亀山早苗の恋愛コラム

軽視できない経済格差…下町出身の“釣り合わない”私を見下すママ友に浴びせられた「呪いの言葉」

通常、友人関係は「気が合うかどうかで選び取っていくもの」だが、なかには「押しつけられて」つきあわざるを得ない関係もある。「ママ友がその最たるものかも。適当につきあうか、自分のスタンスをはっきりさせるかはむずかしいところ」という声も……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「ママ友」という曖昧な存在

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通常、友人関係は「気が合うかどうかで選び取っていくもの」だが、なかには「押しつけられて」つきあわざるを得ない関係もある。

「ママ友がその最たるものかも。適当につきあうか、自分のスタンスをはっきりさせるかはむずかしいところ」という女性たちの声も聞こえてくる。
 

引っ越した先でのママ友関係

子どもにとっていい環境を与えたい。マサミさん(40歳)がそんな気持ちから、東京郊外の新興住宅地に家族で越したのは3年前。当時、6歳、4歳、2歳の子がいた。引っ越した先でパートを探すつもりだったという。

上の子がちょうど入学のタイミングだったので、すぐに仕事を始め、下のふたりは保育園に預けることにした。

「町内には同じくらいの年の子をもつ家族がけっこういました。夫は週末、よく近所の公園に子どもたちを連れていったので、顔見知りが増えていった。私のほうがむしろ、家とスーパーと保育園と職場くらいしか行かないので、なかなかママ友もできなくて。ただ、気の合う人ならいいけど、気が合わなくて悩むくらいならママ友なんていらないかもしれないとも思っていました」

あるとき、夫に誘われて休日の公園へ。広い公園で持っていったおにぎりを食べ、子どもたちは走り回って遊んでいた。

「夫が手招きするので、私が近づいていくと、ひとりの女性を紹介されました。彼女はアキさんといって、あとから夫に聞いたところによると“その公園に来るママ友たちのボス”らしい。そのときは挨拶程度でしたが、『今度、みなさんで遊びに来てくださいね』とも言われました。うち、すぐそこだからと言われて振り返ると、公園に隣接した大きな家でした」

次の週末、公園で直接、アキさんから来るように誘われ、一家5人で行ってみた。その日は手土産を持っていなかったので、マサミさんは怯んだのだが、アキさんの強烈なアプローチを断る勇気もなかったという。

「うちの倍くらいある大きな家で、同じくらいの子どもがいるはずなのにしんとしてる。子どもたちは塾に行っていたようです。『もう塾ですか』と言ったら、アキさんが見下ろすような目で、『うちなんて2歳のころから行ってるわよ』と。そこからけっこう我が家のことをあれこれ聞かれましたね。夫や私の学歴とか夫がどこに勤めているかとか。ストレートに聞くわけじゃないんだけど、答えざるを得ないように誘導するんですよ。私は夫に『答えるな』と目で合図したけど、夫はペラペラしゃべっちゃって」

マサミさんの“嫌な予感”は当たった。
 

下町出身の私を見下す金持ちママ

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マサミさんは都内下町の生まれ。小さな商店街で生まれ育った。実家は今も両親が商売をしている。夫の家も小さな工場を経営しており、似たり寄ったりの環境だった。

「実家近くの賃貸マンションで暮らしていたんです。私はそういう環境が嫌いじゃなかったけど狭かったし、自分の子にはもうちょっと自然の多いところがいいかもしれないと思ったんですよね。ただ、新興住宅地もピンキリだったようで、最初に知り合ったのがアキさんみたいな人だったのが失敗だったのかもしれない」

アキさんが住んでいる一画は、富裕層でなければ住めない場所。アキさんが仲良くしているママ友たちもみな「お金持ち」だったようだ。

「当たり障りなくつきあっていればいいやと思ったんだけど、うちの子たちがアキさんやその仲間の子たちと仲良くなっちゃったんですよね。それでママ友さんたちともつきあうしかなくなって……。面倒だから最初から『うちはお金持ちじゃありません』『私はがさつな女です』アピールをしておいたんです。でも一応、何かあると菓子折を持っていったりして。

そうしたらあるとき、ある子のおもちゃが目を離したすきに壊れていた、と。その犯人がうちの子だということになっていた。子どもに聞いたら『そのおもちゃ自体を見ていない』というんですよ。さすがにそういうことで言いがかりをつけられるのは嫌だったので、うちの子じゃないみたいですよと言ったら、ママ友たちから嫌味な言葉を投げつけられるようになりました」

“おもちゃを自分の子に買ってあげればよかったのに”“ほしかったんじゃないの”“大変ね、ああいう子がいると”などなど。しかも噂が広まったのか、単なる顔見知り程度のママ友にまで“子どもは早いうちにしつけないと”と言われる始末。

「本当につらかった。うちの子に正直に言いなさいと強く言って泣かせたりもしてしまった。だけど結局、他の子が落としたのを見た子がいて、容疑は晴れたんです。頭に来ましたね。いいかげんなことを言ったママ友たちに『どう落とし前をつけるんですか、子どもが傷ついているんですよ』と言ったら、アキさんに『あら、あなたも怒ることがあるのね』『あなたは細かいことは気にしない人だと思ったのに』と。富裕層チームには近づくのをやめようと思いました」

子どもには何も言えなかったが、アキさんの子はマサミさんの子に近づかなくなった。それを機に、他の子たちとも疎遠になり、マサミさんの子は別のグループの子たちと仲良くなっていった。

「ホッとしました。今のママ友さんたちはみなさん仕事をしているので、けっこうあっさりしたつきあいで助かっています。夫がお金持ちかそうじゃないかで、妙なヒエラルキーができるなんてつまらないと思いますけど、経済的に釣り合わないと友だちにもなれないんでしょうね」

下町の商店街が懐かしい。実家近くで家を見つければよかったと、マサミさんは本気で思っている。今のところ夫には内緒で、住み替えを検討し始めていると白状した。
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