亀山早苗の恋愛コラム

2LDKの賃貸に女3人…毒親と奔放すぎる娘に振り回される日々

「これが普通の家族」というものは存在しない。家族の数だけその形も違うのだ。それはわかってはいるものの、「家族それぞれが激動の人生を歩んでいて、自分だけが振り回されている」と感じることもあるかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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実母と娘に振り回される日々

母と娘

「これが普通の家族」というものは存在しない。家族の数だけその形も違うのだ。それはわかってはいるものの、「家族それぞれが激動の人生を歩んでいて、自分だけが振り回されている」と感じることもあるかもしれない。

 

25年ぶりに実母と暮らして

地方出身のマイさん(48歳)は18歳のときに大学進学のために上京、26歳のときに学生時代からつきあっていた男性とできちゃった結婚したものの、30歳のときに離婚した。

「うちは親が離婚しているので、私は平穏無事な生活をしたかったんです。でも娘が生まれた直後、夫が浮気しているのを知って……。何度もやり直そうとしたけど、結局、我慢できなかった。母は自分が浮気して夫に愛想をつかされたので、『浮気くらい大目に見ればいいのに』と私を責めました。それもけっこう傷つきましたね。お母さんと私の人生は違う、私は人を裏切るような配偶者と一緒に住めない、お父さんの気持ちがよくわかるわと言ってやりました」

マイさんは地域のコミュニティに助けられながら、なんとか仕事をしながら娘を育てあげた。

「ところがこの娘が私の母に似たんでしょうか。18歳のときに10歳年上の男性と結婚すると言うんです。いくらなんでもまだ早いと反対していたら、なんと相手は妻子持ち。娘は知らなかったようですが、知ったあとはさらに情熱が増したみたいで、駆け落ちするだのなんだのと大騒ぎ。あげく祖母である私の母に相談したみたいで、また母ががんばれと煽るようなアドバイスをするから、相手の奥さんも巻き込んで大変だったんです」

最終的に娘は彼と別れ、彼はおとなしく家庭に戻っていった。娘は「恋愛って何なの」と絶望的になったようだが、若かったので立ち直りも早かった。

「1年浪人しましたが、翌年には大学生になって学生生活を楽しんでいたようです。私もやっとホッとしたんですが」

そこへ転がり込んできたのが、マイさんの母だ。母は離婚後、飲食店を経営していたが、60代半ばにして30歳も年下の男性に恋して貢いでしまい、夜逃げ同然、マイさんのところに逃げてきた。

 

女3人のぶつかりあい

当時、マイさん45歳、娘は19歳、そして母は67歳だった。今から3年前のことだ。

「うち、2LDKの賃貸マンションだから、母が住むのはむずかしいと最初は断ったんですよ。本音を言えば母とは一緒に暮らしたくなかった。だけど娘が、『リビングにパーテーションをつければおばあちゃんも暮らせるよ』と譲らない。娘にとっては母は味方ですから」

いくらマイさんが納得できなくても、珍しく落ち込んだ母を見捨てるわけにもいかなかった。ここで同居したらろくなことにならないと思いながらも、彼女は受け入れざるを得なかった。

「驚いたのは同居して数日後、帰宅したら母と知らない男性が一緒にご飯を食べているんですよ。『同じ町内の○○さん、知ってるでしょ』と母は平然としている。マンション内の人なら顔見知りだけど、町内のつきあいはあまりないので知りませんでした。その男性のほうが驚いたようで、『すみません。てっきりお一人暮らしかと』と慌てて帰っていきました。母は『あんたの帰りが早いのよ』としれっと言うので、『友だちになるのは勝手だけど、うちには誰も入れないで』と強く言いました」

そんなことだから再婚もできないのよという母を、マイさんはこのとき深く恨んだという。自分だって浮気性だから再婚できなかったじゃないのと、母と娘は激しいバトルを繰り返した。

「ふと気づいたら、娘がおもしろそうに聞いているんですよ(笑)。母が来てすぐに娘は20歳になったんですが、未成年のうちに死ぬか生きるかみたいな恋愛をしただけあって、ちょっとやそっとのことには動じない。自分に似た祖母と、似ていない母親との争いがおもしろかったんじゃないでしょうか」

女もいろいろだよね、と20歳の娘が口にしたとき、マイさんは脱力感に襲われたと苦笑いをした。

「その後も母は飲みに行った居酒屋で好きな人ができたり、娘は突然、放浪の旅にでて留年したりと、もう本当にいろいろなことがありました。あのふたりは自由すぎるんです。ただ、みんな大人だから、私はなるべく関与しないと決めました」

コロナ禍でこの1年、自由奔放な母と娘は、マイさんから見るとかなりおとなしくなっている。

「娘は何かに目覚めたようで、やりたいことが見つかったと真剣に勉強しています。母は相変わらず、こっそりやっている飲み屋にこっそり行っているみたいですけどね。私は在宅でできない仕事なので、せっせと会社に通っています」

母と娘に振り回されてきたと感じているマイさんだが、「今はとりあえず家族がみんな無事ならいいと思っている」と話す。

「親にはこうあってほしい、娘はこうあるべきだと思っていた時期もありますが、生きているのが何より重要。というのも私、お世話になった人がコロナで亡くなったんです。本当に人の命は儚い、いつ何が起こるかわからない。それなら自分の好きなように生きたほうがいい。今はそう思っています」

コロナ禍の1年で、マイさんの人生観や家族観はかなり変化してきたようだ。終息後、母と娘がどういう生活になるのか興味があると彼女は言った。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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