令和元年の住宅火災件数は10,784件
令和2年10月に発表された消防統計(火災統計)によれば、令和元年の住宅火災の件数は10,784件で、うち897件が死者も発生していました。つまり、発生した住宅火災のうち約10%弱で死者が発生していることとなります。本記事では火災の5大原因とその対策について紹介します。
1.タバコ:火災原因のナンバーワンは「タバコによる火災」
最新の火災原因の調査の中でも圧倒的に数が多いのがタバコを原因とする火災です。喫煙人口の減少や、火を使わない加熱式の電子タバコへの移行により、件数そのものは減る傾向にあるものの、この10数年間、火災の発生原因の常に1,2位を占めています。令和元年のデータを見ると、全体の出火件数の約1割を占め、マッチ、ライターなどの用具による出火や、子供の火遊びによる火災を含めると倍近くの数字になります。
また、火災による焼死者数においては、タバコ火災を原因とするものが実に4割を超えるという特徴があります。その発生状況を細かく見ると、布団などの寝具への着火が最も多いようです。これは寝タバコなどにより、寝室で発生しているケースが考えられ、逃げ遅れやすくなるために死者数が多くなっているのでしょう。高齢者の喫煙率が高いというのも逃げ遅れを助長していると考えられます。
タバコ火災を防ぐには、必ず決められた場所で吸うようにして、水で完全に消火する、吸い殻をためない、就寝時には、寝室では喫煙をしない、マッチやライターなど小さなお子さんの手の届かない場所に保管する、などの決め事をするようにしましょう。
2.コンロ:火を使った調理中は目を離さないことが肝心
コンロはほとんどの場合、消し忘れによる出火が多くなります。調理中につい他の事に気を取られたり、電話に出てしまったりなど、火を付けていることそのものを忘れてしまって目を離してしまった時、てんぷら油などが高温になって、発火することで火災に至ったというケースが多く発生しています。コンロを使用している時は絶対にその場を離れない、調理中は二つの事を同時にしない、自動消火するセンサー付きのコンロを使用するなどの対策が必要です。
3.ストーブ:乾燥機として使用しないこと
毎年、気温が低くなると同時に発生件数が急速に増大するストーブ火災。最近は電気ストーブによるものが多くなり、衣服などに着火して火災に至るケースが多く報告されています。電熱器やストーブを使う場合は、周囲に燃えるものが無いように設置すること。就寝時には使用せずスイッチを切ること。洗濯物などの乾燥には使用しないようにしましょう。4.電気火災:コンセントのホコリやタコ足配線は火災の原因に
電気火災とは、電気器具や断線などによるショートから発火して火災に至るケースを指します。火を使っているという意識が無いため、初期消火が遅れることもあり、住民が不在の場合にも発生することがあります。
熱を持つ電気器具はスイッチを切った後、必ずコンセントを抜いておくこと。また、コンセント付近は定期的にホコリなどを取り除いて置かないと出火の原因になります。タコ足配線などコードが絡む部分が高温になり、出火するケースもあるため注意が必要です。
5.放火:「放火犯を呼び寄せる家」とは?
「放火なんて防げない」と思うかも知れませんが、「放火されやすい家」というのが存在します。周囲に可燃性のゴミなどを長期間出しっぱなしにしていたり、暗かったりするとどうしても放火犯を呼び寄せてしまいます。センサーライトやカメラなども効果的な放火防止策になります。大事なのは地域全体で放火犯を呼び込まない対策が必要です。
万が一の準備:消火器、どこに置いてますか?
消火器には実は色々な種類があって、普通はお馴染みの赤い設置型がどこでも推奨されていますが、いざというときに使い勝手が悪く、マンションだと廊下や屋外など発火場所から遠い所に保管されていて、初期消火がなかなか出来ないケースがあります。女性や高齢者にはあの重さのものを運んで適切に消火するのは困難でしょう。そんな人には最新の「投てき型」消火剤がおすすめです。火元に投げ込めばほぼ確実に一瞬で消火が完了しますし、小さな子供でも扱えます。
火災は初期消火が何より大切。最近は高齢者や子供でも使える投てき型消火器などもある。(写真提供ファイテック/投てき型消火器)
また、スプレー型の簡易消火器なども初期消火には十分効果的なので、キッチンやダイニングなどの目の付くところに設置しておけば、出火時に即座に使用出来るので、あなたの大切な家族や財産を守ることが出来るでしょう。
以上、火事を引き起こす5大原因とその対策を紹介しました。本記事の内容はTikTokにて動画としてもまとめておりますので振り返りにご覧いただけますと幸いです。
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