は、食べるときに加熱が不要な場合もあります。特にお弁当箱に入れる場合などは、加熱して温めてしまうと周りの料理が痛みやすくなるので、むしろ加熱しないほうがよいという話もあります。ただし、温めないと肉の脂が固まったまま食べることになってしまうかもしれませんので、美味しさが損なわれると考える方もいるようです。時短やおいしさなど、それぞれが優先したいメリットを考えて、それぞれにあった調理方法を選ぶのがよいでしょう。

また、パンチェッタベーコンは大丈夫なの?と思う人もいると思います。パンチェッタはイタリアの生食にも用いられるベーコンですが、加熱殺菌はなされていません。しかし、パンチェッタは1か月以上塩蔵して作られます。日本の「漬物」のような作り方で塩分濃度が高いため、生食をしても安全と言われていますが、生食を考えている方は、念のために購入時に店頭で確認してください。
 
肉の生食が危険なことはもちろんですが、適切に加工されたものは家庭での加熱調理が必要ないものもあります。パッケージを確認したり、店頭で店員さんに尋ねてみるなどして、料理の幅を広げてみてください。
 
■参考
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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