世界コンクールでも活躍したパティシエ・野島茂シェフにオーダーメイドケーキを特注!
今回、「ケーク・クチュール」を予約するにあたって、まずは、野島シェフのスケジュールをお伺いしました。当初は、お盆の頃にと思っていたのですが、お店が夏休みでいらっしゃることが判明。そういうこともあるので、やはり早めの相談が大切です! 結局、初秋の頃にお願いすることになりました。
次にテーマですが、飴細工で世界コンクール入賞を果たしていらっしゃる野島シェフ。お願いすれば、バラの花や様々なモチーフの飴細工をケーキの上に載せていただくことも、もちろん可能です。が、私は今回、飴細工などの華麗な飾りはあえて無しで、シンプルで食べて美味しい一台に!とお願いしました。
テーマは「秋の華」。当初、8月中旬にお願いするつもりだった際、「花火」をテーマにしてほしいとお話していたのですが、時期がずれたため再考。ただ、毎年秋に行われる有名な花火大会もありますし、盛夏の頃とは一味違う、秋の風情を帯びた「華」を表現してほしいという意向です。また、私も、ご一緒する皆さんもフルーツ好きなので、初秋の果物を使ってくださいともお願いしました。
大きさは15-16名分、予算は3万円。そこから参加者会費を割り出しましたが、ケーキを運ぶのに車移動ではない場合、箱が大きすぎて電車では移動困難である可能性も高いため、タクシー交通費も含めて考えることが必要です。
オーダー後しばらくして、デザインのイメージが固まったという野島シェフから「ビターチョコレートとヘーゼルナッツを合わせたアントルメでご用意します」というご連絡をいただきました。
一瞬、(チョコレートとヘーゼルナッツでは、初秋とは言えまだ残暑の時期に、ちょっと重たくないかな?)という思いも頭をかすめましたが、野島シェフのお菓子はこれまでに度々いただき、その特徴もよくわかっています。
世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2003」出場時のショコラのアントルメ作品「アリヤ」は、ビターチョコレートとレモン、蜂蜜とヘーゼルナッツを使った名作でした。一見、どっしりしていそうなのに爽やかで華やか。重たいと感じさせることなく、すっと口どけのよい軽やかなガトー。きっと今回も、そんな一台になるに違いないと思ったのです。
さぁ、そしていよいよ当日を迎え、厨房併設の「銀座マルキーズ」の店舗の方に受け取りに伺いました。
野島シェフがお持ちくださった、「秋の華」をテーマとしたオーダーメイドケーキ。箱の蓋を開いていただいたところで、思わずわっと歓声を上げてしまいました。イチジクや巨峰といった初秋のフルーツを使い、プラリネのクリームとドライフルーツ、ナッツでケーキの天面をめいっぱい埋め尽くした贅沢な一台。ヴェネチアングラスの技法で“千の花”を意味するミッレ・フィオーリや、モザイク柄をも思わせました。
しかも、最初に言っていた「花火」の要素を残して、側面に添えられたクッキーのデザインに採り入れてくださいました。夕映え色をベースに、アイシングを点々と絞って、花火の柄が、これまた一面に描かれています。一つ一つ丁寧に・・嬉しいお心遣いでした。
ケーキのサイズは約30cm角、箱のサイズは35cm角と伺っていたので、想定はしていましたが、箱を収めた手提げ袋を持ってみると、かなりずっしりと重たい。これはやはり電車で運ぶのは厳しいと、お店の前からタクシーで移動することにしました。急ブレーキなどのリスクもあるので、車内でも、必ず膝の上にのせて水平に抱え持ちましょう。おかげさまで、無事に会場まで運ぶことができました。
「秋の華」の構成は、上に絞られているクリームが、アーモンドとヘーゼルナッツをキャ
ラメリゼしたものを挽いて作った自家製プラリネを、生クリームと合わせた香ばしいクレームシャンティー。その上に、イチジクの輪切りと、皮を残した巨峰のハーフカット、フランボワーズの3種のフレッシュフルーツ。キャラメリゼしたヘーゼルナッツと糖衣がけにしたピスタチオ、ドライフルーツのいちじく、レーズン、オレンジコンフィが飾られています。花火柄のクッキーで四面を覆われた中身は、上下をダックワーズ生地でサンドされたビターチョコレートのムース。また、うっすらとオレンジコンフィのミンチが忍ばせてありました。
16カットしたところ、1人分が約7.5cm×7.5cmサイズとなりましたので、見た目もかなりのボリューム! おそらく、20人以上でシェアしても充分なサイズ感でした。
ですが、食べ進めていくと、プラリネのクリームは香ばしくも軽やか。チョコレートムースも、しっかりとビターな食べ応えはありますが、重たくはなく、ふんわりと口どけがいいのがさすが! さらにイチジクとぶどうのみずみずしく奥行きのある果実味や、ドライフルーツやナッツが醸し出す、秋らしいコクのある味わいも感じられ、オレンジミンチのほろ苦さと爽やかな香り、食感がアクセントに。様々な要素が盛り込まれつつ、秋の実りの豊かさをシンプルに表現した、とても食べやすい野島シェフらしいお菓子でした。
しかも、ケーキの周囲に敷き詰められた、レーズンと胡桃を合わせた特製グラノーラがサクサクと香ばしく、つい止まらなくなるという誘惑まで!
実は今回、日頃、お世話になっているAll Aboutのスタッフの方にもオーダーメイドケーキを体験していただこうと、会場をお借りする形で、野島シェフのケーキを召し上がっていただきました。ちなみに写真は、2017年1月より編集長を務めていらっしゃる大塚晋氏です。人数が揃わないとなかなか食べられない、特大サイズのスペシャルケーキ。楽しんでいただけたようで何よりでした。
私は今回、野島シェフの自由な感性にお任せしたかったので、打ち合わせで一度お店にお伺いし、必要最低限のことをお伝えした後は、あえて、あまり色々な希望を申し上げませんでした。ですが、お互いに納得のいく完成形のためには、希望や気になることがあれば、遠慮せずに伝えることが必要です。
特に、オーダーメイドケーキ初体験の方や、オーダー内容の具体的なイメージが強い方は、デザイン画を描いていただくなど、途中で何度か確認させてもらうとよいでしょう。参考写真や画像データの提供をすることもあり得ます。
やり取りは、口頭だとお互いにわからなくなってしまう可能性があるので、メールなど、記録に残る形を取るのがベターです。必要な方は、見積書なども作成していただくとよいと思います。
ただし、メールにしろFAXにしろ、何らかの原因で相手に届かないケースがあるため、返信が無いなと思ったら、念のため確認をすることが必要です。そのためにも、期日に余裕をもった連絡を心がけましょう。「@LINEで既読になったから伝わっている」というものではありません。自分自身も、短くていいので、きちんと返信をしたいものですね。
「GINZA MARQUISE 並木通り店」での「ケーク・クチュール」体験記、いかがでしたでしょうか?
これまで、オーダーメイドケーキなんて自分には縁がないと思っていた方も、このレポートを参考に、もっと気楽に頼んで、楽しんでいただけたら幸いです!
<ショップデータ>
「GINZA MARQUISE 並木通り店」
東京都中央区銀座7-6-12 第5ポールスタービル1F
電話 03-3569-0085
営業時間 平日11:00-24:00、土日祝 11:00-21:00
定休日 不定休
http://www.ginza-marquise.com/
※ 2019年4月以降、オーダーメイド制作のサービスは継続していますが、制作担当者が変更となっています