Q:65歳以上で年金の繰下げ受給を申請した場合、不利益がありますか?
「65歳という年齢を超えてしまいました。今まで忙しくて、まだ年金の請求をしていません。年金の受け取りを70歳開始にしたいのですが、前もって申し出ていた人たちと同じ比率で、同じように受給できるのですか? それとも申し出が遅れた月分は引かれてしまうなど何かマイナスはあるのですか?」(匿名希望)65歳を過ぎても年金の請求をしなかったら?
A:繰下げ受給することになるので、メリット・デメリットを理解して申請するのであれば不利益はありません
相談者は65歳以上で、繰下げ受給したいとのこと。繰下げ受給したい場合は、年金受給を開始したいタイミングで70歳までに年金請求をすればOKとなります。相談者は70歳まで年金の受給開始を遅らせたいのであれば、70歳までの間に繰下げ受給の申請する必要があります。この期限を守ることができれば、請求のタイミングによって、ペナルティを受けるということはありません。ただし、必ず70歳になるまでには年金請求の手続きをしてください。年金の時効※は5年間であり、70歳になるまでに年金請求をしない場合は過去5年を超えた部分がもらえなくなります。※制度の変更があり、今後時効の取り扱いが変わる予定です
また、繰下げ受給にはメリット・デメリットがありますのできちんと把握しておきましょう。老齢年金を繰り下げる一番のメリットは、年金額が増額されることです。ひと月あたり0.7%増額され、増額された年金は生涯もらえます。
一方で、デメリットとは、老齢年金はそもそも長生きリスクに備える保障なので、死亡してしまうとその時点で支給停止となります。短命の場合、増えた年金をもらえる期間が少なくなり、結果としては早めに受給するよりも、もらえる年金総額が少なくなる場合もあります。
また、繰下げ受給をすると、受け取る年金が多くなりますので、社会保険料や税金が増える可能性があります。「現役並み所得者」とみなされると、国民健康保険や後期高齢者医療制度などの医療保険や介護保険の負担割合が変わる可能性があるかもしれません。これらのデメリットをよく理解した上で、不利益とならないように、受給開始年齢をよく検討することをおすすめします。
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監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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