それは、ある日突然はじまった……

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世間的には、離婚イコール不幸と思われがちだが、人は幸せを求めて行動を起こす。「今より幸せになるために結婚生活にピリオドを打つ」のが離婚。女性たちからは、「離婚してよかった」という声も多く聞かれる。

 

逃げる気力もなくした日々

夫のモラハラ、DVに悩み続けたリョウコさん(35歳)。それはある日突然、始まったという。

「短大を出て就職したんですが、5年ほどたったころ同じ部署に異動してきた彼とつきあうようになりました。社内恋愛が禁止だったので、1年ほど密かにつきあって結婚し、私は退職しました。私が27歳、彼は32歳でした」

恋愛時代には自分を引っ張っていってくれるリーダーシップだと思っていた彼の長所だが、結婚後はそれが嫌みや侮蔑につながっていると感じるようになった。

「夫の希望で専業主婦となりました。たぶん夫は異常なほど甘えん坊だったんだと思います。最初は普通に暮らしていたんですが、1年ほどたって私が妊娠してつわりがひどくなったころから、夫は冷たくなりました。自分が思うようにかまってもらえなかったからでしょうね。何かあると、『やっぱり大学も出てない女はダメだな』と学歴をバカにされたり、私は片付けが下手なので『親のしつけが悪いんだな』と親へのダメ出しをしたり。そういう私を妻に選んだのはあなたでしょ、と言ったらいきなり殴られました。『オレがしつけてやる』って」

妊娠中に殴られたことで、リョウコさんは情緒不安定に陥る。夫が怖くなって、たびたび過呼吸も起こした。

「逃げたい気持ちはあったけど、実家は遠方だし、逃げる気力もないんです。夫に殴られないよう、ひたすら怯えながら暮らす日々でした」

それでも無事に娘が生まれた。生まれた日にやってきた夫の母親は、「女の子か、しょうがないわね」とつぶやいた。

「出産して幸せだった気持ちが一気に萎えました。うちの両親も来て喜んでくれたんですが、そういうときの夫は本当に“いい人”なんです。母は『こんな素敵なだんなさんで、あなたは幸せね』と言って……。母に実情を打ち明けることもできませんでした」

夫を怒らせないよう気を遣いながら、リョウコさんの子育てが始まった。

 

とうとう我慢の限界に

子どもが夜泣きすると夫が怒る。怒鳴り声にますます子どもが泣く。だからリョウコさんは子どもを抱いて外に出た。あるとき近所の人が心配して、夜中に奥さんが公園にいるけど大丈夫かと夫に尋ねたらしい。

「おまえが同情を買おうとしているんだろ」と殴られた。夫は顔は殴らない。おなかや背中、太ももなどに痣が絶えなかった。それでも子どもを守ろうと必死だった。

「酔って帰った夫に、無理矢理セックスされるのはよくあることだったんですが、あるとき、心から“犯された”と感じたんです。屈辱感と情けなさで涙が出てきたけど、子どもが起きたらいけないから声も出せない。そのときはリビングでだったんですが、ふっと見ると、3歳にもならない娘が部屋から出てきてこちらを見ていたんです。その目がとても悲しげで、このままではいけないと思いました」

リョウコさんはその瞬間、「別れよう、逃げよう」と決意したという。翌朝、夫を送り出すと、友人知人に連絡をとった。それまで「逃げられない」と決めていたので、地域の女性センターや警察などに相談すらしたことがなかった。

「前夜の暴行で出血が止まらなかったので、地元の婦人科に行って診てもらったら、そこから警察につながって。被害届も出しました。そして短大時代の親友の厚意にすがって、身の回りのものだけもって娘と避難して」

夫からの電話やメールは拒否した。リョウコさんも知っている夫の上司に密かに会って、すべてをさらして助けを求めた。仕事ができる夫だったため、最初は上司も疑っていたようだが、背中や足の痣が写っている写真を見て納得してくれた。

「まじめで明るくていいヤツを演じていると思ったことがある、ストレスたまらないのかなと思っていたと上司は言ってくれました。とにかくあなたは逃げなさい、あとはうまくやるからと言ってもらってホッとして」

その瞬間、彼女は上司と会っていた喫茶店で倒れてしまったという。

周囲の助けもあって無事に離婚できたのがその半年後。慰謝料も養育費ももらえなかったが、彼女は夫の上司からの紹介で仕事も得て、なんとか娘とふたり暮らしている。

 

離婚したら「楽しい人生」が待っていた?

「生活は厳しいです。でもすべてを知った実家の母からお米と野菜は送ってもらえるので、なんとか生活はできる。シングルマザーの友だちとはSNSなどでつながり、励まし合いながらがんばっています。あのとき離婚できなかったら、私は今も地獄にいたはず。娘から笑顔も奪ったはず。今、娘とふたりで笑い合えることがうれしい。心からそう思います」

彼女は当時の自分と似たような状況にいる人たちが気になるという。逃げられないと思わないで、なんとか逃げてほしい。その先に新しい希望の光が見えてくるはずと真剣な表情で訴えた。


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