身近にもある? マインドコントロール

マインドコントロール

福岡県で、5歳の子を餓死させた母。母がママ友に支配されていたことが明らかになった。一方、元アナウンサーの小林麻耶さんが、あれほど仲むつまじかった夫と別居していることがわかった。一時期、彼女の様子が以前と違っていたことから、スピリチュアル系の夫の影響が大きいのではないかと噂されていた。

「洗脳」と「マインドコントロール」は違うといわれている。簡単に言えば、暴力的な手法を用いて心を支配するのが「洗脳」、人の心理を巧みに利用するのが「マインドコントロール」だ。マインドコントロールは、もともと「潜在能力を引き出すためのトレーニング」というポジティブな意味で使われていた。たとえばスポーツ選手が「絶対に勝てる」と信じ込んで試合に臨むようなもの。だがセルフコントロールならいいが、他者からの支配となると問題である。

友人、恋人、夫からの嫌がらせの言葉やモラハラなどもマインドコントロールに近いものがあるのかもしれない。

 

自信をなくして

「昔の恋人にはひどい目にあわされました」

そう言うのはケイコさん(32歳)だ。大学生だった20歳のころアルバイト先で知り合った14歳年上の社員と恋をした。

「彼は仕事のできる人だったし、周りから人格者だと評判だった。そんな彼に告白されて、有頂天になってつきあったんです。私にとっては初めての大人の恋」

つきあい始めると、彼からたくさんのダメ出しを食らったという。短いスカート、ハイヒール、原色の洋服、ロングヘア、パーマ、化粧などはすべて禁止。学生なんだからTシャツにジーンズでいい、口紅などはもってのほかと言われたのだ。コンタクトレンズもメガネに変えさせられた。

「急に変わった私を見て、友だちは心配してくれました。でも私は彼に気に入られたい一心で、友だちの忠告を聞かなかった。ただ、彼の誕生日にどうしてもきれいなかっこうをしてデートしたくて、淡いカラーの花柄ワンピースを着て行ったんです。彼はムッとしたような顔をして、『ケイコには色のついた服は似合わない。足の形が悪いからスカートはやめたほうがいい』と諭すように言ったんです」

だんだん自分に自信がなくなっていった。それにつけ込むように、彼はさらに彼女の読んでいる本や好きだった音楽なども取り上げていく。

「恋愛小説や映画はダメ、哲学書を読めと言われて。だんだん息苦しくなっていったし、ずっと『おまえは頭が悪いから勉強しなくちゃいけない』と言われていたので、どんどん自信がなくなっていくんです。ついには大学を留年してしまいました」

留年が決まったとき、数人の友だちに囲まれた。そのまま友人のマンションにつれていかれ、「いかに彼がケイコにとって有害か」を説教されたという。

「思い当たることばかりでした。2年生まで派手な服を着て楽しい学生生活を送っていたのに、そういえば彼と知り合ってからはまったく楽しくなかった。笑顔のない人生をこれからも送っていくのかと友人に言われました。『私は頭が悪いし不細工だし』とつぶやいたら、『それは彼に植え込まれた価値観、あなたは勉強もできたしきれいだったよ』と言われて。友人たちは丸3日間、私がいかに彼に気持ちを支配されているか教えてくれたんです」

ようやく目覚めたケイコさんは彼に別れを告げた。彼が激怒したりしないよう友人たちがついていってくれたが、彼はあっさりとケイコさんと別れることを了承したという。

「自分の支配がもう及ばないとわかったからでしょうか。その数年後、その会社と取引がある企業に勤めた友人からの情報では、彼、社内モラハラで問題になったそうです。人格者の皮をかぶったモラハラ男だったんですね。若い私は見抜けなかった」

ケイコさんは、その恋を反省材料として、支配しようとする男には敏感になったという。

 

友人との関係を分断されそうになって

仲のよかった女友だちとの間に突然割り込んできた女性がいて、その女友だちとの関係を分断されそうになったという人もいる。ミエコさん(33歳)だ。

「ネットで知り合った10歳年上の女友だち、タカコさんがいるんです。音楽の趣味が合って、一緒にライブハウスにも行きました。そこへ同じサイトで知り合った別の女性・マユミが近づいてきて、私にはタカコさんの悪口を言い、タカコさんには私の悪口を言ってふたりの仲を悪化させようとしたんですよ」

タカコさんとは趣味が一致していただけだから、詳しい人となりを知っていたわけではない。だがライブハウスに行ったとき、この人なら生涯の友だちになれると思っていただけに、そのタカコさんが自分の悪口を言っているとマユミさんから聞いたとき、「少し離れたほうがいいかな」とミエコさんは感じた。

ネット上ではコメントのやりとりなどはしていたのだが、あるとき、タカコさんからミエコさんにダイレクトでメッセージが来た。

「マユミさんという女性を知っていますか、と。タカコさんは控えめで大人の女性なので、マユミが悪口を言っているとは書いてなかったけど、知っていますかというひと言でピンと来たんです。私とタカコさんの仲を知って裂こうとしているんだ、と。それで私のほうから『マユミさんから私の悪口を聞いていませんか』とストレートに尋ねました。そうしたら案の定、双方に悪口を吹き込んでいたんです」

ふたりでマユミさんを呼び出し、責めるわけではないから真意を聞かせてほしいと言った。マユミさんは泣きながら、自分には友だちがいないので、ふたりが仲よさそうにコメントしあっているのを見て、自分と友だちになってほしいと思ったと白状した。

「それなら仲間に入ってくればいいだけのことなのに。私たちの関係を壊す必要はありませんよね。彼女は1対1の友人関係でないと怖いんだそうです。人間関係でいろいろつらい思いをした人みたいでしたけど」

人間関係を混乱させようとするマユミさんのような人の言い分を聞いてしまったら、大事な関係が壊れてしまうこともあり得る。

「あの人がこういうことを言ってるよ、という人には気をつけたほうがいいなと思います。疑問が生じたら、本人に直接確認するのも重要。あのときタカコさんに確認しなかったら、大事な関係が続けられなかったと思います」

ちょっとした他者の思惑で自分の考え方も変わってしまうかもしれない。人の気持ちは意外と脆いものなのだ。

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