亀山早苗の恋愛コラム

遠距離や事実婚は「結婚」以下なの?さまざまな「パートナーシップの形」を否定したがる人々

歌手のmisonoさんとNosukeさんが結婚した2018年からずっと別居であることを改めて告白した。俳優の坂上忍さんも、現在のパートナーとは同じ敷地内で別棟に住んでいるという。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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歌手のmisonoさんとNosukeさんが、結婚した2018年からずっと別居であることを改めて告白した。俳優の坂上忍さんも、現在のパートナーとは同じ敷地内で別棟に住んでいるという。
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Nosukeさんは最初、他人と一緒に暮らせないというmisonoさんの話を受け入れがたかったようだ。だが今では「十夫婦十色」と述べており、夫婦が10組いれば10の形があっていいだろうと納得している。

「夫婦は一緒に住んで当たり前」という概念はもはや過去のものなのかもしれない。新たな夫婦の形がどんどん出てきて、それぞれがいちばん居心地のいいありようを模索していく時代なのだろう。
 

同棲10年、事実婚とも定義づけない

「私は同い年の彼と同棲して10年です。みんな事実婚なんだねとか婚姻届を出さないだけの夫婦だねとか言うんですが、どうもそれがピンとこなくて。“結婚”がカップルの形としていちばん上だから、『あなたたちも、ほぼ結婚しているのと同じよね』という“優しい恫喝“を感じるんですよね。でも私は、いいえ、うちは同棲ですって言い切ってます(笑)」

サオリさん(37歳)は笑いながらそう言った。世間の「結婚に対する価値観」になんだか逆らいたくなってしまうのだという。結婚していれば世間から認められる、していなければ「あやふやな関係」と見られる。あやふやな関係のどこが悪いのかと思うそうだ。

「男女だろうと同性同士だろうと、恋する気持ちや愛する感情がなくなったら本来、一緒にいるのは無理な話。だけど結婚という枠があるから、そこは崩さず、日常生活が滞りなく進めばそれでいい。そういう関係が嫌なんです。だからあえて、うちは同棲しているだけ、気持ちがなくなったら終わりだと自分に言い聞かせているところはありますね」

だからもし、他に好きな人ができたら正直に言うと決めている。他に好きな人がいるのに同じ家に戻ってくるのはつらいからだ。

「ここをキープしながら他にもつきあっている人がいるのが許せないんです。だったらきちんと別れようと。既婚の女友だちが『バレなければ浮気してもいい。というかバレてないんだからわからないでしょ』と言うけど、私はそれは嫌なんですよ。他人にバレなくても自分はわかっているわけじゃないですか。私に好きな人ができて、その人と関係を持っているのに、彼にバレなければいいとは思えない。自分を裏切るような行為だと思うから」

もちろん、サオリさんはその価値観を他人に押しつけるつもりはない。だから彼にそのことは伝えてあり、彼も同意しているが、実際に彼が隠れて浮気していないとも限らない。

「いざとなればわかりませんけどね、今のところは同じ気持ちでいると思っています」

自分たちは過ごしてきた時間と思いを共有しているはずだからと彼女は微笑んだ。
 

婚姻届は出したけれど「遠距離」で

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misonoさんたちと同じように婚姻届を出したものの遠距離で別居しているというのは、アオイさん(40歳)だ。

「東京の大学で知り合ったので、もう20年以上のつきあいなんですが、卒業後、彼は仕事の都合で転勤続き。私は就職した会社から留学させてもらったりして、会うのは年に1回というときもあった。それでも縁が切れなかったというか、お互いを必要とする気持ちが強かったのか、27歳のときにふたりで話し合って婚姻届は出しました。だけどふたりとも自分の生活を変えるつもりはなかったから、このままいけるところまでいこうと(笑)」

アオイさんはニコニコしながらそう言った。彼への信頼感を失ったことはない。一緒に住んでいなくても、常にふたりは連絡を取り合い、次の休みに何をするか楽しみにしてきたという。

「最初は彼の親も私の親も、何やってるのという感じでした。子どもはどうするのか、すぐにふたりの気持ちは離れるに違いない、一緒に住まずに夫婦だなんていえるのか、いろいろ言われましたね。でもお互いの人生にとって、同居することが最優先ではなかった。それだけのことなんです」

意地の悪い知人は、「ともに苦労していかないと夫婦としての絆は強くならない」と正論を振りかざすように説教してきたという。

「いや、それはあなたの価値観でしょと笑い飛ばしてやりました。一緒にいてストレスをためて些細なことでイライラしている夫婦より、孤独を覚えることはあるけど自由に暮らす結婚を私は選んだと思っています」

30代半ばで話し合い、子どもはもたなくていいと結論を出した。もちろん、できたときには再考するつもりだが、今のところ兆候はない。

「3年前、彼が東京勤務になったので、私の自宅から徒歩5分くらいのところに部屋を借りて暮らしていました。週末は一緒にいることが多かったですね。でも1年前に彼はまた地方都市へ。あと10年くらいはこういう生活じゃないかなあと思います。週末、一緒にいても彼は私に“妻らしいこと”をいっさい期待しません。だから一緒にいられる。洗濯して掃除してと言われたら週末が台無しですから(笑)」

ふたりでいられるときはめいっぱい楽しいことをする。1日中、家で映画を観たり、かつての仲間たちとテニスをすることもある。

「あるとき、仕事がたまっているから今週末は無理かなあと言ったら、彼が『土曜日に全部終わらせなよ。日曜の夕方、僕が夕食を持って行くから』って。全力で終わらせました。彼は夕方現れて、おいしいステーキを焼いてくれた。私も彼に何かしてほしいと頼むことはまずないんですが、お互いに相手の事情を察して家事を手伝ったりすることはありますね。それも自分の時間が許す範囲で。無理をしたらいけないとふたりとも思っているから」

誰かのために尽くす人生も楽しいかもしれない。だが、自分の人生を自分だけのために生きてもいい。それはその人の考え方、生き方次第。どちらが上だという話ではない。
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