当然、水や食料も必要ですが、近年おいては感染症対策も欠かせません。これは以前から指摘されていましたが、より感染力の強い新型コロナウイルスにおいてはどうしても避けられないリスクです。
今こそ避難所へ持ち込む用品と自宅の備蓄品を見直してみましょう。
避難場所の選択肢はいくつか用意を
災害対策用品・備蓄品は再点検が必要
当然、避難所でもパーテーションを作ったり、収容時に密にならないよう収容人員を制限し、感染症対策を徹底するなどを行ってはいますが、同じ空間に集団で過ごす以上、感染症が発生するとすぐに蔓延する可能性があります。
それでも自宅に危険が迫った場合には、避難所に移動するのを躊躇して被害にあってしまってはいけません。そして避難した際は、マスクや消毒薬なども含め十分に感染対策を用意した上で自己管理することが求められます。体温計やパルスオキシメーターなども用意しておき、体調がすぐれなければすぐに管理者に伝える必要も出てくるでしょう。
なお、避難所は「誰もが入所可能な場所」ではありません。避難所ごとに優先順位が決まっており「安全が確保」されている場合には、自宅での避難生活が求められます。
自宅家屋が被災していない、十分に安全と考えられる場合には、健康被害に遭う可能性が低く、より日常に近い「自宅避難」のための備蓄を十分に用意しておくことが必要です。
一方で、自宅が被災した、あるいは被災する可能性がある場合に安全を確保するための場所を複数確保しておくべきでしょう。それは親戚の家か、友人宅なのか事情によって異なりますが、車を所有しているご家庭などでは「車中避難」を選択するのもひとつの方法と考えられます。
インフラ停止時の備えも必要
「自分は新しいマンションに住んでいるのだから、災害対策の必要はない」と考えている方は思いのほか多いようです。集合住宅の住民に災害対策をしているかどうかなどのアンケートをとると、「全く心配していない」など驚くほど無関心な人が多いことに気づかされます。ただし、近代的なマンションも「長期停電」になると、戸建て家屋に住む人よりも生活に困窮するというケースが発生します。エレベーターが使えないことで外部との行き来に苦労し、水が出ないということでトイレも使用できない――そうなると急に生活を維持することができなくなります。
そういう意味では戸建てに住むよりも十分な備蓄が必要になるといえるでしょう。また現代の生活は「電気・通信」に大きく依存していますので、家庭での「非常用電源」や「大容量バッテリー」の必要性が高まっています。少なくとも、停電時に、明かりやスマートフォンの充電にこまらないような大容量のバッテリー等は用意しておくべきでしょう。
アウトドアグッズ・カー用品を賢く利用
過去最大のアウトドアブームとキャンプ人気により、全国のキャンプ場は大変な混雑になっています。家族や友人同士でアウトドアグッズなどを購入している人も多いはず。アウトドアグッズはもともと屋外のインフラの整わない場所で使用するもののため、多くが災害時に役立つものばかりです。本格的でなくてもよいのでカセットコンロなどを用意しておくと、ガスが止まってしまったときに重宝します。冬の鍋物などにも使えますので、一家に一台あったほうが良いでしょう。ボンベの備蓄は忘れずにしましょう。
また自家用車がある場合には、非常時に簡易的な避難場所にすることも可能です。車の形状にもよりますが、クッションや毛布、枕などを常備し、目隠しや簡易トイレなどもあると緊急時に助かります。
最近ではカー用品などの専門店で車中避難用の避難袋なども販売されているので、一度確認しておくことをおすすめします。防災用品は「いざという時のため」のみに使用できるものよりも、なるべくレジャーや普段の生活でも使用できる多用途のものを選ぶべきでしょう。
水や食料品、防災用品の備蓄は「ローリングストック」を
ある程度消費したら買い足していく「ローリングストック」
缶詰やレトルト食品など常温で保存可能な食品の備蓄を十分に用意しておきましょう。災害用の備蓄は特別なものは必要なく、日常で消費できる缶詰やレトルト食品を「1週間分+アルファ」用意し、ある程度消費したら買い足していくという「ローリングストック」をおすすめします。
一般的な家庭では冷蔵庫内に3日分程度の飲料や食品が用意されていると考えれば、それに4日分の備蓄が常に用意されていれば十分でしょう。
マンション高層階などでは停電時に水や食料の補給がしづらいという観点から十分な備蓄が必要です。特に集合住宅では「非常用トイレ」は必須の備蓄用品。停電があれば初日から水が出ずに使用不能になります。災害発生時はトイレを使用するために避難所に行かざるを得ない人も多く発生します。自宅避難生活を送るためには欠かせない備蓄といえるでしょう。
以下、災害でライフラインが一定期間止まった場合や自宅を離れて避難所生活が始まった場合の必需品やおすすめ防災グッズをリストアップします。
非常袋に入れておくべき「一次持ち出し品」
- 飲料水(500mlペットボトル数本)
- 非常食(菓子類・ゼリー状の食品)
- 医薬品(消毒薬、三角巾、胃薬、解熱薬など)
- 衛生用品(マスク、消毒液、液体石鹸、歯ブラシ、洗口液等)
- 体温計・パルスオキシメーター
- お薬手帳
- 簡易食器セット(家族分)
- 衣類(防寒具)
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 電池・スマートフォン用バッテリー、充電器
- 現金(10円玉も)~2万円程度
- 貴重品
- ローソク・マッチ・ライター
- ロープ
- ビニールシート
- 雨具(雨合羽)
- ナイフ、ハサミ、爪切り
- タオル(大小)
- 洗面道具(旅行用で可)
- ウェットティッシュ(消毒可のもの)
- ビニール袋
- コンパス
- 筆記具
災害時にあると便利な「二次持ち出し品」
- 裁縫セット
- ランプ、ランタン、ヘッドランプ
- カイロ
- サバイバルシート
- 折り畳みポリタンク
- 車輪付き旅行バッグ
- 台車
- かご付き(荷台付き)自転車
- 小型バイク
- キャンプ用品一式(テント、寝袋、バーベキュー用品一式)
- 非常用浄水器(町内会やマンション自治会などで用意)
自宅備蓄品
■飲料水1人1日3リットルが目安(家族3人で2リットルペットボトル12本~18本用意。飲用のみで3~4日分)。非常用持ち出し袋に入れるのは500mlのペットボトル2本程度でよいでしょう。生活用水として水道水を20~30リットル別途備蓄。
■非常食
保存期間が長く火を通さないでも食べられる食品(レトルト食品、インスタント食品、クラッカー、缶詰など安価な日用品をストックして古いものから消費していけば良い)。保存可能期間2年~5年のものが理想的。避難所に大量の食料を持ち込む必要はありません。
■医薬品・衛生用品
常備薬、三角巾、包帯、ガーゼ、脱脂、ばんそうこう、はさみ、ピンセット、消毒薬、整腸剤、解熱剤等。持病のある方はその病気のための薬(薬品名のメモも)。小児、高齢者のいる家庭は別途必需品を用意。新型コロナウイルスなどの感染症を防ぐためのマスクは必須、アルコールによる消毒が可能なウェットティッシュ、消毒用ジェル、液体石鹸なども個別に用意しておきましょう。体温計、パルスオキシメーターなどもあれば便利です。
■衣類
重ね着のできる衣類、防寒具、毛布、下着類、靴下、軍手、雨具、カイロ。
■停電時用
懐中電灯、ランタン(USB充電など)、携帯充電用予備バッテリー、ろうそく、マッチ、電池、携帯ラジオ(手巻きの充電式が便利、最近のものは携帯も充電できる)。
※小さなお子さんやペットのいる家庭ではろうそくなどの火気は使用しない。
■避難所への持ち込み用グッズ
着替え、毛布、布団、寝袋、クッションマット、タオル、ティッシュ、ウェットティッシュ、ビニール袋、生理用品、筆記具(油性)、食器類、スプーン。
■緊急時の避難・救助用
笛、コンパス、ナイフ、ロープ、懐中電灯、シャベル、バール、ノコギリ、ハンマー等の工具。
■貴重品
現金(硬貨)、身分証明書、預貯金通帳、印鑑、権利書、各種カード、保険証など 。
■長期避難用アウトドアグッズ(キャンプ用品で可)
燃料、卓上コンロ、ガスボンベ(予備ガスは多めに用意)、固形燃料、調理用具、寝袋、洗面用具、トイレットペーパー、古新聞紙、バケツ、ラップ、ビニールシート、断水に備えて携帯用トイレ・簡易トイレ(マンション住民は必須)、紙袋、ビニール袋、布袋(所持品整理用)、簡易テント、インナーマット。
■役に立つ日用品
布粘着テープ、養生テープ(油性マジックを使ってメモに使用したり、ガラスの破片を取ったりするときに利用できる)、ラップ(水不足の時に食器に使用、保存など多用途に使える)、アルミホイル(調理等に使用)、梱包用ひも、風呂敷、ダンボール。