鉄欠乏性貧血とは……めまい・疲労感、爪割れ・肌荒れなどの症状も
鉄は吸収率が低く、欠乏しやすい栄養素のひとつです。鉄を多く含む食品を上手に使って貧血知らずの元気な体を手に入れましょう。
また鉄が不足することで、爪が割れやすくなる、唇の端や舌に炎症が起こる、氷などを無性に食べたくなる、髪が抜ける、肌が荒れるといった症状が起こることもあります。
主な原因として考えられることは、
- 鉄の摂取が少ない
- 鉄が十分に吸収できない
- 胃潰瘍などが原因で出血がある
の3つ。2と3の場合は病院での治療が必要ですが、1の「鉄の摂取量が少ない」場合は、食事内容を見直すことで改善が見込めます。
鉄不足を補う鉄の多い主な食品・ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄の多い食品として最初に頭に浮かびやすいのは「レバー」かもしれませんね。確かにレバー(豚)は100gあたり13.0mgの鉄を含んでいますし、一度に比較的、多くの量を食べることができるため鉄を摂取しやすい食品と言えます。他にも、しじみ(8.3mg)、赤貝(5.0mg)、ほっき貝(4.4mg)など貝類も鉄が多く含まれていますので、オススメ食材です。特に動物性食品に含まれる鉄は「ヘム鉄」と呼ばれ、体に吸収しやすい鉄であると言われています。
日本人が古来から食べてきた焼きのり(11.4mg)、きな粉(9.2mg)、納豆(3.3mg)、こしあん(2.8mg)、えだ豆(2.5mg)、小松菜(2.1mg)などにも鉄が多く含まれています。これらの植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、ヘム鉄に比べると単独では吸収率が悪いと言われています。しかし、たんぱく質やビタミンCと同時に摂取すると吸収率が上がるとされています。動物性の食品やビタミンCをたっぷりふくんだ野菜や果物と同時に食べるようにしましょう。※()内はすべて食品100gあたりの鉄の含有量です。
鉄の吸収率を上げるよい食べ合わせ
鉄不足を補うためにせっかく食事に鉄を多く含む食材を使っても、吸収が上手くいかないのではもったいないですね。もともと鉄は吸収率が低い栄養素でもありますから、吸収率をアップさせるように工夫をします。さきほど、非ヘム鉄を多く含む植物性食品は、たんぱく質やビタミンCと同時に摂取すると鉄の吸収率が上がりやすいと書きましたが、ヘム鉄を含む動物性の食品もビタミンCを同時に摂取することで吸収率が上がりやすくなります。
また、カフェインや食物繊維などは鉄の吸収を阻害する働きがあるため注意が必要です。詳しくは「」をご覧ください。
摂取量の目安は? 1日分の鉄が摂取できるレシピ例
鉄の推奨摂取量は、成人男性(18~74歳)で1日当たり7.5mg、女性は月経のない成人女性は1日当たり6.5mg、月経のある成人女性(15~49歳)は1日当たり10.5mgです。食品で示しても分かりにくいと思いますので、例として、1品で10mgの鉄を摂取できるレシピをご紹介します。
■あさりとひよこ豆のトマト煮
【材料】 (4人分)
豚ばら肉 200g
あさり(水煮缶) 120g
ひよこ豆(ゆで) 80g
小松菜 200g
かぼちゃ 120g
玉ねぎ 80g
にんにく 1片
トマト缶(水煮) 1缶
オリーブ油 大さじ1杯
赤ワインビネガー(なければ食酢でOK) 大さじ1杯
コンソメキューブ 1個
ローリエ 少々
塩、こしょう 少々
水 1カップ
【作り方】
- たまねぎ、にんにくはみじん切りにする。小松菜は3cm長さに切り、かぼちゃは3cm角にカットする。ひよこまめ、あさりは水気を切っておく。豚ばら肉は一口大に切り、塩、こしょうで下味をつける
- フライパンにオリーブ油を熱して肉を強めの中火でこんがりと焼きつける
- 別の鍋にオリーブ油を熱し、弱めの中火でたまねぎとにんにくを焦がさないように炒める。2の肉を加え、ひよこまめも入れて全体に油がなじむまで炒め合わせる
- 水を加え、強めの中火にして、沸騰してアクが出てきたら丁寧にすくう。トマト缶、赤ワインビネガー、コンソメキューブ、ローリエ、を加え、ふたをして30分~1時間ほど煮込む(煮込んでいる間に汁が飛んでしまったら、30分経過していなくても次へ進む)
- あさりを加えて、さらに3分ほど煮込む。味を見て、足りないようならば塩こしょうで味を調える
このレシピで、エネルギーが約320kcal、鉄11.4mgになります。このように、意識をすれば1品でも1日分の鉄摂取量を摂取することができます。鉄欠乏性貧血は食生活を見直すことで改善が見込めます。ぜひ、意識して鉄を多く含む食品を毎日の食生活に取り入れてみてください。
■参考
- 鉄分の多い食品(栄養andカロリー計算)
- ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量(健康長寿ネット)