耐震で失敗しない!賢く使う耐震リフォーム減税・助成
耐震リフォームには減税制度や市町村の助成制度が用意されています。制度を正しく理解すれば、悪質な業者も上手に遠ざけることが可能です。
地震に備えるための耐震補強、耐震リフォームは、耐震基準を満たしていない建物にとって急務です。そこで国も減税制度で工事費用の負担が軽くなるように支援しています。
今回は耐震リフォームの減税制度についてご紹介します。また、制度のことに加え、悪質リフォーム業者に騙されないためのチェックポイントを取り上げます。
そもそも耐震改修が必要な住宅とは?
耐震補強工事の必要性は、建物の構造や劣化状況、地盤状況などによって判断されるべきですが、建築基準法において耐震基準が定められており、現行の耐震基準は昭和56年(1981年)6月1日から適用されていることから、これ以前の基準で建築された住宅は「耐震基準不適合」という判定になります。国土交通省の調査(平成25年の推計値)では、現行の耐震基準を満たしていない(あるいは確認できていない)住宅が全体の20%近くあるとのことで、実に5軒に1軒の耐震性に不安がある状態です。
また、昭和56年以降も耐震の基準は改正(強化)されており、減税制度の対象にこそなりませんが、昭和57年から平成12年(2000年)の間の基準で建築された住宅については市町村で実施している助成制度の対象となることがあります。
ここで重要なことは、耐震改修は建築時期により、ある程度その必要性が判断できるということです。そして、減税制度や助成制度には耐震改修の条件が定められていることから、これらの条件を満たすように改修することが、耐震性能を高める上においても非常によい目安になっているということなのです。
耐震リフォームの減税制度紹介
では早速、耐震リフォームの減税制度(耐震改修促進税制)についてみていきましょう。自己資金・ローンのどちらでも利用できる制度ですが、減税は1年間のみの適用となります。
【対象となる住宅の要件】 ※すべてに該当すること
- 耐震リフォームを行う者が居住する家屋
- 昭和56年5月31日以前に着工された家屋
- 改修工事前は現行の耐震基準に適合しない家屋
耐震改修促進税制を利用するためにはこれらの要件を満たし、かつ、現行の耐震基準に適合させるための工事である必要があります。逆に考えると、耐震補強用の金物を取り付けるだけの工事では適用できず、綿密な調査・設計が必要です。
また上記の要件を満たした耐震リフォームを実施したとしても、一律25万円が減税されるというわけではなく、別途計算される標準的な耐震改修工事費用(上限250万)の10%であり、その該当年に自らが所得税として納税した額が上限となることを理解しておきましょう。
自治体の耐震改修助成制度もチェック!
耐震改修促進税制の他、各地方自治体による市町村ごとの耐震改修助成制度が用意されていることがあります。昭和56年5月31日以前に建築された住宅はもちろん、自治体によっては平成12年以前に建築された住宅の耐震改修についても助成対象となるところがあります。また、これらの助成制度の要件に、事前に登録された地元業者などの耐震診断を受けることなどが盛り込まれていることもありますので、耐震改修を検討する時は、各自治体の担当部署に問い合わせをしてみることをおすすめいたします。
書類発行の可否が業者選びのポイント
これらの制度にはいずれも「耐震診断報告書」や「住宅耐震改修証明書」「増改築等工事証明書」などの書類が必要です。耐震改修を検討する時には工事業者とこれらの書類や手続きなどを確認しておきましょう。これらの制度を正しく理解しておくことは、耐震改修をセールストークとした悪質業者を排除することにも実はつながります。「このままでは屋根が落ちてしまう」とか「柱が倒れる」などといって、不安を煽る一方で、厳密な調査書類を発行してくれなかったり、「全部ウチの会社で必要な書類は発行できるからすぐに契約してほしい」などと、具体的な書類について示さずに契約させようとする業者は避けた方が無難です。
適切な設計と適切な施工(工事)、そして適切な維持管理が伴ってこそ、安心・安全に暮らせるものです。これらのどれ一つを疎かにしても家を長持ちさせることはできません。耐震改修を検討されるときは、これらの制度としっかり向き合って、賢くリフォームするようにしたいものです。
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