食生活・栄養知識

なすのあく抜き、実は不要?水にさらす目的と注意点

【管理栄養士が解説】なすのあく抜きは必要でしょうか? 不要でしょうか? 水さらしによるあく抜きの方法には、デメリットもあります。あく抜きの目的、水にさらす時間の目安・注意点、水さらし以外のあく抜きの方法、あく抜きを忘れた場合どうするか、あくは体に悪いのか等々、夏に旬を迎えるなすを美味しく食べるためのコツをご紹介します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

なすの選び方…7~9月頃に旬を迎える夏野菜だが、秋なすも美味!

なすのいろいろ

どんな料理にも使える万能野菜のなす。紫色のイメージが強いですが、いろいろな色があり、形も様々です。

なすは7~9月頃が旬の夏野菜です。「秋なすは嫁に食わすな」ということわざがありますが、秋のなすは身がしまって美味しいものが多いとされています。ただし、このことわざは「夏野菜であるなすを食べると体が冷えるため、大事な嫁の健康のために食べさせてはいけない」と言っていると考えられています。決して意地悪ではありませんので、念のため。

「なす」はインド原産。形も丸いものや長いものがあり、大きさも様々ですが、色も紫、白、緑と多種多様。日本で食用とされる品種も、細長い「長なす」や卵のような形の「丸なす」、さらには少し大きめな「米なす」などがあります。

美味しいなすの選び方は
  • 皮に光沢とハリがあるもの
  • ガクの下が白いもの(茶色くないもの)
  • トゲがある品種はトゲがとがっているもの
を選ぶのがコツです。
 

なすの栄養素・カロリー…紫色の正体はナスニンと呼ばれるアントシアニン

おいしそうななす

夏が旬のおいしいなす。水分補給にもってこいです。

なすのエネルギーは可食部100gあたり18kcal。食物繊維は2.2g。水分が93.2gですからそのほとんどが水分と考えてよいでしょう。カリウムやビタミンKなどを若干含んでいますが、さほど特筆すべき量でもないため、基本的にはその水分で体を冷やすために食べる野菜と考えてよいでしょう。

なすの皮の紫色はナスニンと呼ばれるアントシアニンという色素の一種です。鉄と結びつくことできれいな紫色になります。ぬか漬けにするときに一緒に釘を入れるのは、発色をよくするためです。アントシアニンは抗酸化作用を筆頭にさまざまな健康効果が知られています。上手にアントシアニンを食卓に取り入れたいですね。
 

なすを水にさらすのはなぜ? あく抜きの時間・方法

なすを切って放置すると、茶褐色に変化します。これは、なすの中に含まれているあくの影響です。あくのせいで味にえぐみが出てしまうので、水にさらすのはあく抜きをするためです。

なすを切ってから水さらしをするだけで、あくは簡単に取り除けますが、水にさらす時間は長くしすぎないようご注意を。なすの切断面から、旨味成分なども流れ出てしまうので、水にさらす時間は、長くても10分程度に留めましょう。

また、水にさらす以外に、塩をすり込むあく抜きの方法もあります。

なすに塩をすり込んで2~3分置くと、なすの水分が染み出してきてしんなりします。この水分ごと塩を取り除けば、あく抜きをすることができます。また、この方法を使えばなすの実が加熱前にしんなりしますので、調理しやすいのもメリットです。ただし、塩であく抜きをする場合は、多少の塩分が残るので、調理の際の味付けで調整することを忘れないようにして下さい。
 

なすのあく抜きを忘れたらどうなる? 油を使う調理や旬の走りは問題なし

ではあく抜きを忘れたらどうすればよいでしょうか? 実は、あく抜きは必ずしも必要ではありません。あくが体に悪いというわけではないからです。

まず、揚げたり炒めたりといった油を使った調理方法の場合はえぐみを感じにくくなるため、あく抜きはしなくても大丈夫です。また、旬の始めのいわゆる「走りの時期」のなすはあくが少ないと言われていますので、水さらしをしなくても美味しくいただけるものが多いです。

一方で、浅漬けや、なすの色を活かした色の薄い煮汁の煮物を作る場合は、やはりあく抜きをした方が見た目が美しく仕上がります。見た目や味のえぐみなどが気にならない場合は、あく抜きを忘れたからといって健康を害するようなことはないのでご安心ください。
 

なすの保存法・保存期間の目安…カットして冷凍保存も可能

なすを保存する場合は、1本ずつラップで包んで、冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。カットしたものを冷凍保存することもできます。冷蔵保存ならおおむね7~10日くらい、冷凍保存なら1か月程度の保存が可能です。

冷凍の場合は、下ごしらえに少し時間がかかりますが、使う分だけを取り出して利用することができるため、無駄を少なくすることができ、おすすめです。
 

なすのおすすめの調理法は? 様々な楽しみ方ができる万能野菜

なすは揚げてよし、焼いてよし、煮ても、蒸しても美味しいです。さらに浅漬けなどにしても美味しくいただける万能野菜です。

簡単で美味しいのは、グリルで焼いた後、皮をむいただけの焼きなすでしょう。なすの煮びたしは揚げたなすを煮汁で煮るという油を使った2段階の調理が有名ですが、フライパンで焼いたなすを煮汁で煮る方法でも美味しく作ることができます。もちろん、煮汁は麺つゆなどでの代用も可能です。

他にも、薄切りにしたなすと塩をビニール袋に入れてもみこんで作るなすの塩もみなども美味しいです。また、ピーマンと炒めても美味しいですし、トマトと煮込んでも美味しくいただけます。また、麻婆茄子などもなす料理として有名ですね。
 
このようにさまざまな調理方法で楽しめるなす。夏の風物詩として美味しくいただきましょう。

■参考
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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