髪の毛、虫、ビニール片……外食の料理や総菜でも起こる異物混入
外食をしていて、料理に食べられないものが入っていたら不快な気持ちになってしまいますね。もちろん店舗はわざとやったわけではありませんが、泣き寝入りする必要はありません。
「安全・安心」な食品・料理を提供するために、異物混入がないよう注意を払うのは、提供する側の最重要課題です。しかしそれでも、異物混入のニュースは今でも耳にします。最近では注文した鍋料理に大量の虫が混入していたといった報道もあり、外食・中食の食品の安全に関心が高まっています。
料理の中に髪の毛や虫が……異物混入に気づいたらどうすべきか
料理に異物を見つけたら、購入者はどうしたらいいのでしょうか? 店舗側はどのような対応をしてくれるのでしょうか?
外食であれば、その場で店員さんを呼んで料理と異物を見せ、店舗側に対応してもらいましょう。もしも食後に、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出た場合は我慢せず、できるだけ早く医療機関を受診して正しく診断を受けることが大切です。
持ち帰った中食に異物混入があった場合は、食べるのをやめて、店舗に連絡を入れましょう。もしも体調に異常が現れた場合は、医療機関を受診することを優先してください。落ち着いてから店舗に連絡を入れ、後日でよいので、店舗に食べ残した料理と異物を持参しましょう。レシートや、もしあれば包装紙も持参するのがよいでしょう。体に異常がなかったとしても、購入金額の返金か、別の同等商品に交換するなどの対応をしてもらえます。
加工食品の場合は、製造元に連絡をし、郵送で対応してもらうことも可能ですが、購入した店舗に連絡した方がより対応が早いことが多いように思います。
異物混入で連絡する際の注意……消費者も対応・購入食品の扱いに注意を
一方で、異物混入を偽装して店舗に返金などの対応を求める悪質な消費者が稀にいることも、店舗にとっては非常に頭の痛い問題です。店舗側もお客様を疑うような残念なことは考えたくないと思いますので、店舗に出向く際には口頭で報告するだけではなく、最低でも食べ残した料理と異物の現物は必ず持参するようにしましょう。また、外食の料理でも中食でも、消費者の手に渡った後で異物が混入してしまうこともあります。気を悪くしてしまう方もいるかもしれませんが、食品を提供する側は、購入者側の間違いによる異物混入のクレームを受けることも珍しくはありません。私自身も病院食を提供する立場でしたが、実際の経験事例で、提供した食事の中に10cm程の毛髪が入っていたとご指摘をいただいたケースがあります。運ぶときはフードをかぶせるので、運搬時の混入はありません。調理担当者を確認したところ、その日に担当した調理師2名が2名とも丸刈りだった……という冗談のような出来事もありました。
販売後も、食品は「外気に触れている限り」、異物混入する可能性があります。食事中や開封後はうっかり放置してしまわないよう注意が必要です。
ゼロにはならない混入事故……食の安全づくりのためにも報告を
繰り返しになりますが、食品加工にかかわる企業や店舗にとって、異物混入を防いで食の安全を守ることは最重要事項です。それでも、思わぬところに異物が潜んでいて、ヒヤリとする、または事故が起こってしまうことがあります。昨年は鍋の中に大量の虫が混入していたと厳しく糾弾された店舗がありましたが、「虫」の混入は私自身にも経験があります。給食を提供するために冷凍ほうれん草を使ったあえ物を調理したのですが、一人分ずつに盛り付けている際、他の部分と違う色をしている箇所を見つけたのです。よく見てみると親指の先くらいの昆虫でした。厨房内にそのサイズの虫がいれば、絶対に誰かが見つけるような大きさです。同時に購入した冷凍ほうれん草の袋を確認したところ、他にも同じような緑色の昆虫が……。
幸い、給食を提供する前に見つけることができたので、別の野菜で作り直して提供して事なきを得ることができましたが、今思い出してもヒヤリとする出来事です。
店舗側では異物混入を見つけ次第、すべての料理を廃棄して作り直しをし、お客様に提供します。料理の中に異物混入があった場合、調理師か加工時の工場での見落としが考えられます。本来であればこういった事故はあってはならないことなのですが、残念ながらチェック時の「ヒューマンエラー」を100%防ぐことは難しいのが現状です。
提供側も1つでもヒューマンエラーを減らすよう、企業努力を続けていますが、消費者側も提供側を過信せずに、食事の際には注意を払い、少しでもおかしいと思ったときには原因究明と再発防止のためにも、しっかりと店舗に申告していただくのががよいと思います。
■関連サイト
- 食品の異物混入に関する相談の概要(国民生活センター)
- 食品の異物混入対策について(神奈川県)