人間関係

「子連れ再婚」を目指すシングルマザーが陥りがちな5つの思考パターンとしあわせのヒント

再婚を成功させるには子どもの年齢やタイミング、相手の両親との関係など配慮すべきことがたくさん。8年前に再婚した筆者は「成功の鍵はシングルマザー自身の心の安定」にあると感じます。失敗する危険性のあるシングルマザーさんの言葉について指摘します。

執筆者:藤嶋 ひじり

シングルマザーが陥りがち……

All About

筆者は今の夫と5年間のおつきあいを経て再婚し、現在8年になります。実は、彼と出会った当時の私には再婚願望はゼロ。「彼女」として外でデートしてくつろぎ、「母」として家でがんばって、恋愛と家庭は区別して切り替えることで充実していました。

ところが、今の夫と出会って初めて、「夫婦関係を育む」ということに再チャレンジしてみたいなと思ったのです。前夫とは「育む」ことができず「ただ我慢する」ことしかしてこなかった反省もありました。心の底から信頼できるこの人となら「夫婦」に挑戦してみたいと思いました。

そこで「再婚」に向けていろいろと情報を集め、準備を進めるなかで感じたのは、再婚後うまくいくかどうかは「シングルマザー自身の心の安定」にかかっているということ。そこで私自身の経験を交えながらシングルマザーさんが陥りがちなNG例5つと改善のヒントを紹介します。

 

NG例1.「これで完全な家族に戻れる」

シングルマザーだったころ、シングルマザー仲間のA子さんから「私はこんな形で落ち着きました」と再婚を知らせる年賀状が届きました。「再婚」を「落ち着いた」と表現してあることに引っかかりを感じました。彼女が「その人でなければならない」という気持ちよりも「再婚」がしたかったような印象を受けたのです。

「しあわせの形」は「夫婦が揃っていること」だと決めつけていませんか?

そもそも「完全な家族」というものは存在するのでしょうか。一度壊れた家庭が、別のメンバーで「元に戻れる」ものなのでしょうか。夫婦が揃っていることが「完全な家族の原型である」という理由で再婚するのなら、もう少し、ご自身の思いを深堀りしてみたほうがよいかもしれません。

たしかにひとり親は経済的に不安定です。とはいえ、再婚は初婚よりも更にハードルが上がります。互いの親に反対される可能性もあれば、再婚後に実子ができれば連れ子に愛情を向けられなくなるという父親もいます。筆者のように実子を授かれないというパターンも考えられます。

相手の方は、そういった問題をいっしょに乗り越えてくれるだけの器を持っていますか。いっしょに乗り越えるためにしっかり話し合いができる関係を築けていますか?

ちなみに、前出のA子さんは、連れ子と新しい夫との関係がうまくいかず、現在バツ2になっています。

 

NG例2.「母子家庭がいやだから」

「完全な家族に戻れる」に似て非なるものとして「母子家庭であることがイヤ」という人がいます。それはなぜでしょうか。

かっこ悪い?

結婚を失敗したと宣言しているようだから?

たしかに「結婚」は失敗したかもしれません。でも、人生を失敗したわけではありません。そもそも、一度きりの選択で人生のパートナーを選ぶって至難の技だと思いませんか?

また、離婚していないだけで壊れている夫婦も世の中にはたくさんいます。子どもたちはそこに気づくものです。どちらが幸せなのかは計り知れません。

「母子家庭がイヤ」の心の中には「人からどう見られているか」に囚われているあなたがいます。

あなたを満足させてあげられるのは、あなた自身しかいません。不安解消のために再婚しても、そこから始まるあらたな問題によって悩みを増やすだけになるかもしれません。

 

NG例3.「私と同じように子どもを愛してくれる男性を見つける」

シングルマザーさんで「私を愛するように子どものことも愛してくれる人」を探している人は意外に多いようです。

少し冷静に考えてみましょう。「元カノ」の持ち物を大切にめでている彼氏ってどう思いますか? 新しいパートナーにとって、連れ子は「元カレとの間の子」です。「あなたを愛するように」連れ子まで愛することを求めるのはちょっと求め過ぎかもしれません。

そうでなくてもお腹を痛めたことのない男性は、血が繋がっていてさえ「父親」の意識を持つのは難しいといわれています。

同じように、わが子が自分の再婚相手を「子どもたちも絶対に好きになってくれる」と思うシングルマザーさんがいらっしゃいますが、それもちょっと待って。

娘さん一人のみのシングルマザーさんに多いのが、娘さんがお母さんの気持ちに寄り添い過ぎてしまう関係性。幸か不幸か、いっしょになってお母さんの彼氏を好きになり、お母さんが彼氏と別れる度に、娘さんも悲しむ……という話も聞きます。

それとは別に、子どもと再婚相手がうまくいかないパターンもたくさん存在します。我が家の場合は、3姉妹それぞれでした。長女は基本的に私に寄ってくる男性が全員嫌いでした。次女と三女は小学生の頃は、今の夫を大好きでしたが思春期に入ると距離を置くようになりました(現在、また仲よしです)。

私が好きなんだから、子どもたちも好きになってくれる……は、ある意味、子どもへの甘えではないかと思うのです。子どもたちはママに「女」になってほしくないという気持ちもあります。「女のママを見たくない」と長女にはっきり言われたこともあります。

子どもの年齢にもよりますが、急いで家族になろうとすると子どもたちには負担になる可能性があることを心に留めておきましょう。わが家の場合、夫は娘たちと「養子縁組」をせず「同居人」か「親族のお兄ちゃん」の立ち位置です。「お父さん」ではなくあだ名で呼んでいます。

 

NG例4.「周囲もきっと喜んでくれるはず」

離婚を決意した時、前夫の借金や子どもへのDVなどあまりのひどさに身内は離婚歓迎ムードでした。でも、再婚は別です。特に、娘たちが思春期に差し掛かった時期だったので「子どもがかわいそう」と反対されました。

(反対意見の具体例)
・思春期の女子と30代男子がいっしょに暮らすなんて(娘の心の負担と危険性)
・国からの補助金がもらえなくなるよ

思春期女子と血縁のない男性が暮らすことによる偏見は多いです。実際に「連れ子を狙う男」が婚活サイトに登録しにくるという話も聞いたことはあります。しかし、私自身の場合についていえば、今の夫は誠実で理性的な人ですので周囲の反応には少なからず驚きました。おそらく一度失敗したこともあり、私自身の選択眼が信頼されていなかったのでしょう。

とはいえ家庭内の児童虐待の加害者第一位が実父であることは、警視庁のまとめ(※)からも明らかです。あまり報道されていないので、再婚を養父による虐待の危険性があるというネガティブなイメージで捉えられやすいのでしょう。

一方でメリットもあります。

(筆者自身が感じたメリット)
・夫婦の関係性の育み過程を娘に見せることができる
・家庭内で私の心身のサポートがしてもらえる

娘たちは「女4人生活」しかほとんど知りません。ゆえに、彼女たちが男性と暮らすときに戸惑うのではないかという心配がありました。それと同時に、壊れた夫婦の関係しか知らないのはいかがなものか……という思いもありました。筆者の両親(彼女たちの祖父母)も別居しており他人行儀でしたので、仲のいい夫婦関係というものを見せたいという気持ちもありました。

また、私自身も体力的に一人で仕事と家事のすべてをワンオペでおこなうことに限界も感じていたように思います。

それでも身内からは「女のしあわせを選んだ」と批判されました。一度結婚に失敗したら子どもが大人になるまでずっと一人でがんばるというのが周囲から見た美学なのでしょうね。でも、再婚なんてしないほうが「女」として幸せでいられる可能性は高いと、個人的には思います。だって「子どもを叱りつける姿」を見られてしまうこともないのですから。

 

NG例5.「子どもたちのために再婚したほうがいい」

1番目に挙げた「完全な家族の形」を求める方と共通していますが、「子どものためには再婚したほうがいいよね」という人がいます。果たしてそうでしょうか。

子どもはなにを望んでいるのでしょうか。
子どもに「しあわせな家庭の形」がわかるものでしょうか。

「だれかのため」というと美しく聞こえますが、角度を変えると「他責」です。あなたの責任はどこにあるのでしょうか。

彼のために尽くす。
子どものために生きる。

だれかのためにばかり生きているあなた自身はどうでしょう。キラキラ輝くことはできていますか? うまくいかなかったときに、誰かのせいにしてしまっていませんか? 本当は自分を取り繕うために言い訳に「だれかのため」にしていませんか?

筆者は両親に「あなたたちのために離婚しない」と言われていました。「あなたたちのために」という押しつけの不快感を存分に体験していたので、自分の選択に責任を持ちました。

離婚も「あなたたちのため」とは言いませんでした(内心、そう思ってはいましたが言いませんでした)し、再婚も「私がしたいからします。わがまま言ってごめんね。よろしくお願いします」と子どもに伝えました。


結婚、離婚、再婚。すべては、自分が選択したこと。

再婚がよかったかどうかは、すぐに結果が出るものではありません。でも、不安の解消のために再婚をするのはおすすめできません。再婚後、子どもたちと新しい夫との仲を取り持つ役割はなかなかの重責です。そのためにも母親自身が自分と向き合うことが重要です。

自分がどう生きたいのか。しっかり「自分と対話」して、自分で自分を少しでも愛せるようになってから、責任を持って「再婚」に踏み切ること。それがうまくいくためのポイントではないかと思います。


令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況(2021年3月、警察庁生活安全局少年課)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます