「速読」を習得するためにお金を使う必要はない
意識の高いビジネスパーソンに人気の「速読」ですが、私個人は速読不要論者で、このようなものを習うためにお金を払って時間を使う必要はないと思っています。なぜなら私が読書をする目的は、「自分の思考の枠組みを変える」「自分が持っていない情報、ものの見方、考え方を手に入れる」ことであり、速く大量に読むことが目的ではないからです。
もっと根源的に「本を読む目的」を定義してみます。小説などの娯楽や暇つぶしでなければ、私たちビジネスパーソンが読書をする目的は、「もっと稼げる人材になるため」と言えるのではないでしょうか。
時間を投下する行為はすべて投資。投資であるからには期待するリターンがあるはず。ではその読書から、いったいどういうリターンを求めるのか。
「話し方」の本、「問題解決」の本、「マーケティング」の本、「時間術」の本も、もっと仕事で成果を出して稼げるようになるためのはず。「読めば脳の機能が低下する本」「読めば貧乏になる本」なんて読まないですよね。(ちょっと興味はそそられますが・笑)
表現を変えてみましょう。
仮に今、あなたが宝くじで100億円当たったとします。現金で100億円あれば、金利1%の定期預金に預けていても、年間1億円の利息収入になります(実際には課税されるので8千万円)。つまり、毎月600万円以上使える状態です。そして想像してみます。そういう状態になって、果たしてメモ術や整理術などのビジネス書を読むだろうか?と。
稼げる人材になるとは、今までの自分が持っていなかった思考体系や行動体系を手に入れ、それを実生活に活かすことのはず。ということは、著者の主張を自分の場合に置き換えて、「この情報はどういう場面で使えるか」「これは著者だからできたことかもしれないが、これをどう修正すれば自分にも使えるようになるか」「この主張には納得できないが、著者の本意は何だろう」などと考える必要があります。
そしてそれには時間がかかるものです。そう考えたとき、速く読むとか、大量に読むといったことは、本当に効果があるのかどうか。自分の考え方や行動が変わらなければ、何万冊読んだとしても、結局何も変わらないのですから。
もちろん、個人の趣味・嗜好を否定するわけではなく、速読を習って速く読みたいという人は、それはそれでよいと思います。