「人生観の違い」から離婚にいたる夫婦

円満離婚

立憲民主党の蓮舫副代表が、27年にわたる結婚生活に終止符を打った。夫との話し合いは30分を2回だけだという。そして理由を「人生観の違い」と語った。言い得て妙。熟年以降の離婚理由として、これはいちばん多いかもしれない。

 

子どもが巣立ったから

「うちもまさにこれです」

うれしそうにそう言うのは、エリさん(52歳)。蓮舫議員と同い年だ。1歳年上の夫とつい最近、離婚したばかり。

「2年前、娘が大学を卒業して、もう食事の支度もしなくなりました。娘からは家賃をとって同居人という状態。そして同じ時期に息子が専門学校を終えて社会人として寮に入りました」

一気に子どもたちから手が離れ、エリさんは、もう一度、自分の人生を考え直したくなった。仕事と家庭で忙しかった日々だが、これからは何でも好きなことができるのだ。

「まずは仕事に必要なセミナーなどを受けまくりました。私の職場は、定年制度がないんです。だから望めばいくつまででも働ける。その代わり、それなりのスキルを身につけなければいけない。ここからが第二の人生と考えてスキルを磨き続けていこうと」

今後は大学院への入学も視野に入れているという。

一方、夫は50歳を迎えて早期退職に応募した。IT系の企業で働いていたので、この際だからと独立したのだ。

「夫は自宅の近くにアパートを借りてそこを事務所にしていたんですが、仕事が忙しくなったりすると事務所で寝泊まりしてしまうこともありました。子どもたちが独立したところで、私がこれからはもっとバリバリ働くと言ったのに対し、夫は『自分の仕事はここでなくてもできる。どこかへ移住したい』と言い出したんです」

夫は西日本の離島出身。半世紀生きてきたけれど、やはり都会は性に合わないと言った。

「故郷には中学までしかいなかったのに、今さらそんなことを言うんだと思いましたが、年齢を重ねたからこそ故郷に戻りたいという気持ちもあるんでしょう。じゃあ、どうすると聞いたら、卒婚でも離婚でもどちらでもいいと。じゃあ、すっきりするために離婚届を出そうかという話になりました。揉めませんでしたよ。お互い、もとはひとりだったんだからここでまたひとりに戻ってもいいねということで。子どもたちもいたって普通に『そうなんだ。じゃあ、おとうさんのところに遊びに行くね』って。最後はみんなで食事をして、あとは好きにしましょう、解散って感じでした」

子どもたちは夫とテレビ電話などをしているらしい。エリさんも週に2度くらいは夫と会話を交わしている。

「一緒に住んでいたときより家族での会話が増えましたね、不思議なことに」

大人になった家族は、それぞれの道を歩むために一度、解散したほうがいいかもしれないとエリさんは真顔で言った。

 

家でのんびりしたい夫、外で活動したい妻

「人生観の違い」というのは、単に趣味が違うとか、好きなことが一致しないとか、そういうことではないと言うのはミカコさん(49歳)だ。結婚して20年、息子ふたりは高校3年生と1年生になった。

「子どもたちが成人したら、私たち夫婦は別れることになっています」

あっけらかんとそう言った。

「その後、私はボランティアとして世界中を回りたい。もともと私は中学の教師をしていました。5年前に心身の調子を崩して退職したんですが、若いころから海外でのボランティアをしてみたかった。このままでは死ぬに死ねない。どうしてもやってみたい」

地域の子どもたちに対して、また、国内の被災地ではボランティア活動を続けてきた。今も週末は仲間と集まることが多い。

「会社員の夫はとにかく家が好きで、休日は家で本を読んだり映画を観たりしたいタイプ。仲間と集まるのは好きじゃないんです。だから私は家に人を呼べない。それがストレスでしたね」

2年ほど前、義父が亡くなったのを契機に、どんな老後を過ごしたいかと夫と話し合った。夫は「家で孫と遊びたい」と答えた。

「なんだかがっかりしちゃって……。私は子どもたちの手が離れたら、人の役に立つ活動をしたいと答えたんです。すると夫は『どうしてそんなに人のために生きたいの?』って。価値観の違いというより、人生観の違いなんだなとそこで痛感しました」

どちらがいいとか悪いとかの問題ではない。彼女が言うように人生観の違いなのだろう。自らのために時間と労力を使うのか、人のために使うのか。

「ボランティアだって結局は自分のためなんですよ。自己満足と言われればそうかもしれない。だけどどこを見ているかと言われれば、やはり人を見ているんです、自分ではなくて。私はそういう生き方をしたい。もちろん、夫にそれを強要したくはない。だから5年後にはおそらくひとりで飛び出していると思います」

夫や子どもたちは、さすがにそこまではしないだろうと踏んでいるらしい。だがミカコさんは本気だ。

「見くびってもらっちゃ困るんです(笑)。家族の中で女ひとりだから、親切にはしてもらっているけど、私は彼らが思っているほど弱くないと思っています。いざ旅立つときに、にっこり笑って今までありがとうと家族に言うつもり」

ミカコさんは不敵な笑みを浮かべていた。


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