亀山早苗の恋愛コラム

不幸の代名詞みたいに言われるけど…「離婚」して得た、精神的に解放された日々

離婚という一般的には「不幸」の代名詞のようにいわれることが、当事者には「新しい幸せ」の第一歩となるものだ。新たなスタートを切った女性の気持ちとは。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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離婚して得た、精神的に解放された日々

結婚に向いてない

離婚という一般的には「不幸」の代名詞のようにいわれることが、当事者には「新しい幸せ」の第一歩となるものだ。新たなスタートを切った女性の気持ちとは。

 

精神的な自由を求めて

「私の場合は、どうしても我慢できない嫌なことがあったわけではなく、もっと身勝手な離婚だったんです」

そう言うのはアヤミさん(36歳)だ。29歳のときに3歳年上の男性と結婚したものの、「結婚生活」が自分にしっくりこなかったのだという。

「相手の親と同じ敷地内に住んで、毎日監視されているような気持ちになったのが大きな理由のひとつなんですが」

とはいえ、義父母が口うるさかったわけでもなければ嫌なことを言われたわけでもない。むしろひとり息子の結婚相手として大事にしてくれていた。

「それなのに、私がそれをうっとうしく思ってしまった。学生時代からひとり暮らしだったこともあるし、うちの家庭がそれぞれ『勝手に生きなさい』という雰囲気だったこともあって、隣の家に義父母がいて、いつでも来るかもしれないというのが私には向いていなかった。親切な義父母だったんですよ、客観的に見れば。義母は『共働きで大変でしょ』とおかずをもってきてくれたり洗濯物を取り込んでくれたり。私はそれが嫌で乾燥機つきの洗濯機を買って、冷凍食品をため込んで。義母にしてみたら私は嫌な嫁だったでしょうね」

そうとわかっていても、生活に干渉されている嫌悪感は拭えなかった。近所には義父母の親戚も多く、たびたび一族が集まるのも、アヤミさんには「不気味だった」そうだ。自分の家族観がゆがんでいると彼女自身も考えていたという。

「結婚して2年ほどたったころには、なんだか精神的に疲れてしまって。私が勝手に疲れたのはよくわかっていたけど、自由がほしいと思うようになりました」

 

夫はわかってくれなかったけど

「私には結婚が向かないんだろうなと悲しくなることもありました」

そんなとき、夫が「嫌なら他の場所に越してもいいんだよ」と言ってくれた。

「いい人なんですよ、夫が。もちろん義父母も。だけど、根っから何かが違うんです。このまま私が夫と結婚していても、夫はじめ義父母にも迷惑をかけるばかりだなと落ち込むようになっていったんです」

自分は何を求めているのだろうと、アヤミさんは考え続けた。ここで仕事をしながら家庭生活を営み、子どもを産んで幸せだと思えるのだろうか、と。どんなにシミュレーションをしても、それが自分の幸せだとは思えなかった。

「じゃあ、私は何をしたいのか。仕事は好きだったけど、特に専門性があるわけでもない。独身に戻っても幸せとは思えない。これは結婚生活に問題があるのではなく、自分に問題があると気づいたんです」

夫に率直にそう話した。夫はうなずきながら聞いてくれ、「結婚前の笑顔がなくなっていることに気づいて心配していた」と言ってくれた。

「私、生き直していいかなと聞きました。夫には、こんな中途半端な私よりもっとふさわしい人がいるはず。心からそう思ったんです」

そしてアヤミさんは離婚した。夫は「何かあったらいつでも相談に乗るよ」と言った。友人たちからは「あんないい夫と別れるなんて」と非難されたが、夫はそんなときもアヤミさんをかばってくれたという。

「ひとり暮らしに戻ったとき、ものすごく寂しかった。離婚は間違いだったと思ったこともありました。だけど1か月もたたずに、ひとりになってホッとしている自分がいました。ここからが私の人生のスタートだと決めたんです」

仕事でのスキルアップをはかるため、職場の許可を得て専門学校に通い始めた。2年間、猛勉強を重ねて、ある資格を取得し、仕事の幅が一気に広がった。

「ものすごく大変だったけど、今まで感じたことのないような充実感がありました。まだまだ上を目指して勉強をしながら仕事をしていきます。数年後には大学院へ行こうと思っているんです」

元夫にも報告した。義父母とともに喜んでいると返事が来た。

「うれしかったですね。でもね、元夫はもうじき再婚するようです。それを聞いたとき、やはりホッとしました。嫉妬なんていっさいなかった。元夫一家が幸せになってくれればいいなと思っています。私を解放してくれた元夫には感謝しかないから」

周りから見て、どんなに幸せそうな環境であっても、本人が幸せかどうかはまた別の話なのだ。身勝手だとわかっていても、自分の人生を追求するエネルギーがアヤミさんにはあったということだ。言い換えれば、「穏やかな家庭生活」を捨てても、自分自身の欲求に従ったということ。それを「身勝手」などと他人は批判できない。
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