共同相続人は協議で遺産の分割をすることができる

相続が発生すると、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務(被相続人の一身に専属したものを除く。)を承継することとなります。(民法896条)また、相続人が複数人いる場合は、相続財産はその共有に属することとなります。(民法898条)この共有状態となっている相続人を共同相続人といいます。

 
遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の書き方


共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合等を除き、いつでも、その協議で遺産の分割をすることができることになっています。(民法907条)この協議のことを遺産分割協議といいます。
 

遺産分割協議書とは?とても重要

その協議がまとまった証として、遺産分割協議書を作成し、全相続人・包括受遺者が協議内容に異議がないことを証明するために、その遺産分割協議書に署名・押印(実印)を行います。

遺産分割協議書は、凍結されていた銀行預金の引き出しや不動産名義の変更登記、相続税の申告などの相続手続きに利用されるため、重要となります。したがって、押印は実印で行われ、印鑑証明書も戸籍謄本等と共に添付をします。

また、相続人間における分割内容の合意・確認や、法的にも分割が終了したことを明確にするといった意味合いがあり、とても重要な書類です。
 

遺産分割協議書の書式は?

遺産分割協議書には、決められた書式はありませんが、誰がどの財産を取得したのかを明確にする必要があります。

後々のトラブルの原因とならないように、その財産を特定できないような曖昧な表現はしないようにすることも大切です。
 

複数回に渡る作成

一般的には、全ての財産・債務を記載した遺産分割協議書を作成することが多いですが、一部の財産のみの遺産分割協議書を作成することも可能です。例えば、普段あまり使用していない金融機関に他の金融機関の預金情報等を見られたくない場合などで作成されることもあります。(もちろん、守秘義務等がありますので情報を目的外に利用されることはないと思いますが。)

なお、原則として、生命保険金・死亡保険金は遺産分割協議の対象ではないため記載の必要はありません。
 

遺産分割のやり直し

遺産分割協議のやり直しについては、法的には有効ですが、税務上は当初の分割内容で確定してしまうため、やり直しによる相続人間の財産の移転については、贈与として認定されることもありますので注意が必要です。
 

遺産分割協議書の作成期限

遺産分割協議書の作成に期限はありませんが、相続税の申告をする人の場合には、申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内(別途特例あり))までに分割をすると特例が受けられる場合もあるため、早めに作成することをお勧めします。
 

遺産分割協議書の雛形と書き方

下記に遺産分割協議書の雛形を記載しておきます。
 
 被相続人・アバウト太郎(平成○○年○月○日死亡)の相続人・アバウト花子、アバウト一郎及びアバウト次郎は、分割協議の結果、次の通り被相続人の遺産を分割取得し、債務を承継することに合意した。
 
 1.相続人・アバウト花子は、以下に記載する遺産を取得する。
 
 (1)土  地
 ①所  在   渋谷区恵比寿○丁目
 地  番   ○○番○○      
 地  目   宅 地      
 地  積   123.45平米
 
 (2)建  物
 ①所  在   渋谷区恵比寿○丁目○○番地○○      
 家屋番号  ○○番○○      
 種  類   居 宅      
 構  造   木造スレート瓦葺2階建     
 床 面 積   1階 ○○.○○平米  2階 ○○.○○平米
 
 (3)有価証券
 ①出 資 金   ××農業協同組合 ××支店 #123456 100口
 ②株  式   株式会社××  10,000株
 
 (4)現金1,000,000円
 
 (5)預貯金
 ①××銀行  ××支店 普通預金 #1111111 2,000,000円
 ②××銀行  ××支店 定期預金 #2222222 3,500,000円
 
 (6)家庭用財産 
渋谷区恵比寿○丁目○○番○○所在の建物内の家財一式
 
 (7)その他の財産
 ①電話加入権  #03-5298-××××  1回線
 ②前払保険料   日本郵政公社   #00-00-0000000
③所得税還付金  ××税務署
 
 2.以下の遺産を相続人・アバウト花子が100分の45、相続人・アバウト一郎が100分の37、相続人・アバウト次郎が100分の18の割合でそれぞれ共有取得する。
 
 (1)土  地
 ①所  在  渋谷区恵比寿○丁目      
 地  番   ○○番○○      
 地  目   宅 地      
 地  積   234.56平米
 
 (2)区分所有建物
 ①<一棟の建物表示>      
 所  在   渋谷区恵比寿○丁目○○番地○○ 
 構  造   木・鉄筋コンクリート造スレート葺2階建     
 床 面 積   1階 ○○.○○平米  2階 ○○.○○平米
 ②<専有部分の建物表示>      
 家屋番号   渋谷区恵比寿○丁目○○番地○○の○     
 種  類    居 宅      
 構  造    木造1階建      
 床 面 積    1階部分 ○○.○○平米
 
 3.相続人・アバウト花子、アバウト一郎、アバウト次郎は、以下の遺産を取得する。
 (1)土  地
 ①所  在   渋谷区恵比寿○丁目      
 地  番   ○○番○○      
 地  目   宅 地      
 地  積   130.00平米      
 持  分   2分の1
 
 上記土地の別添図面(135.78平米)の持分の1/2の内、アバウト花子は37.89平米、アバウト一郎、アバウト次郎はそれぞれ15.00平米を取得する。尚、この地積は現況地積であり、分筆の際の隣地立会等により地積が変わった場合には、関係所有者間で協議して決めた地積とする。
 
 4.相続人・アバウト花子は、上記1ないし3に記載以外の被相続人の全ての遺産を取得する。
 
 5.相続人・アバウト花子は、被相続人の債務全てを承継する。
 
 6.被相続人の葬式費用については、相続人・アバウト花子が2分の1、相続人・アバウト一郎、アバウト次郎がそれぞれ4分の1の割合で負担する。
 
 7.相続人・アバウト花子は、前項までの遺産分割の代償として、相続人・アバウト一郎、アバウト次郎に対して、それぞれ3,000,000円の現金を支払う。 
 
 以上の通り、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証明するために本書を作成し、次に各自署名押印する。
 
 平成○○年○○月○○日
 
 相続人 住所  ○○○○○○○○
氏名  アバウト  花子   印
 
 相続人 住所  ○○○○○○○○
氏名  アバウト  一郎   印
 
 相続人 住所  ○○○○○○○○
氏名  アバウト  次郎   印
 

 

遺産分割協議書を書く上でのポイントは?

①    財産が特定できるように正しく記載する。
②    誰が、何を、どの程度(面積や金額等) 取得・負担するかを明確に記載する。
③    記載以外の財産が見つかった場合の対応方法を記載しておく。(No.4)
④    代償分割がある場合には明確に記載する。(No.7)
⑤    各自署名・押印(実印)を行い、印鑑証明書も準備しておく。
など。
※共有取得については、将来的に争いの元になることが多いため、一般的にはお勧め致しません。十分に検討した上で、選択するようにして下さい。
 
 
遠方にいる相続人に対して、遺産分割協議書を郵送等することは、多くの労力と時間を費やすため、専門家の間では、遺産分割協議証明書というものを活用していることも多いです。興味のある人は、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
 
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