仮想通貨BTCは対トルコリラで高値更新
米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の釈放を巡る問題をきっかけに、米国とトルコの緊張感が高まりつつある。米国はトランプ大統領、トルコはエルドアン大統領。ともに我の強いキャラクターのため、互いに引くに引けない状況となっている。件の米国人牧師は2016年に発生したトルコでのクーデター未遂事件に関わったとのことから、エルドアン大統領としては圧力を弱めることはできないのだろう。一方、米国も11月に中間選挙を控えていることから一歩も引く素振りは見られない。米中貿易摩擦だけではなく米土貿易摩擦も、夏枯れといわれる参加者が少ない金融市場のネガティブ材料となっている。そのようななか、仮想通貨ビットコインは対トルコリラで、7カ月ぶりに高値を更新した。米国が8月1日に対トルコ制裁を発動したことをきっかけに、トルコ経済の先行き悪化懸念が強まり、リラが急落。先週末には、米国による追加関税でリラ市場は混乱し、1日に2割急落する場面も見られた。
仮想通貨の今後の見通しは?
BitfinexのデータによるとBTC/TRYは13日、47,192リラまで上昇し、1月21日来の高値を更新した。一方、ビットコインは対ドルで6,147ドルまで下落し、6月に付けた安値5,755ドル付近を試す展開となっている。トルコ政府が資本規制を実施したことにより外国通貨を得にくくなった国民が、仮想通貨を購入しているとの声がある。実際、トルコの仮想通貨取引所、Paribu、Bitcturk,Koinimhaでは10日以降、出来高が急増。ParibuのBTC/TRYの出来高は100%ほど増加したという。ただ、エルドアン大統領がトルコリラ安是正の利上げを拒否し続けている状況下、リラは対ドル、対円でも猛烈な下落傾向が続いており、13日には対円で一時15.4631円まで円高リラ安が加速した。トルコ国民が自国のリラを売却しビットコインに変える動きは増えていると思うが、これだけリラが下落すれば相対的に他の資産の価値が高まるのは当然だろう。
欧州債務危機の際にキプロスやギリシャからビットコインに資産を移す動きが強まったことで、ビットコインの時価総額が急速に膨らんだ経緯はある。ただ、当時はユーロという巨大通貨への信任が低下して発生したことを考慮すると、エキゾチック通貨であるリラの資金移動だけではビットコインへの影響は限定的と考える。今後、防衛策を講じているアルゼンチンペソ、インドネシアルピーなど他の新興国通貨に急速な下落が波及するかが注目となろう。
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