亀山早苗の恋愛コラム

高学歴&有名企業勤務でも「非モテ」。40代、結婚したいだけなのに

40代、結婚したいのにできないと嘆く男性がいる。仕事も一生懸命取り組んでいるし、収入も人並みにある。だが、なぜか「モテない」そう。「がんばっているのに報われない」のは婚活の世界にもあるようだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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頼られたいと思うことが非モテにつながるのか

非モテ

40代、結婚したいのにできないと嘆く男性がいる。仕事も一生懸命取り組んでいるし、収入も人並みにある。女性に頼られる男でありたいと志も高い。本人はそう思っているのだが、なぜか「モテない」そう。「がんばっているのに報われない」のは婚活の世界にもあるようだ。

 

ずっとがんばってきたという自負がある

リュウイチさん(44歳)は、ある地方都市のごく普通の家庭に生まれ、小学校からそこそこ勉強ができた。地元でいちばんの公立高校に入学、成績はいつも10本の指に入っていた。

「ただ、僕はスポーツがダメだったんです。運動神経が悪くて。高校生くらいまではスポーツができるヤツがモテるじゃないですか。だからモテなかったですね」

一年浪人したものの、有名大学に合格して上京した。今度は容姿や立ち居振る舞いにコンプレックスを抱くことになる。

「東京という街になじめなかったし、しゃべるとどうしても方言が出てしまう。誰も笑ってないのに、自分だけで劣等感を強めていったんですよ、今思えば。理系だったからクラスに女性も少ない。まじめに勉強すると、実験などが多くてアルバイトもろくにできない。週に2回の家庭教師はしていましたが、恋愛のチャンスなんてまったくありませんでした」

サークルにも入らず、大学とアパートの往復の日々。家庭教師先で子どもの両親に親切にしてもらったことが唯一のいい思い出だという。

大学を優秀な成績で卒業し、有名企業に就職。だが研究所勤務で、そこも女性が少ない状態だった。

「このままだと恋愛ができない。結婚もできない。こんなにがんばってきたのに、自分は何が目的で生きているのだろうとけっこう落ち込む日々が続きましたね」

そんなとき、部署での飲み会があり、彼は先輩に煽られて風俗に連れて行かれた。そして相手をしてくれた女性に惚れ込んでしまうのだ。

「三日にあげず通いつめました。彼女は天使だと思った。店外デートには応じてもらえませんでしたけど、彼女もきっと僕のことが好きだと思い込んでしまって。あるとき店で、彼女は予約でいっぱいだと言われたんですが、ごねて暴れて警察に連れて行かれました。引き受けてくれる身内もいないので、風俗に連れて行ってくれた先輩に連絡したんです」

警察にも先輩にも、たっぷり絞られた。彼自身、仕事を失いたくないと我に返った。どうして彼女にそこまで入れ込んだのかわからなかった。

 

結婚したいだけなのに

30代に入ると、リュウイチさんはますます「このままではいけない」という思いにかられた。先輩や学生時代の数少ない友人に声をかけて、「誰か紹介してほしい」と頼んだこともある。プライドが高いと思われていた彼にそんなふうに言われて、驚いた知人もいるらしい。

「プライドが高いなんていうのは、周りが勝手に評価しただけ。劣等感が強くて、人間関係をうまく築けなかったんですよ。あのときはとにかく誰かと出会いたくて、自分から頭を下げて回ったんです。でもそうしてみたら、案外みんな親切で。少し自分の殻が破れたような気がします」

何人か紹介してもらったが、ことごとくうまくいかなかった。彼から断ったことはない。2度くらいデートすると先方から断られるのだ。

「自分に自信がないから、どうしても大学名や勤め先のステータスをウリにしちゃうんですよね。すると相手は自慢していると思う。今になるとわかるんですが、自分自身よりバックボーンで点数を稼ぎたいと思っていたんです」

リュウイチさんは率直な人だ。だが、30代まではどうしても率直になりきれなかったのだろう。中肉中背、穏やかな表情ではあるが、確かに特に目立つ印象はない。それもまたコンプレックスだったらしい。

だが40代に入ってそんな自意識は飛ばさなければいけないと思うようになった。

「一昨年からマッチングアプリで出会いを求めています。メッセージのやりとりはうまくいくんですが、実際に会うとなかなか会話が弾まない。口べたですみません、といつも謝っています。それでもひとり、半年ほど続いた人がいるんです。僕、心の中では強烈に女性に頼られたい願望があるのですが、彼女はすごく頼ってくれた。でも、この人ならと思い始めたとき、フラれたんです。彼女の言い分としては、僕の煮え切らない態度に我慢ができなかったらしい。僕としてはお互いに相手をきちんと見極めるには、ある程度の時間が必要だと思っただけ。『だったらそう言ってくれればいいのに』と言われました。改めてそう言うと、『もう遅いの』と。彼女、並行して僕以外の男ともつきあっていたみたいで、そちらとうまくいっちゃったんですね」

ショックだったと、彼はうつむいた。頼られたい願望を満たしてくれる女性は少ないので、彼は細い糸を切られたような感覚に陥った。

「今年はコロナ禍で全然リアルな婚活ができずにいます。オンラインでいい感じになりかけている女性はいたんですが、彼女も最近ではだいぶ外で遊ぶようになってきたみたいで、連絡は途切れがちです」

彼が望んでいるのは、自分が育ったような「ごく普通の家庭」を作ること。相手が望むなら専業主婦になってくれてもいい。強くて頼られるおとうさんと、それを支えるやさしいおかあさん、かわいい子どもがいる家庭だ。だが、そんな彼の思う「ごく普通の家庭」を作ることが、今はいちばんむずかしいのかもしれない。
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