隠れた名車? RSがつかないカワサキZ900

Z900フロントビュー

カワサキZ900フロントビュー

2017年12月1日の発売と同時に大ヒットとなり、各バイク販売店でも品薄状態となったカワサキ(Kawasaki)のZ900RS。往年の名車Z1やZ2へオマージュを捧げたデザインと、優れた性能を兼ね備えた同車は、多くのバイクファンを唸らせました。その4ヵ月後の2018年4月2日に発売されたのが、今回ご紹介するZ900です。「RS」がつかない同車は欧州で先行して発売され、Z900RSのベースモデルとなった車両です。
 
日本ではZ900RSが大きな話題となった後の登場だったため、どうしても似たスペックと排気量のZ900は影に隠れがちです。ですがカワサキの公式サイトでスペックを見てみると、どうやら楽しそうな仕様となっています。RSがつかないZ900の実力はどうなのでしょう? 今回も都内の通勤で試乗したインプレッションをお届けします。
 

Z900はシンプルながら必要にして充分な装備を採用

Z900サイドビュー

カワサキZ900サイドビュー

Zシリーズ最大排気量のZ1000やZ900RSに比べると、シンプルながら公道を楽しく走るには充分な装備が備わっています。まずライダーをアシストする装備として、アシスト&スリッパークラッチ。クラッチレバーの操作を軽くしつつ、ギアダウン時にタイヤをロックさせるのを緩和させる同機構は、カワサキが早くからさまざまな車種に採用してきました。
 
最近では250ccクラスのバイクにも採用されていますが、アシスト&スリッパークラッチは排気量の大きなZ900のような車両にこそあると嬉しい装備のひとつ。実際にクラッチ操作は軽く感じますし、ハイパワー車両だからこそ、ギアダウン時にリアタイヤがロックするのを緩和してくれるので安心感があります。
Z900フロントブレーキ

カワサキZ900のフロントブレーキ

ブレーキはこのぐらいの排気量のスポーツバイクとしては一般的な対向4ピストンキャリパーとダブルディスクの組み合わせで、ABSを標準装備としています。Z900RSが装備しているトラクションコントロールの採用がZ900で見送られている点は、ちょっと残念です。
Z900のリアサスペンションはプリロードと伸び側ダンパーの調整が可能

Z900のリアサスペンションはプリロードと伸び側ダンパーの調整が可能

リアサスペンションは初期の沈み込み量を調整するプリロードが無段階で調整可能。縮んだサスペンションが戻る際の負荷を調整する、戻り側ダンパー調整機構も備わっています。灯火類は基本的に一般的なバルブですが、テールランプのみLEDが採用されています。
ETC車載機が標準装備。鍵がかかるリアシート下に収納されているので安心

ETC車載機が標準装備。鍵がかかるリアシート下に収納されているので安心

ETCは標準装備。鍵で開閉可能なリアシートの下に車載機が納まっています。鍵の開閉ができる場所に車載機が納まっているのは安心感があります。最近は純正で採用されることがなくなってきているヘルメットロックがついているのも便利です。
 

Z900の足つき性や価格は?

Z900 左サイド

カワサキZ900の左サイド

Z900のシート高は795mm。最近のストリートファイター系バイクとしては一般的な数値と言えますが、サスペンションは柔らかめなのでライダーがシートに座るとスッとサスペンションが沈み込みます。加えてシートの幅も狭いので、足つき性は比較的良好です。Z900RSと比べるとシート高が5mm低いのですが、数値以上に足つき性に差があるように感じました。同時に乗り比べていないので確実ではありませんが、Z900の方がサスペンションのセッティングが柔らかく、沈み込み量が大きいのかもしれません。
 
続いて車体価格ですが、Z900RSは自社の伝説的名車にオマージュを捧げて作り上げたバイク。そのため装備を見てみても、灯火類は全てLED。トラクションコントロールなどZ900には無い装備も採用されており、ハンドルも剛性の高いファットバー、ブレーキもタッチが良いとされているラジアルマウントを採用しています。ただし価格は129万6000円(税込み)とライバルのバイクと比べても若干高めの値段付けです。
 
Z900は前述したような豪華な装備を採用しているわけではなく、95万400円。比べるとお値打ち価格のように感じます。実際の走行性能にはどのような違いがあるのでしょうか? 都内で試乗してみました。
 

Z900の動きは軽快でスパルタン! でも扱いやすい

Z900のファーストインプレッションは、とにかく全ての動きが軽いということ。Z900RSに比べると装備は簡素化されている印象がありますが、軽量化はしっかりと行っています。スペックを見てみると車両重量は210kg。Z900RSと比べると5kg軽量に仕上がっています。
Z900のエンジンはZ900RSよりも高出力に仕上がっている

Z900のエンジンはZ900RSよりも高出力に仕上がっている

しかし実際に走ってみると、車両重量の差以上に軽快に感じます。その秘密のひとつは、エンジンのセッティング。Z900のエンジンは125PS/9500rpmを出力しており、Z900RSと比べると14PS高くなっています。車両重量が軽くエンジンの出力が高いのですから、軽快に感じるわけです。
 
エンジンは4気筒らしく滑らかに加速するのですが低速からしっかりとトルクがあり、低いギアでアクセルを元気良く開けると、体が前に引っ張られるようなスパルタンな加速をします。街中では意識的に一速上のギアを使うと扱いやすいでしょう。
 
ハンドリングも非常に軽く扱いやすい印象です。前後のサスペンションが非常に柔らかく、しっかりとストロークするので初心者でもコーナリングのきっかけが作りやすく、旋回しやすい印象です。高いギアでスピードが落ちてもエンストせずにしっかり粘るので、低速コーナーでもギアを下げすぎる必要はありません。ユーターンも2速を使うとやりやすいでしょう。
 

Z900の燃費と連続航行距離は?

今回の試乗は大排気量車両にとっては条件の悪い、混雑した都内を抜ける通勤ルート。実際に燃費を計測してみると19.63km/Lでした。Z900のタンク容量は17Lなので計算上の連続航行距離は333.71kmとなります。
 
ただし本来はこのぐらいの排気量のバイクのメイン用途は、ツーリングになるはず。高速道路を使えばもっと燃費は伸びるはずです。今回の試乗でも一度だけ高速道路を走ってみましたが、6速3000km回転ぐらいで80km/h。3500rpm付近で100km/hぐらいでした。
 
このぐらいの速度で巡航すると不快な振動は一切なく、パワーにも余裕があるので気持ちよく巡航することができました。動きが軽いので山道などの走行も楽しめそうですが、高速道路の巡航も快適に走ることができます。
 

Z900は街乗りからツーリングまでマルチに使える

Z900 リアビュー

カワサキZ900のリアビュー

排気量の大きいバイクの用途はどうしてもツーリングなどがメインになってしまいますが、Z900はこのクラスにしては重量が軽く、取り回しも苦労しないのでバイクの出し入れが苦になりません。走り出しても積極的に低いギアでエンジンを回して走るのではなく、ひとつ上のギアを使って走れば扱いやすいので街中の走行も快適です。
 
その気になれば高いギアを使ってスポーティーに走行可能。街中ではひとつ上のギアを使えば、低速でも粘るエンジンなのでせわしなくギアチェンジする必要がありません。
 
どうしてもZ900RSに注目が集まってしまいますが、バイクの動きとしてはZ900の方が扱いやすくておすすめ! 価格が高くなるならLEDの灯火類やファットバーなどはつけなくても良いですが、運転時の安心感が上がるトラクションコントロールだけは次回のモデルチェンジの際に採用してもらいたいものです。
 

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