ごぼうを食べるのは日本だけ? ごぼうの種類・旬
食物繊維が豊富で、美味しいごぼうの皮はどのように処理したらよいのでしょうか?
「ごぼう」は日本人の食卓に大変なじみの深い野菜です。ヨーロッパ、シベリアから中国北東部にかけて分布していますが、実は食用にしているのは日本だけともいわれています。
ごぼうはその長さによって、大浦ごぼうや堀川ごぼうなどの短根種と、滝野川ごぼうなどの「長根種」に分けられます。また、葉柄基部の色が赤い「赤茎種」と白い「白茎種」があり、白茎種は葉も食べることができます。日本で一般に食用とされているごぼうは、長根種です。
1年を通じて八百屋さんの店頭に並んでいるイメージがあると思いますが、旬は11月です。
ごぼうの皮はむくべきか……にんじん・大根のような「皮むき」は不要
ごぼうの調理をする際、まず下ごしらえで迷うのは「ごぼうの皮むき」をするかどうかでしょう。皮と実の境目がわかりづらく、どこまで剥けばよいか分からないという意見もあると思います。基本的に、ごぼうには、にんじんや大根のような「皮むき」は必要ありません。しかし、ごぼうも「根菜」なので、土のにおいが料理に残るのはちょっと……と思う部分もありますね。そんな時は、少しだけ軽く表面をこするようにして、汚れのついた表面の部分だけをそぎ落とすとよいでしょう。
ごぼうの表面をきれいにする3つの方法
ごぼうの表面をきれいにする方法として、大きく次の3つがあります。1. 包丁の裏でこする
包丁の背の部分をごぼうに当ててこすり落とす方法です。3つの方法のうち、一番、表面を深く削り取ることができる方法です。その分、包丁に力を入れてこすると、かなり深くまでえぐれてしまいます。包丁の重さだけがごぼうに伝わるようにすると、汚れのついた部分だけをきれいにそぎ落とすことができます。
2. たわしでこする
たわしでこすり落とす方法は、表面の皮をかなり薄く削り落とすことが可能です。ごぼう表面に筋状に黒い部分が残ってしまいますが、これに関しては削り落とすことができません。その分、ごぼうらしい風味が残りやすい方法と言えます。
3. アルミホイルでこする
アルミホイルを適当な大きさに丸め、でこぼこした部分でごぼうをこすります。この方法だと、たわしよりは深く、包丁よりは浅く表面を削ることができます。ごぼうの土臭さは残したくないが、できるだけ食べる部分を残したいという場合などに向いている方法です。
ごぼうの切り方……筒切り、短冊切り、ささがきなど
ごぼうの表面をきれいにしたら、ごぼうを料理に合わせて切りましょう。ごぼうの主な切り方には、長さをそろえただけの「筒切り」や、長さ4~5cm程度に筒切りした後、スライスした「短冊切り」、斜めにスライスした後、細長いスティック状に切っていく「千切り」のほか、鉛筆を削る要領で切っていく「ささがき」などがあります。
筒切りは煮物に、短冊切りは揚げ物や炒め物などに、千切りやささがきはサラダや炒め物、きんぴらごぼうなどに合います。
ごぼうにあく抜きは必要か? あくの主成分はポリフェノール
ごぼうは切った直後から褐変し始めます。これはごぼうに含まれた「ポリフェノール」の色が変化するためです。ごぼうに含まれている「ポリフェノール」は、タンニンやクロロゲン酸などが知られています。ポリフェノールは「抗酸化作用」を持つ体に有益な成分とされていますが、ポリフェノールは「あく」の主成分でもあるため、加熱前に「あく抜き」をするのが一般的でしょう。あく抜きは、切ったものから水にさらしたり、ごぼうを白く仕上げたい場合は「酢水」にさらしたりすることで簡単にできます。使うごぼうが少量であれば「熱湯」にくぐらせるだけでもよいでしょう。いずれの方法であく抜きをする場合も、やり過ぎてしまうと風味を失ってしまいますので、水に触れている時間は30秒以内を目安にし、あく抜きが終了したら、できるだけ早く加熱調理をするのが、美味しいごぼう料理を作るコツです。
栄養豊富で健康効果も期待できるごぼうを日々の食卓に
余談ですが、きんぴらごぼうのごぼうの切り方は、関東と関西で異なっているそうで、関東では「ささがき」が、関西では「千切り」にしたものが多いようです。私が大学院生だったころの調理学の先生は、「どこが境目だろうか?」と旅先の惣菜店を見て回り、JR名古屋駅構内の惣菜店でささがきと千切りのきんぴらごぼうが両方とも並んでいるのをみて「ここだ!」とうれしくなったとか。面白いところに、食文化の違いがあるものですね。ごぼうは1年を通して、美味しく手ごろな価格で入手できる優秀な食材のひとつです。また、食物繊維も多く生活習慣病予防や便秘改善などの効果も期待できます。ぜひ、上手に食卓に取り入れてみてください。
■参考
- 食品成分表 2020版(8訂)
- ごぼう(旬の食材百科)
- ごぼうのあく抜き(カゴメ)