仮想通貨規制の範囲の拡大
11月12日、金融庁が定期的に開催している「仮想通貨研究会」第9回において、仮想通貨に対する今後の規制や問題点、課題について話し合われました。今回の大きなテーマのひとつがウォレット業者に関する規制です。その中で、仮想通貨業務を行う国内のウォレット業者に対して「仮想通貨交換業に該当する」という指摘がありました。これは仮想通貨取引所が行うオンラインウォレットなどを指し、仮想通貨の売買・交換・媒介・取次・代理管理行為は、仮想通貨交換業に当たるとしています。
個人のPCやスマホ用のウォレットアプリ業者や、アドレス作成デバイスの販売業者、ペーパーウォレット作成ウェブサイトの運営など、仮想通貨の売買は行いませんが顧客の仮想通貨の管理・顧客指定の仮想通貨の移転などの業務は、仮想通貨の売買行為がないため仮想通貨交換業には該当しないと定義されました。
しかし、ウォレット業務でのサイバーアタックなどのセキュリティリスクやマネーロンダリングやテロ資金供与への悪用など、仮想通貨交換業との共通のリスクも存在するとして、ウォレット業者に対する規制や監視強化が進むことは確実と思われます。
「仮想通貨」か「暗号資産」か
仮想通貨の呼称変更についても議題に上がりました。日本では「仮想通貨」という名称が浸透していますが、仮想=バーチャルというイメージの軽さから浅慮な投機などを助長しているという指摘や、英語では「Crypto Asset(Crypto=暗号、Asset=資産)」という呼称が主流であり、世界と歩調を合わせるためにも呼称変更は必要という意見が出ました。また、2018年3月に開催されたG20で、仮想通貨はソブリン通貨(各国政府や金融機関が発行・保証する通貨)として認められない部分があり仮想「通貨」という呼称はそぐわないとの声明が発表されました。※この声明は中央銀行が発行するコインと民間のコイン(ビットコインやリップルなど)を明確に分け、今後国が仮想通貨を発行するための布石であるともいわれています。
一方、既に広く浸透・定着している呼称を変えると、これまで「仮想」を使用していた取引所など関連名称が全て「暗号」に表記を変えなければならず、かえって混乱を招くとして、呼称変更には反対の意見も出ています。
仮想通貨、規制の行方
ビットコインの下落やビットコインキャッシュの内紛など、ネガティブな雰囲気が漂う仮想通貨市場ですが、ICOによる資金調達なども含めて、顧客保護を目的とした法整備は進んでいます。国内の仮想通貨関連企業が多く参加する自主規制団体も一丸となった環境整備は、仮想通貨の普及にとって不可欠なものであるといえます。【関連記事】
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