貯金ゼロはいつまでたってもゼロ。100万円を何年で貯めるかゴールを決めよう
お金を貯める目的は、人それぞれで、いくら目標にするかも違うでしょう。多いに越したことはありませんが、収入・支出との兼ね合い、家族構成の違い、求める生活スタイルで貯蓄目標額は変わってきます。それでも、お金の貯めはじめは、「まずは100万円」と思うことでしょう。
100万円あれば、いざというときに数カ月は生活を維持することができます。100万円あれば、転職のチャンスを逃すことなく次のステップに進めるでしょう。100万円あれば、海外に出て見聞を広げる機会も得られるでしょう。100万円貯蓄がある、というのは生活だけではなく、精神的な安心にもつながります。
100万円を1年で貯めようとするなら、毎月8万3000円貯蓄する。単純なことです。しかし、最初からそれだけの貯蓄ができる人は多くありません。そこで、自分ならいくら貯蓄できるのか、何年で100万円貯められるかと考えなければならないわけです。たとえ5年かかっても100万円貯められたなら、大きな自信となるはずです。「100万円を何年で貯める」といったゴールを決めることが、とても重要です。
貯蓄が100万円未満、貯蓄ゼロ、という世帯は、想像するより多く存在します。事情はそれぞれでしょうが、貯める力があるのに貯められない人は、何かしら言い訳をしています。もっと収入が上がったら貯蓄する、子どもが学校に上がったら貯蓄する、貯蓄してもたいして増えないし、生活に困っていないから、と。
貯蓄ゼロはいつまでたっても貯蓄ゼロです。どんな時代になろうと、お金が勝手に貯まることはないのです。
いつの時代も「お金を貯める王道」は、先取り&積み立て
毎月きちんと決まった額の貯蓄ができない人に限って、一発逆転とばかりに、ギャンブル的な投機にはまりがちです。これまでお金と正面から向き合ってこなかった人が、成功する道理はありません。世の中にはそうした情報があふれていますが、人が成功したからといって、自分が儲かる保証はどこにもありません。儲かるどころか借金が膨れ上がるのがオチです。お金を貯めるには、地味だろうと、金利が低かろうと、コツコツと確実に積み立てていくしかないのです。親世代では、郵便局(現・ゆうちょ銀行)にお金を預けておけば、10年で2倍になる、という時代がありました。平成になってから、金利は低空飛行を続けたまま、当面は上昇の気配もありません。
それでも、100万円、300万円貯まるまでは、細かい金利差を気にするよりも、「毎月」「決まった額を」「給料から先取り」で貯蓄することが唯一の方法なのです。これは、この先も変わることのない、お金を貯める普遍的なルールです。
バリエーションが増えた積み立ての仕組みを活用する
先取りで貯蓄をするには、勤務先の制度を利用するのが一番簡単な方法です。社内預金、財形貯蓄制度があれば、最優先で利用すべきです。こうした制度がない会社員や非正規雇用、自営業者、フリーランスの人は、日頃使っている銀行の自動積立定期預金を利用します。金利がいい銀行もありますが、給与振込に使えないと自分で振り替えないといけなく、貯蓄の仕組みとしてはひと手間かかる分、継続することが難しくなります。積み立ては、簡単で手間がかからず、一度手続きをすれば、ずっと継続できるものにするべきです。
100万円が貯まるまでは、毎月の貯蓄全部を1つに絞って積み立てることをおすすめします。「1,000,000」の6桁のゼロを確認できれば、次のモチベーションにつながるからです。
ただ、平成の終わりになって、これまでなかった積み立ての仕組みが次々と登場しています。
個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)は、将来の老後資金を投資信託などで積み立てていく制度。掛け金が全額所得控除になる、運用中の利益は非課税、受け取り時も有利な税制で、今、急速に普及している資産形成の仕組みです。フィンテック技術の進歩によって、ポイントを使った少額の投資なども始まっています。今後は、投資の分野で積み立ての仕組みはバリエーション豊富になってくるでしょう。
100万円貯まるまでは投資には手を出さない、というのがこれまでのセオリーでした。今後は、100万円の貯蓄と同時並行で、「積み立て投資」を活用できるかどうかで、10年、20年先に大きな差となって現れる時代になったといえるかもしれません。
執筆/伊藤加奈子
All About貯蓄ガイド。金融誌や住宅関連誌、ライフスタイル誌などの数多くの媒体を立ち上げたメディアプロデューサー・FP。取材や体験に基づいたお金の知恵を紹介、各種WEBサイトに住宅関連、マネー関連のコンテンツ提供を行っている。