今どき、実は地方のほうが離婚率は高い!?
2017年の人口動態統計によれば、日本の中で離婚率がいちばん高いのは沖縄県。次いで宮崎、北海道、大阪、福岡となっている。意外かもしれないが、東京を始め首都圏は婚姻継続率が高いのだ。
地元で早く結婚すると……
「実は私、今年のお盆に久々にゆっくり実家に帰ったんです」
そう言うのはカナコさん(46歳)だ。高校に入ったばかりの長女は友だちと旅行、中学生の長男はサッカーの合宿から父方の親戚のところへ遊びに行った。夫はお盆時期は休めない。そこでカナコさんはひとりで1週間以上、九州の実家に戻った。
「小さな町なんですけどね、昔の友だちにたくさん会いました。ところが離婚している人が多くてびっくり。友人の中には離婚して実家に戻って仕事を再開した女友だちもいるし、実家には戻らず繁華街で水商売をして今は店をもっているという友だちもいたりして。いずれにしても女性はたくましい。そう思いました」
地元では早く結婚した友人が多い。若気の至りで結婚して、ある程度の年齢になってから自分の生き方を問い直し、離婚に至るのかもしれない。
「私が子どものころは、離婚したなんて言ったら近所や親戚から何を言われるかわからないような土地柄だったんですけどね、今はそういう風潮はほとんど感じませんでした」
カナコさんの妹、ユウカさん(42歳)も離婚経験者だ。
「妹は20歳でデキ婚したんですよ。私は高校を卒業してすぐ東京に出たんですが、妹は地元が大好きで高校時代の同級生と一緒になった。最初は楽しそうだったけど、3年ほどたったころ、『アイツがあんなに女をバカにするヤツだと思わなかった』とあっさり離婚。実家で両親に子どもを見てもらいながら朝から晩まで働いていましたね。その後、一生懸命勉強して、ある資格をとってけっこういい給料をもらっているようです」
ユウカさんは、子どもも成人になったから、自分は恋愛はするけど再婚だけはしないと断言しているという。
妹の言い分に納得
今回、カナコさんは妹のユウカさんとじっくり話す機会があった。「離婚なんかして、という気持ちが私の中にもあったんですよね。だからどこか妹を避けていた。もともとあまりゆっくり帰るチャンスもなかったし。でも今回話してみて、妹には妹なりの言い分があったとわかりました。彼女が言ったんですよ。『おねえちゃんは大学まで出て結婚して、今はパートで働いてる。それが自分の人生の幸せなの?』と」
パートで働いてはいるが、カナコさんの優先順位はあくまでも家庭での母、妻という役割だと認識していた。
「それが自分の幸せだと言い切れるならいいけどね、と妹に言われて、何も返せなかった。子どもたちは宝物だけど、実際、私も仕事を辞めなくてよかったような気がしているから。仕事を辞めたのは夫の意向を忖度した、ということなんです」
イベントの企画や制作をする会社で、カナコさんは仕事を楽しんでいた。結婚しても独身時代とは違う働き方ができたはず。40歳を過ぎてからそんな思いがふつふつとわいてきていたのだ。
「今さらどうしようもないけど、子どもたちが大きくなってくると、自分自身の生き方を振り返るようになるんですよね。決していちばん重要でいちばん幸せな選択肢ではなかったかもしれない」
気を許して妹に夫のこともさんざん愚痴ったが、それにも妹は辛辣だった。
「好きじゃない男とどうして一緒に暮らせるのかわからないと彼女は言いました。年月がたつほど無言で威圧してくる夫への嫌悪感は大きくなっているんですが、だからといって離婚というわけにもいかない。妹は実家が近かったからできたことだから」
ただ、カナコさんは妹と話してよかったと感じているそうだ。
「私にもいつでも別の人生の選択肢がある。そう思うだけで、煮詰まった気持ちにならなくてすむような気がします」
生き生きとした妹を見て、自分がくすんでいると感じた。この秋から、カナコさんは通信教育で昔からやりたかった美術の勉強を始めるという。