2000人調査で判明! テレワークのストレス解消を左右する「雑談」の影響力
テレワーク中に「雑談」ができた人は、そうでない人に比べてストレスを解消しやすい
リクルートキャリアが、コロナ禍でテレワークを始めた20~60代 2272名に対して行ったアンケート調査(2020年9月実施)によると、回答者の59.6%がテレワーク前にはないストレスを実感しており、うち67.7%がストレスを解消できていないという状況。年代が上がるほどストレスが解消できていない人の割合は高く、50~60代では83.6%がストレス解消できていない結果です。
また、テレワーク中に「雑談」をしなかった人は、「雑談」ができた人に比べてストレス解消ができていない割合が14.1ポイント高いという状況。しかも、雑談をする機会が「全くない」と答えた50~60代は他の年代より10ポイント前後高く、「チャットなどでの業務外の会話」や「会議開始前の世間話のような会話」の機会は、50~60代は他の年代に比べて格段に低い結果となりました。
この調査結果により、テレワーク中の「雑談」の機会は、仕事のストレスを解消するためにとても大切であること。とくに、日ごろからITを使いこなす習慣のない人にとって、テレワーク中には意識して雑談の機会をつくることが重要であると感じています。
職場で「雑談」の機会を。「ブレイクアウトルーム」の本音トークセッション
オフィスなどでは、顔を見合わせて「最近どう?」などと声をかけあったり、顔色を見ながら「ちょっと元気ないね」と気にかけてみたりすることが自然にできます。しかし、テレワークではそうした機会を持ちにくく、これがストレスの蓄積に影響しているものと思われます。だからこそ、やはり「雑談」の機会はとても大切です。会話の内容を業務に限定せず、仕事をする上での「本音」を分かち合う機会があると、仕事のストレスは解消しやすくなるものと思われます。ただし、その話し合いが「愚痴の言い合い」で終わらないように、「これは」という意見は組織にフィードバックできるしくみがあるとよいでしょう。
一案としては、月に2回程度は部署内で、2カ月に1回程度は部署を横断した同世代のメンバー間で、毎回テーマを決めて、オンライン「フリートーク」を開催するのはどうでしょう。たとえば、「最近のメンタルヘルス」「テレワークについて思うこと」「オンライン会議でよかったこと、困ったこと」など、雑談的な議題を設定します。そして、3~4人程度のブレイクアウトルームで30分程度、忌憚のない話し合いを行ってみてはどうでしょう。特に、テレワーク中の雑談の機会が少ないと思われる人にとっては、とても貴重なコミュニケーションの機会になると思われます。
そして、書記係の人がルーム内で出た意見をまとめ、いくつかアンケートフォームに書き込む(匿名投稿)と、メンバーにとっては日頃のストレスが発散できるとともに、溜まっていた思いを組織に伝えることができます。組織にとっても従業員の本音を把握でき、組織活性化のヒントが得られる貴重な機会になるものと思います。
ただし、フリートークの際には、テーマから話題をずらさないこと、全員まんべんなく自分の意見を話すこと、マウンティングやディスカウントをしないこと、上司がルーム内のトークを監視・干渉しないこと。このようなルールを設けておくことが大切です。
オンライン研修でも好評。テレワークだからこそ「もっと話したい!」
ちなみに、私が企業でオンライン研修を行う際にも、できるかぎりブレイクアウトルームでのフリートークタイムを設けていますが、時間を長めに設定するとたいへん好評です。日頃モヤモヤしていたことを少ないメンバーでじっくり話し合うと、それだけでも気分転換になりますし、他のメンバーの意見を参考にでき、思いがけないアイデアが生まれたりするようです。テレワークの導入により、業務効率化などの合理性ばかりが注目されていますが、その裏で人と人との心の交流は格段に減少しており、信頼関係の低下につながっているものと思われます。したがって、雑談(フリートーク)を通じてメンバー間の交流を取り戻し、仕事への思いを受け止め合い、高め合う機会はとても大切だと感じています。
ぜひテレワークだからこそ、オンライン会議システムを活用し、日ごろなかなか話せない同僚や遠く離れた部署で働く仲間との間で、本音トークができる時間をつくってみてはいかがでしょう。きっと、テレワーク中のストレスは軽くなり、よりよく仕事を進めるアイデアが湧いてくるものと思います。
■参考資料
- 新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査(リクルートキャリア、2021年1月22日発表)