離婚した後に、またガッカリ……
「なぜ、この人と結婚してしまったのだろう」などと、後悔するのは離婚することを決めたタイミングだけではありません。じつは、円満なはずの結婚生活においても、また離婚後に、夫に対して妻が「なぜ……」とガッカリすることもあります。
俳優・東出昌大さん、杏さんのケース
たとえば、俳優の東出昌大さん(33歳)と杏さん(34歳)の元夫婦のケースが当てはまります。というのも最近、東出さんと杏さんに、子どもの養育費をめぐるトラブルが起きているという報道がありました。ポイントは、東出さんが支払うとされている養育費の額について。「子どもひとりにつき1万円」と提案された、というものです。杏さんと東出さんは、2020年に離婚しました。離婚のきっかけは、東出さんが3年間に渡って女優と不倫関係にあったことが報じられた件でした。当時、3人の子どもを抱え、シングルマザーとして生きていく決意をした杏さんに応援したい気持ちになった人も多かったはず。だからこそ、今回の「ひとりにつき1万円」という養育費の提案が事実だとしたら、杏さんに対し、同情の声が集まってもなんら不思議ではありません。
もちろん、二人の間でどのようなやりとりがあったのかはわかりません。ですが、もしも本当に「ひとりにつき1万円」という提案があったのだとしたら、あまりにも不誠実ではないでしょうか。金額の少なさにも驚きですが、「父親として、本当にそれで精一杯の対応ですか?」と言い募りたくもなるでしょう。東出さんの不倫が発覚した時、離婚を決めた時、離婚後の今と、3回に渡って夫からの心ない仕打ちに傷つけられたことになります。「なぜ、この人と結婚してしまったのだろう」という気持ちになっても仕方がないでしょう。
養育費の提案は数少ないチャンスでもある
ところで、多くの場合、養育費をいくらにするかについては、離婚と同じタイミングで決めるもの。ところが杏さんと東出さんの場合、離婚してからだいぶ月日がたった今になって養育費の話になるのは疑問が残る点でもあります。考えられる理由のひとつに、「妻による夫への配慮」があります。「離婚時はバタバタして仕事面でも影響があるだろうから、離婚後にひと段落したところで具体的な養育費の金額を決めましょう」という話し合いがあった場合です。
ただ、離婚によって東出さんの仕事面への影響があるのはわかっていたこと。つまり、結婚前に比べて収入が下がることは自分でも想像できたはず。にもかかわらず、仮に離婚後に減った収入で養育費を算出するような、一般的な法のルールに委ねっぱなしにした結果が「ひとりにつき1万円」という提案になったのだとしても、それをそのまま元妻に提案するというのは“恩をあだで返す”ととらえられても当然です。
もしも、夫婦問題のプロとして東出さんにアドバイスを送ることができたのだとしたら、もっと違うアプローチをしたと思います。
なぜなら養育費の提案は、東出さんが夫として父親として、杏さんや子どもに見直してもらえる数少ない残されたチャンスといえるからです。
やがて子どもが成長して物事が理解できるようになった時、「夫としては失敗したけれど、父親としては最高だった」と別れた妻と子どもに思ってもらえるかどうかは、ここでどういう提案をするかにかかっているのです。
極端な話、「今月は3万円しか捻出することができないけれど、次の仕事が入る3か月後にはこれだけ支払わせてもらいます」などと流動的な提案をすることで、自分の誠意を示すこともできるからです。
離婚はしないに越したことはありません。でも、もし離婚を決めたのなら、その後が大事です。失敗の経験を活かし、自分がどう生きていくか、子どもたちにどんな姿勢を見せていくか。離婚したことから何を学ぶかこそが、本人と家族をこれ以上失望させないポイントになるのです。