亀山早苗の恋愛コラム

そんなことってある?呆れた理由で私と娘を捨てた夫からの“ありえない”提案

たとえ離婚したとしても、元夫が不幸のどん底に堕ちればいいと考える女性はそんなに多くはないはず。もう無関心なのだから連絡してこないでとは願うかもしれないが。ただ、子どもがいれば完全無視もしづらいところで……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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たとえ離婚したとしても、元夫が不幸のどん底に堕ちればいいと考える女性はそんなに多くはないはず。もう無関心なのだから連絡してこないでとは願うかもしれないが。ただ、子どもがいれば完全無視もしづらいところ。そこで問題が勃発することもある。
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夫の不倫で速やかに離婚

「離婚したときはホッとしました」

笑みを浮かべながらそう言うのはアキナさん(37歳)だ。29歳のとき友人の結婚パーティーで知り合った3歳年上の男性と結婚した。

「妊娠してから婚姻届を出したのでできちゃった婚だと思われていますが、この人と一生楽しくやっていきたいと思ったから結婚したんです。ところが彼、いい人なんだけどとにかく軽い。私がつわりで苦しんでいても、『飲み会があるから、ちょっとだけ顔出してくる』というタイプ。

確かに二次会には行かず、私の食べられそうなものを選んで買ってきてくれる優しさはあるのですが、飲み会を断るという発想はない(笑)。まあ、そういう人だからと諦めつつも、私は私で言いたいことを言っていましたし、決して不幸な結婚ではなかったと思います」

ところが3年前、娘が4歳になったころ、夫が年上のバツ2女性に“はまって”しまった。彼女は当時、夫より一回り年上。最初の結婚のときの15歳の長女、2度目の結婚での5歳の次女がいた。昼間は会社員、夜はスナックでアルバイトをしながら実母の協力を得て暮らしていた。

「夫はそのスナックで彼女と知り合い、急速に惹かれたのだそう。深い関係になってすぐ、彼女の母親が急死。夫はオレがみんなを守ると宣言したそう。軽い男はすぐそうやって結論を出してしまうんですよね」

夫はアキナさんに泣きながら土下座した。オレが彼女を守ると約束してしまったんだ、と。うちの娘はどうなるの、と彼女はあきれ果てたという。
 

子どもたちが懐いてくれない……と愚痴る元夫

娘の養育費と住居のローンを夫が払うという条件で、アキナさんは離婚を承諾した。

「あんなふうに他の女性にメロメロになっている夫を見るだけで嫌だった。娘とは会ってもいいと言ったけど、夫はしばらくの間、連絡もしてきませんでした。娘には、パパは遠くで仕事をしていると納得できるように話したつもりですが、寂しそうでしたね」

アキナさんはひとり暮らしをしていた実母と同居を始め、仕事に邁進。半年ほどたって、夫からようやく連絡があった。

「娘と3人で会いました。私は別に夫を憎んでいたわけではないから、『どうなの? あちらとはうまくいってるの?』と聞いたんですよ。そうしたら夫、よくぞ聞いてくれましたという感じで話し始めて。どうやら子どもたちが懐いてくれないのが悩みの種のようでした。長女はもう大きいし、見知らぬ男が急に家にいるようになったら警戒するのは当たり前だよと言ったら『そうか』とがっくり。『下の子も懐いてくれないのは寂しすぎる』とも言っていましたね。彼女の実母が亡くなったからって、突然、自分が守ると宣言する夫も変だし、それをすんなり受け入れる彼女もおかしい。そもそも何の覚悟もなく、他人の子の親になれるわけがないでしょと言ってやりました」

すると夫は、「やっぱりアキナは頼りになるなあ」とニコニコ。その軽さがうっとうしいわ、とアキナさんはつっけんどんに言った。

「そうそう、こういうやりとりができないんだよ、今の妻とは。夫はそう言っていました。そばで遊ぶ娘を見ながら、『家に帰りたくなった』とまで言う。やめてよ、離婚したんだからねと釘を刺しておきました」

以来、1カ月に1度は3人で会っているが、今も夫は「子どもたちが冷たい。それどころか妻も僕を邪険にするようになった」と愚痴っている。

「自分が選んだ道でしょと言っていますが、いいかげん私も愚痴を聞き飽きた。会って愚痴ばかり言うならもう会わないと告げました。『もう愚痴らないよ』と言いながら、先日会ったときは、『離婚を考えている。離婚したら家に入れてくれる?』と新たなびっくり発言。いいかげん地に足をつけて暮らしなさいと説教しました」

元夫を今も「夫」と言うこと、そのダメっぷりに嫌悪感を持っていない様子からして、元の鞘に戻ることもあるのかと思いきや、

「私は元夫にはもう興味ないんです。正確に言うと、彼が今後どうやって生きていくのか、親戚程度の興味はあるけど、一緒に暮らすことはまったく想定できない」

とのこと。元妻に愛想をつかされていることを彼は認めたくないのだろう。それどころか、もしかしたらすべて許して受け入れてもらえると思っているのかもしれない。

「冗談じゃありません。元夫だからこそ娘を交えて気楽に会えるだけ。娘がもうおとうさんと会いたくないと言ったら、その時点で彼と私の縁は切れるんじゃないでしょうか。2人で会う意味はないので」

アキナさんの中では、元夫との関係はとっくに片がついた話。娘は日々成長していく。引きずっているのは元夫だけなのかもしれない。
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