良いモノだということが伝わりやすいボールペン
三菱鉛筆「ユニボール ワン F」各330円(税込)。インク色は黒のみ。軸色は、左から、消炭(Fブラック)、葉雫(Fグリーン)、日向夏(Fイエロー)、無垢(Fグレー)、花霞(Fピンク)、茜空(Fレッド)、霜柱(Fブルー)の全7色。消炭、無垢、花霞、日向夏はボール径0.38mm、霜柱、葉雫、茜空がボール径0.5mm
三菱鉛筆の「ユニボール ワン F」は、その多くのボールペンの中で、見た瞬間、持った時、書いている感触で「これいいな」と感じられる、分かりやすい形で、よくある100円台のボールペンとは違うと思わせてくれるボールペンだと思うのです。
軸色を情景に託したエモーショナルな軸のデザイン
まず、その見た目から、「ちょっといい感じ」が漂います。軸の色が、黒を除いては、淡い中間色に統一されているのですが、その少しくすんだ、マットな質感の軸色の繊細さが、これまでの安価なタイプのペンでは見られないものなのです。その色の名前も、無垢(Fグレー)、花霞(Fピンク)、日向夏(Fイエロー)、霜柱(Fブルー)、葉雫(Fグリーン)、茜空(Fレッド)と、単に色名を付けるのではなく、色と情景を結びつけたものになっています。黒軸にも消炭(Fブラック)という名前が付けられていて、実際、そのマットな黒は、消炭という名前が似合う、深い黒さを持っています。 インク色は全て黒にもかかわらず、全色をそろえるユーザーも多いという軸色のバリエーションは、単に、色がキレイというだけにとどまらず、持った時の質感の良さ、口金とクリップ以外、全て同じ色でそろえた統一感のあるシンプルなデザインと連携して、モノとしての魅力や高級感につながっています。
実際、中のインク自体は、2020年2月に発売された1本132円(税込)の「ユニボール ワン」と同じなのですが、この仕上がりの良さが、1本330円(税込)という価格に説得力を与えています。
長い金属パーツで絶妙な重心バランスを実現
さらに、この「ユニボール ワン F」の特長として、持った時に自然とペン先が下を向くように作られた、いわゆる「低重心」があります。多くの低価格帯のボールペンにおける「低重心」は、口金部分を金属にすることで、重さをペン先に集中させることで実現しています。ところが、この製品では、口金の金属部品は、そのままパイプ状になって、軸の内側に長く続いているのです。これによって、重さがペン先に集中することなく、自然な低重心を実現。重心が筆記時の指の中に収まる位置にあるため、ペン先は下を向きつつも、ペン先の重さを感じることなく、軽快にペン先を動かして筆記できるわけです。 その上で、この金属部品がペン全体に適度な重さを加えていて、ペンが指の中にしっとりと収まります。筆者は、あまり重いペンは好きではないのですが、軽すぎるのも扱いにくく、そのせいで100円台のボールペンで長時間書くのは苦手でした。その点、このペンは重いというほど重くはないけれど、必要十分な重さがあって、手の中で軸がしっかり安定してくれるのが気に入っています。
ペン先部分に長い金属パーツを使うことで、リフィルを支える部分の工作精度を上げることができて、ペン先のブレが抑えられているのもこのペンの特長。重心位置と重さ、ブレの少なさが合わさることで、持った瞬間の「あれ?これは気持ち良い」という感覚と、実際に書いた時の書きやすさの違いが実感できるわけです。
ユニボールワンインクによる鮮やかな発色
そこに、「ユニボール ワン」以来の、くっきりと見やすく、鮮やかな発色の「ユニボール ワンインク」による、とても見やすい「黒」での筆記ができるのですから、この実用性の高さは、最近のボールペンの中でも出色です。ゲルインクを嫌う方もいますが、この粒子のサイズを大きくした顔料系ゲルインクは、速乾性に優れ、裏写りも少ないので、ほとんど油性ボールペンのように使うことができます。にじみも少なく、水にも弱くないので、ビジネスでの利用も安心です。
黒い紙に書いても、さらに黒くハッキリ読める、ユニボール ワンインクは、是非、一度試してもらいたいと思うのです。ユニボール ワンのリフィルが使えますから、20色+限定色のたくさんのカラーインクも使うことができます。このカラーインクの発色がまた鮮やかで、普通なら見えにくい黄色系のインクも、実用的に発色します。 1本330円(税込)という、あまり低価格帯のボールペンでは見慣れない価格ですが、既に発売されているパイロットの「アクロ300」、サクラクレパスの「ボールサイン iD plus」、ぺんてるの「エナージェル ブラックカラーズコレクション」など、300円台の「手が届く高級感」を打ち出したボールペンは増えてきています。まずは、この「ユニボール ワン F」で、その高級感を確かめてみてください。