「フロッピーディスク」を知らない若者
パソコンやスマートフォンのデータを記録する場所といえばハードディスクやフラッシュメモリ、最近ではクラウドをイメージする人が多いのではないでしょうか。ですがその昔、コンピューターのデータを保存するものといえば「フロッピーディスク」が主流でした。現在その姿をほとんど見ることがなくなったことから、若い人の中には知らない人も少なくないようです。
「フロッピーディスク」とは、パソコンのデータが持ち運べる磁気ディスクの一種
フロッピーディスクは「磁気ディスク」の一種で、ある意味ハードディスクの仲間でもあります。実はハードディスクには表面に細かな金属を塗った円盤が内蔵されており、それを高速で回転させ、金属の磁気を変化させることでデータを記録しています。フロッピーディスクも同様に円盤を内蔵しており、同じような仕組みでデータを記録するものなのです。
ではハードディスクとの違いはどこにあるかというと、取り外しができる点です。フロッピーディスクは現在でいうところのSDカードなどと同様、専用のドライブに挿入して利用する仕組みなので、保存したデータを他のパソコンに簡単に移せたことからインターネットが普及する以前はとても重宝した訳です。
保存容量はスマートフォンの写真1枚より小さい
ちなみにフロッピーディスクにはいくつかのサイズが存在しており、普及していたものとしては8インチ、5インチ、そして最も広く使われていた3.5インチのものが挙げられます。その容量もディスクの中身や記録の仕方などによって違いがありますが、約1.2~1.4MBのものが主流でした。 この容量は、現在であればスマートフォンで撮影した写真1枚(機種にもよるが大体2~6MB程度)にも満たないもの。パソコン、そしてスマートフォンのストレージがMBのおよそ1000倍となる「GB」が当たり前の現在ではとても使い物にならないように見えますが、昔はパソコン自体の性能が非常に低く、一度に扱えるデータの容量も少なかったことから、それだけの容量があれば十分大容量だったのです。ちなみに1983年に発売された任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピューター」のROMカセット容量は、大容量のもので1MB程度。多くはそれよりも小さい数十~数百KB程度とされています。こうした状況を見れば、当時のフロッピーディスクのサイズ感がある程度理解できるのではないでしょうか。
パソコンの歴史に大きな影響を与えた存在
フロッピーディスクがいかに広く普及していたかという痕跡は、現在のパソコンからも確認できます。例えばWindowsの内蔵ストレージが「C」ドライブから始まっているのは、その昔A、Bドライブがフロッピーディスク用のドライブとして使われていたことに起因しています。またいわゆる「保存」ボタンのアイコンに、記録メディアの象徴でもあったフロッピーディスクの絵柄が使われているケースは現在も多く存在します。フロッピーディスクを知らない世代が増えてきていることから徐々に見直しも進められているようですが、こうした事象からも、フロッピーディスクがパソコンに欠かせない存在であった様子を見て取ることができるでしょう。 それだけ大きな存在感を示してきたフロッピーディスクですが、コンピューターの進化とともにより大きなサイズのデータが扱えるようになったことで、容量不足が目立つようになりました。その結果、容量が大きく低価格化が進んだCD-ROMなどの光学メディアによって代替が進み、さらにはインターネットの普及とその高速化によってデータを持ち運ぶ必然性自体が薄れてしまったことから、使われる機会が急減したのです。
2011年には、主要メーカーの1つであったソニーがフロッピーディスクの販売を終了するなどして、市場からも姿を消していきました。年々その姿を見るのが難しくなっているフロッピーディスクではありますが、若い世代の人たちにもそれがコンピューターの歴史に、いかに大きな影響を与えた存在であるかということはぜひ覚えておいて欲しい所です。
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