○ボックスカーとは?
「あそこのワンボックスカーが……」
「え? あれはミニバンでしょ? ワンボックスとは言わないよ」
そんな会話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
「ワンボックスカー」と「ミニバン」は、使い方を混同しがちですが、
厳密に言えば違うクルマのタイプのことです。
まずは自動車の種類について、いくつかの分け方をご紹介します。
クルマは「エンジンルーム」「居室(人が乗るスペース)」「荷室(トランクルーム)」のそれぞれを「箱(ボックス)」とみなし、その箱の数で「○ボックスカー」と分類する方法があります。○には1、2、3の数字が入ります。
ワン(1)ボックスカーとは「エンジン」「居室」「荷室」がすべて一つの箱に収まるクルマのこと。とはいえ、エンジンは居室内にむき出しで置いてあるわけではなく、運転席と助手席の下に搭載されています。昔からあるモデルでは、ハイエースやキャラバンなどが代表的。横から見たらボンネットが無く「横長の長方形」のスタイルのクルマがワンボックスカーと呼ばれています。
初代「ハイエース」エンジン、居室、荷室スペースがすべて一つの箱に収まり、エンジンは運転席と助手席の下部分に搭載されている。
現在販売されているハイエース。ワンボックスカーの代表的なモデル。
日産キャラバンNV350。横から見ると長方形のスタイルがワンボックスカーの特徴。
ツー(2)ボックスカーは、「エンジンルーム」と「居室と繋がった荷室」の2つの箱があるクルマのこと。「ハッチバック」や「ステーションワゴン」は、このツーボックスカーです。
スバル「インプレッサ」のようなステーションワゴンは2ボックスカーに分類される。
スリー(3)ボックスカーは「エンジンルーム」「居室」「荷室」の3つの箱がそれぞれ独立した部屋となっているクルマで、いわゆる「セダン」のことです。
トヨタ「カローラアクシオ」はカローラシリーズのセダンモデル。トランクルームが独立し、3つの箱に分かれたタイプがスリーボックスカー。
ミニバンとはどんなクルマ?
「ミニバン」とは、「ステーションワゴン」「セダン」「ハッチバック」「SUV」のような、クルマのボディタイプを分ける呼び方の一つ。3列シートで背が高め、室内空間が広いクルマを「ミニバン」と呼びます。寸法や乗車人数に明確な規定はありませんが、多人数が乗れるワゴン(乗用車)はだいたいミニバンと呼ばれ、クルマの価格もあまり関係ありません。ミニバンのことをワンボックスと呼んでしまう人もいますが、ミニバンはほとんどが「エンジンルーム」と「居室&トランクスペース」の2つの箱でできた「ツー(2)ボックスカー」なので、「箱の数による分類」で言えば、ワンボックスとは呼びません。
ミニバンの代表的なモデルといえばトヨタ「アルファード」初代モデルから根強い人気を誇る。
日産「セレナ」もコンパクトで扱いやすいミニバン。
ミニバンとワンボックスカーの違いとは?
ワンボックスカーとは「エンジンルーム、居室、トランクルームが一つの箱に収まるクルマ」のことで、ミニバンは「3列シートで室内が広めなワゴン(乗用車)」のことです。見た目には、エンジンルームが前に張り出していて、運転席と助手席より前にエンジンが搭載されていればミニバンと呼びますし、前のタイヤの上に運転席があるようなクルマはワンボックスカーと呼びます。
ワンボックスカーは室内のスペースを余すことなく使え、ミニバンはボンネットがあるため、運転感覚が比較的つかみやすいのがメリットです。
クルマ屋さんでミニバンを探しているのに「ワンボックスが欲しい」と迷うことなく言ってしまう人もいます。「ワンボックスって、ハイエースやキャラバンなんだけどな……」と思いつつも、営業スタッフさんたちは察してはくれますが、お客様に面と向かって「ワンボックスではなくミニバンをお探しですよね?」とは訂正しにくいものです。ワンボックスとミニバンは、使い分けて伝えるようにしましょう。