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記事例:「なんで結婚しないの?」に答え続けるのにもう疲れました

現代社会では問題視されにくい女性のひきこもり

ひきこもり主婦

中高年のひきこもりが話題になっているが、一方で女性のひきこもりも意外と多いことが知られていない。当事者会などに行ってみると、女性たちが増加しているのを実感する。ただ、女性たちのひきこもりが問題視されないのは、女性は家事手伝い、主婦など、「家にいるのが当たり前」と誰もが思い込んでいるからだ。
 

実際には、外に出たくても出られず苦しんでいる女性たちがたくさんいる。学生時代に「つぶれてしまった」過去を持ちながら、信頼できる男性との結婚を経て、ようやく自分に目を向けられるようになったというユミさん(30歳)に今に至るまでの話を聞いてみた。

 

親、職場と人間関係に悩みを抱えるユミさんの生い立ち

「今はほとんど家から出ることがありません。食材もネットで頼んでいますし。たまに夫と出かけることがあるくらい」そう話してくれたのは、ユミさん(30歳)だ。結婚して2年たつ。
 

■過干渉な母のもとに育った幼少期

子どものころから母親の過剰な期待を受けて育った。過干渉で過保護な母親に逆らう術を知らなかったという。

「習いごともすべて母親が決めていましたから、私は自分がやりたいことをやっているのかどうかもわからなかった。塾にピアノにスイミングで、小学校のときからスケジュールはびっちりでした」

 

■自ら退学届を提出した学生時代

中学受験をして有名私立に入ったが、母親はさらに東京大学に行くようプレッシャーをかけてきた。
 

「高校生のとき、私は母が思うほど能力がある人間ではないと自覚したんです。東大なんて夢のまた夢みたいなもの。それでも母の期待に応えようとがんばっていました」
 

そしてついに彼女はつぶれてしまう。いきなり学校に退学届を出したのだ。それを知った母親は号泣して寝込んだ。
 

「ひとりっ子だし、親戚づきあいもなかったから私は誰にも相談できませんでした」
 

それでも終始、傍観者だった父親がようやく動き、彼女は別の私立に転校することができた。そのころから母親は彼女を敵視するようになっていく。

 

■高校卒業後に上京

「やっと高校を卒業しましたが、大学には受かるはずもなく……。母からは『あんたなんか産まなければよかった』と決定的なひと言をいわれました」

それを聞いて家を出、東京へやってきた。そして住み込みであちこち転々としながら仕事をした。


「水商売もやりましたけど、あまり客あしらいが上手にできなかった。ホステスには向かないけどバーテンダーならできるかなと学校に通いました。見習いバーテンダーとして仕事もしましたが、上司が体育会系のタイプで……。長続きしませんでしたね」
 

人の顔色ばかり読んで疲れてしまう、常に自分が「不要な人間」と思われているのではないかとびくびくしてしまうと彼女は言った。
 

夫となる男性に出会い……彼だけは信頼できるように

その後、しばらくは貯金を崩しながら生き延びた。狭いアパートの部屋から出たくなかったという。2年ほどひきこもっていたが、貯金が底をつき、働かざるを得なくなった。大手の流通関係で倉庫管理の仕事につく。そういう仕事なら人間関係も煩雑ではないだろうと踏んだのだ。仕事とアパートの往復だけで時間が過ぎていった。そこで現在の夫となる男性と出会った。
 

「最初は拒んでいたんです。誰かと恋愛するなんて考えたこともなかったし。でも彼はすごく温かい人だった。少しずつ話すようになって、2年くらいかかって、やっとこの人は信頼できるかもしれないと思いました」


当時、彼女が借りていたアパートの更新が迫っていた。なにげなくそのことを言うと、彼は「ウチに来れば?」と言い出した。まだつきあっているという状態でもなかったから、彼女はびっくりしたという。


「結婚しようと彼が言って、ますますびっくり。別に何も求めていない、避難するようなつもりでもいいって。彼は6歳年上なんですが、すでに天涯孤独という身の上。唯一、つきあいがある親戚の伯父さんに会いましたが、その方もいい人でした」
 

信頼できる相手との結婚が彼女にもたらしたこと

結婚してホッとしたのか、彼女は仕事へ行く気力を失った。夫は「好きなようにすればいいよ」というスタンス。そこで彼女は初めて、「自分が好きなようにするってどういうことなんだろう」と考えるようになった。
 

「考えてみたら私は私の人生を生きてこなかった。高校までは親の言いなり、あとは食べていくためだけの仕事。趣味もなければ友だちもいない。ひきこもっているのは楽だけど、最近、少しずつこのままではいけないと思うようになった。そうしたら、本当の私って何なのか、やりたいことはあるのかなど、自分について疑問だらけになってきたんです」
 

誰とも接触をもちたくないと思っていたところへ夫という存在が現れた。それを機に安心してひきこもることができたのだが、2年たって彼女は少しずつ動き出したい気持ちにかられているようだ。


「何かしたいという気持ちはあります。日々、夫と話しながら、少しずつ私という人間が再生されているような気もする。時間はかかっても、いつか動き出せたらいいなと思っています」


夫は常に彼女の気持ちを優先してくれるという。ひきこもっている状態からの回復というのは、就労ではない。とことん信頼できる人、安心できる場所があれば、ゆっくりとではあっても人は自分を取り戻していける、あるいは新たな自分を発見できるのではないだろうか。そこからがスタートになるのではないかと感じている。

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